開幕直後は不振で2軍降格「落ちたときには逆にすっきりした」
■千葉ロッテ 8-1 埼玉西武(2日・ZOZOマリン)
千葉ロッテの井上晴哉内野手が2日の埼玉西武戦(ZOZOマリン)で2ラン含む3安打猛打賞でチームのカード勝ち越しに貢献した。
高く舞い上がった打球が、センターバックスクリーンにゆっくりと吸い込まれていった。2戦連発の10号で交流戦前に本塁打数を2桁に乗せた主砲は「特に実感ない。たまたまだと思います」とあっけらかんと語った。さらに「状態がいい時のホームランは手応えがあるけど、今日は振ったら飛んだ。だから怖いですね」と3戦2発ながら本調子ではないことを強調した。
昨季から不動の4番としてチームの中軸を担う。しかし今シーズンは開幕直後から不振に見舞われ、4月6日に登録を抹消された。2軍降格直前にはスタメン落ちも経験。「みんなが気を遣ってくれていたと思う。でも落ちたときには逆にすっきりした。モヤモヤしながらやるよりも、下でやりたい調整をやることができた」と苦しい時期を糧にしてきた。
ファームでは10試合に出場し、46打席に立った。日々の打席の中で、下半身と上半身の連動を意識することで体重移動をスムーズに行い、本来の豪快な飛距離を取り戻した。井上は「2軍では毎日試合に出してもらった。若い選手で試合に出たい人もいたと思う。その打席を、自分が“もらって”いた」と謙虚に振り返った。
4月23日の2軍戦で本塁打を放つと、そのまま1軍昇格を果たし「7番・一塁」でいきなりスタメン出場した。ダブルヘッダーのタフな1日をこなし、同25日には今季初アーチ。そこからコンスタントに本塁打を重ね交流戦前に早くも2桁に到達したが「出遅れたし、足を引っ張ってしまった」と本人はこれまでの活躍に納得はしていないようだ。
井上は「気負い過ぎても見失ってしまう。ガツガツしないようにしたい」とあくまで自然体を貫く。悠然と構え、マリーンズ打線の4番にどっかりと座り直した井上の“恩返し”が、混戦のパ・リーグをさらに熱くする。
(安藤かなみ / Kanami Ando)
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