
◆日本生命セ・パ交流戦 2025 西武3x―2阪神(11日・ベルーナドーム)
歓喜と興奮で火照った体に降り注がれたウォーターシャワーが心地よかった。9回2死満塁。サヨナラ打を放った西武・炭谷銀仁朗捕手(37)は、一塁ベースを回るとバンザイしながら後輩たちの手荒い祝福を受けた。2点差をひっくり返し、今季5度目のサヨナラ勝ち。「日頃の恨みを晴らせたでしょうね」。そう笑って汗と水でびっしょりの顔をぬぐった。
何かの巡り合わせか。この3連戦に向け、阪神投手陣の分析をしていた時、西口監督に「岩崎と相性がいいんです」と話していた。過去の対戦は6打数3安打。9回の守備からマスクをかぶると、その裏に打線がつながり1死満塁から源田が同点2点打でお膳立てした。「まさか、こんな場面で回ってくるか」。カウント1―2と追い込まれながら、外角への143キロ直球をしぶとく右前へ落とした。14年7月13日のオリックス戦(西武D)で放って以来11年ぶりの劇打だ。この時も右前打。「越えろと思って。あんな安打でもよかったです」と息をついた。
試合開始5時間前に本拠地のグラウンドでロングティーをこなす。復帰した昨季からの日課で、若手の早出特打前には終わらせる。「若手を邪魔しちゃいけないし、その前にやることをやっておこうと。年とともに体を起こしておかないと」。魚雷バットを使用するなど進化をやめない。前日は8回に2点差をうっちゃったチームは、セ首位の阪神に勝ち越しを決めて2位に浮上。「ベテランも若手も一丸となっていい結果が出るようにやっていくだけ」と炭谷。最下位からの逆襲へ、プロ20年目の力は欠かせない。(秋本 正己)
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