先発ローテ入り目指す20歳、久留米で千賀と合同自主トレ
福岡ソフトバンク千賀滉大投手らとともに、福岡・久留米市内のトレーニング合宿に参加していた千葉ロッテ期待の先発候補、3年目の種市篤暉投手。千葉ロッテ浦和球場に姿を見せた22日にブルペンで40球を投げ、順調な調整ぶりをうかがわせた。
この日、当初はブルペン入りを決めかねていた右腕だが、今回参加した自主トレで千賀やトレーナーの鴻江寿治氏に教わったことを「忘れないように」という思いが勝り、自然と足は室内練習場のブルペンへ向いた。
中溝ブルペン捕手の構えるミットめがけての40球。威力を増したストレートが「パーン」と小気味いい音をブルペン内に響かせた。順調な仕上がりに自然と体が動いたのか、「結構投げました」とフォークボールも投じた。
千賀らとの自主トレで多くのことを学んだが、この日ブルペンで一番意識していたのは「投球フォーム」だ。「(踏み出す)左足が着地する前に左肩が開かないように、と。それが自分の癖なので。そのことを千賀さんにすごい言われた」と、キャッチボールから左肩を意識しつつ、フォーム固めに力を注いでいる。
実は、去年までの経験を踏まえ、自身も「このフォームでは1年間投げられない」と感じていたという。その思いもあり、変化を恐れずに今までの自分を壊して、新たに作り変えることを選んだ。
「変わることって普通は抵抗を感じることだと思うんです。失敗するんじゃないかって。でも、去年の投げ方じゃ自分はやっていけないって思って、今までの自分を崩しにいこうと思っていたので、今回(千賀投手に)教わって良かったと思いますね」
最初の照準は2月1日の紅白戦「しっかり練習していきたい」
まだ打者を相手の投球練習は行っていないが、フォークを代名詞とする千賀からコツを直伝され、「精度が良くなったと思います」と笑顔。動作解析などを経て、ストレートの「伸びもすごい変わったと自分では思います」と大きな手応えを感じている。
ボールを受けていた中溝ブルペン捕手も「(ウインターリーグに派遣されていた)11月のオーストラリアの時より良くなっている。ストレートの伸びもあるが、もともと武器だったフォークも安定して落ちていた」と、ミット越しにその成長を実感していた。
学んだことは技術だけではない。「千賀さんも『ブルペンから考えてやらないと試合で修正できない』と言っていました。そして『ブルペンはしっかり考えて、テンポは遅くていいからちゃんと投げろ』って言われました」と話し、「ブルペン投球の心構え」も学んだ様子。投球動作の違いをいち早く察知し、修正するための基準を体に覚え込ませるためにも「すごく考えてブルペンでやっています」と明かす。
開幕1軍、そして今季を通じて活躍を目指しているが、まずはキャンプ初日の紅白戦に照準を合わせる。「今日に関しては球がちょっと抜けていた。ボールの質自体は変わったと思いますが、これで紅白戦で打たれたら恥ずかしいので、しっかり練習していきたいと思います」と万全な仕上がりを目指す。
破壊なくして創造なし――。自らの意思で新たにフォームを作り直した20歳右腕は、2月1日の紅白戦で新スター誕生の瞬間を見せつけられるのか。期待したい。
(岩国誠 / Makoto Iwakuni)
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