コーチとして古巣に復帰。バンデンハーク氏とズレータ氏の現役時代の功績を振り返る

パ・リーグ インサイト 望月遼太

2025.7.7(月) 12:00

春季キャンプで臨時コーチを務めたフリオ・ズレータ氏とリック・バンデンハーク氏©PLM
春季キャンプで臨時コーチを務めたフリオ・ズレータ氏とリック・バンデンハーク氏©PLM

今季開幕前のキャンプに続いて、2名の助っ人がコーチとして帰ってくる

 福岡ソフトバンクがフリオ・ズレータ氏とリック・バンデンハーク氏を外国人育成コーチとして招へいした。両氏は今季開幕前のキャンプでも臨時コーチを務めていたが、再び若き助っ人たちの指導を行っていくことになる。

 今回は、ズレータ氏とバンデンハーク氏がNPBで残した成績を確認するとともに、ホークスに在籍していた時期に見せた活躍を紹介。福岡の地で成功を収めた名助っ人たちの貢献をあらためて振り返るとともに、指導者としてのさらなる飛躍に期待を寄せたい。

<ズレータ氏とバンデンハーク氏のインタビューはこちら>

2005年には三冠王に匹敵する好成績を残し、ポストシーズンでも快打を連発した

 ズレータ氏がNPBにおいて記録した、年度別成績は下記の通り。

フリオ・ズレータ氏 年度別成績©PLM
フリオ・ズレータ氏 年度別成績©PLM

 ズレータ氏は2003年のシーズン途中に福岡ダイエー(現・福岡ソフトバンク)に入団。同年はわずか67試合の出場で13本塁打、43打点を挙げ、OPS.878を記録するなどいち早く日本球界に適応。阪神と対戦した日本シリーズの第1戦ではサヨナラタイムリーを放ってチームを勢いづける活躍を見せ、同年のリーグ優勝と日本一にも貢献を果たした。

 来日2年目の2004年は初めて日本でフルシーズンを過ごす年となったが、130試合に出場して打率.284、37本塁打、100打点、OPS.956と前年以上に優れた成績を記録。レギュラーシーズンで勝率1位の好成績を残したチームを、中心選手の一人としてけん引した。

 そして、入団3年目の2005年には打率.319、43本塁打、99打点と確実性と長打力をさらに高め、OPS1.038という圧巻の数字を記録。打率、本塁打、打点の主要3部門で全てリーグ2位という三冠王に匹敵する好成績を残し、プレーオフ第2ステージの第4戦では1試合2本塁打を放ってチームを勝利に導くなど、強力打線の中軸として抜群のインパクトを残した。

 続く2006年は打率.281、29本塁打、91打点と前年に比べるとやや数字を落としたものの、それでも出塁率.359、長打率.515、OPS.874と優秀な数字を記録。負けたらシーズンが終了するプレーオフ第1ステージの第3戦ではチームの勝利を決定づける3ランを放ち、チームを第2ステージに導く立役者となった。

 シーズン途中入団ながらチームの日本一に貢献してみせた2003年の活躍に続いて、フルシーズンプレーした3年間はいずれも29本塁打・91打点以上を記録。ポストシーズンで見せた抜群の勝負強さや、ホームランを放った直後に「パナマ運河」と叫びながら行うパフォーマンスも相まって福岡のファンに愛された、まさに名助っ人と呼べる存在だった。

デビューから14連勝というNPB記録を樹立し、主戦投手として奪三振の山を築く

 バンデンハーク氏がNPBで記録した、年度別成績は下記の通り。

リック・バンデンハーク氏 年度別成績©PLM
リック・バンデンハーク氏 年度別成績©PLM

 来日1年目の2015年は序盤戦こそ外国人枠の関係で二軍調整が続いていたものの、6月14日の広島戦でNPB初登板初勝利を飾って以降は無傷の9連勝を記録。15試合で防御率2.52、奪三振率11.61という圧巻の投球を披露し、日本シリーズ第2戦でも8回無失点の好投を見せるなど、抜群の安定感を発揮してチームのリーグ優勝と日本一に大きく貢献した。

 その後も2016年の5月10日まで負け知らずの投球を続け、デビューから14連勝というNPB新記録を樹立。同年は故障の影響もあって13試合の登板にとどまったものの、7勝3敗、防御率3.84、奪三振率10.10と、ケガに苦しめられながら随所で持ち前の高い奪三振能力を示した。

 続く2017年は来日後初めてほぼフルシーズンにわたって一軍に帯同し、キャリアハイとなる13勝を記録。防御率3.24、奪三振率9.53と3年連続で投球回を上回る奪三振数を記録するなど投球内容も優秀であり、名実ともに先発陣の中心的存在の一人としてチームのV奪還と日本一に寄与する活躍を見せた。

 来日4年目の2018年も先発ローテーションの一角として登板を重ね、2年連続の2桁勝利となる10勝をマーク。防御率4.30、奪三振率8.28と例年に比べてやや投球内容は悪化したものの、日本シリーズでは2試合で防御率2.45、奪三振率13.91と奮闘。シリーズ制覇が決まった第6戦では6回10奪三振の好投を見せて勝利投手となり、2年連続となる日本一に貢献した。

 2019年は3試合の登板で2勝、防御率3.12、奪三振率11.43と登板した試合では優れた投球を見せたものの、故障の影響でシーズンの大半を棒に振ることに。在籍最終年となった2020年も5試合の登板にとどまっており、最後の2年間は故障に泣かされるかたちとなった。

 2015年からの4シーズンで39勝を記録するなど先発陣の軸として奮闘し、在籍期間中に2度のリーグ制覇と5度の日本一を経験したバンデンハーク氏。ポストシーズンで幾度となく好投を見せてチームを勝利に導いた本格派右腕の活躍は、黄金期を迎えていたチームにとっても大きな意義を持つものだった。

一時代を築いた二人の名選手の指導が、若き助っ人たちを飛躍へと導くか

フリオ・ズレータ氏とリック・バンデンハーク氏©PLM
フリオ・ズレータ氏とリック・バンデンハーク氏©PLM

 ズレータ氏はシーズン途中入団ながら日本球界にいち早く適応し、リーグ屈指の強打者へと進化を遂げていった。バンデンハーク氏は来日当初こそ登板機会に恵まれなかったが、その後は高い能力を存分に発揮して奪三振の山を築いた。両氏の在籍期間は異なるものの、自らの実力で中心選手の座を勝ち取り、チームの黄金期形成に寄与した点は共通している。

 ともに一時代を築いた名選手の指導を受ける若き助っ人たちの中から、ズレータ氏やバンデンハーク氏のように福岡の地で成功を収める選手は現れるか。コーチとして古巣に帰ってきた両氏のさらなる活躍と、指導を受けた助っ人たちが見せる今後の躍進に、大いに期待していきたいところだ。

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