交流戦首位打者の所属球団がAクラスに。今季も縁起の良い「ジンクス」は継続するか

パ・リーグ インサイト 望月遼太

2025.6.25(水) 19:00

福岡ソフトバンクホークス・柳町達選手【写真:球団提供】
福岡ソフトバンクホークス・柳町達選手【写真:球団提供】

直近3シーズンの交流戦では、いずれもパ・リーグの選手が首位打者に輝いていた

 2025年の交流戦では、福岡ソフトバンクの柳町達選手が打率.397で交流戦首位打者のタイトルに輝いた。交流戦での成績がシーズンの趨勢を変えた例はこれまで少なからず存在してきたが、直近3年間の交流戦首位打者は全てパ・リーグの選手が獲得しており、各選手が所属するチームはいずれも同年のシーズン順位でAクラス入りを果たしていることをご存じだろうか。

 今回は、直近3年間において交流戦首位打者を獲得した選手たちの顔ぶれと、各選手が同年に残した成績を紹介。交流戦を含めた各選手の活躍ぶりについてあらためて振り返るとともに、今季も縁起の良い「ジンクス」が継続するかどうかに注目していきたい。

チームが交流戦で負け越したケースでも、最終的にはAクラス入りを果たしている

 直近3年間における交流戦首位打者と、各選手の交流戦における成績は下記の通り。

直近3シーズンの交流戦首位打者 ©PLM
直近3シーズンの交流戦首位打者 ©PLM

 2022年は杉本裕太郎選手が27安打と同年の交流戦期間中における最多安打を記録し、打率.391というハイアベレージを残して交流戦首位打者を獲得。チームは交流戦を8勝10敗と負け越しで終えたものの、夏場以降は徐々にチーム状態を向上させて熾烈な優勝争いに加わり、10月2日のシーズン最終戦で勝利を収めて劇的な大逆転優勝を飾っている。

 2023年は移籍1年目の近藤健介選手が26安打、5本塁打、15打点と圧巻の打棒を見せ、交流戦歴代2位の出塁率.519を記録。打率.413という抜群の高打率で交流戦首位打者を受賞した。チームは故障者の続出もあって苦戦する時期もあったが、交流戦で11勝7敗の好成績を残したことも手伝い、熾烈なAクラス争いを乗り切って3位でシーズンを終えている。

 2024年は水谷瞬選手が交流戦期間中の最多安打となる28安打を放ち、交流戦における歴代最高の数字となる打率.438を記録する大ブレイクを果たした。チームは交流戦で7勝10敗1分けと負け越したものの、水谷選手を含めた若手の成長もあって大きく躍進。2018年以来6年ぶりのAクラスとなる2位に入り、今後に向けて大きな期待を抱かせる1年を送った。

チーム成績のみならず、各選手にとっても縁起の良いシーズンに?

 次に、直近3年間で交流戦首位打者を受賞した選手が、同年に残した月別成績について見ていこう。

杉本裕太郎選手 2022年の月別成績 ©PLM
杉本裕太郎選手 2022年の月別成績 ©PLM

 2022年の杉本選手は3月と4月の月間打率がともに.130台と序盤戦は絶不調に陥っていたものの、5月は月間打率.333、6月は同.282と交流戦期間中に復調を示した。続く7月も月間打率.297と好調を持続させただけでなく、6月と7月の2カ月で10本塁打と持ち前のパワーも発揮し、中軸打者として力強くチームをけん引した。

 8月以降は再び調子を崩してしまい、最終的に105試合で打率.235という数字に終わったものの、15本塁打、OPS.722と、長打力の面では一定の数字を記録。日本シリーズでは2度の決勝打を放つ活躍を見せてMVPに輝くなど、チームのリーグ連覇と悲願の日本一にも貢献を果たした。

近藤健介選手 2023年の月別成績 ©PLM
近藤健介選手 2023年の月別成績 ©PLM

 2023年の近藤選手は4月の月間打率が.256、5月が同.235と序盤はやや低調だったものの、交流戦期間中の6月に月間打率.342と大きく復調。7月の月間打率は.343、8月は同.365と3カ月続けてハイアベレージを記録しており、交流戦での活躍が本来の打撃を取り戻す契機となったことが示されている。

 最終的に全143試合に出場して打率.303を記録し、26本塁打・87打点でいずれも自身初となる本塁打王と打点王の2冠を獲得。出塁率.431で自身3度目の最高出塁率のタイトルにも輝き、外野手部門のベストナインとゴールデングラブ賞をW受賞するなど、移籍1年目から出色の活躍を見せ、チームの中心的存在の一人となった。

水谷瞬選手 2024年の月別成績 ©PLM
水谷瞬選手 2024年の月別成績 ©PLM

 2024年の水谷選手は交流戦前の時点でわずか10試合の出場にとどまっていたが、5月は9試合で月間打率.448、6月は23試合で同.333と好成績を記録。その後も7月は20試合、8月は18試合、9月は19試合と着実に出場機会を確保し、交流戦での大活躍をきっかけに主力の座へと定着してみせた。

 最終的な成績は97試合で打率.287、9本塁打、OPS.779と、投高打低の環境にあって一定以上の数字を記録。その活躍が認められて「マイナビオールスターゲーム2024」にプラスワン投票で選出されるなど、加入1年目からチーム内外において大きなインパクトを残し、現役ドラフトにおける顕著な成功例の一人となった。

2025年のシーズンも、縁起の良い「ジンクス」が継続する結果となるか

 交流戦首位打者を受賞した選手の所属チームがいずれもAクラスに入っただけでなく、近藤選手は本塁打王と打点王の2冠に輝き、水谷選手は一躍大ブレイクを果たした。杉本選手もシーズン成績自体はやや低調だったものの、日本シリーズでMVPに輝く活躍を見せてチームの日本一に貢献するなど、選手にとっても縁起の良い結果がもたらされていた。

 2025年の交流戦で首位打者を受賞した柳町選手も、過去3年における先達たちと同様にチームを上位進出に導き、自らも充実したシーズンを送ることができるか。縁起の良い「ジンクス」が4年連続で継続するか否かについて、今季はぜひ注目してみてはいかがだろうか。

文・望月遼太

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