菅野智之は圧倒的な数字で沢村賞、岩瀬は登板数&セーブ数でアンタッチャブルに
2018年もあとわずか。そこで、今季のNPBで達成された主要な記録を回顧しよう。
○巨人・菅野智之が超ハイレベルの沢村賞
28先発、10完投、15勝、勝率.652、202回、200奪三振、防御率2.14
「沢村賞の7基準(25先発、10完投、15勝、勝率6割以上、200イニング、150奪三振、防御率2.50以上)」をすべてクリア。7基準をすべて満たしての沢村賞受賞は、この賞がセ・パ両リーグの選手を対象にした1989年以来7人目。2011年の東北楽天、田中将大以来。2年連続沢村賞は1995、96年の巨人、斎藤雅樹以来。またシーズン8完封は平成以降では最多。8完封は1978年の近鉄・鈴木啓示以来だった。
また、菅野は10月14日のCSファーストステージ第2戦の東京ヤクルト戦でノーヒットノーランを記録。ポストシーズンでのノーヒットノーランは史上初の快挙だった。
投手の分業が進み、先発投手の登板回数が減少する中で、今季の菅野智之は、歴史的な快投を演じたといえよう。
○中日、岩瀬仁紀1000試合登板
NPB史上初。NPB登板数5傑は、
1岩瀬仁紀1002登板(1999-2018)
2米田哲也949登板(1956-1977)
3金田正一944登板(1950-1969)
4梶本隆夫867登板(1954-1973)
5小山正明856登板(1953-1973)
2位以下は昭和中期の先発投手。岩瀬は1002登板のうち、先発は2000年の1登板だけ。岩瀬は、史上1位の407セーブを記録し、今季引退。登板数に加え、セーブ数もアンタッチャブルな大記録になっている。
○巨人・山口俊、ノーヒットノーラン
7月27日の東京ドームの中日戦 NPB史上79人目、90回目。セでは38人目、41回目。103球の経済的な投球だった。
福岡ソフトバンク森、北海道日本ハム宮西ら救援投手が続々と新記録を樹立
○福岡ソフトバンク・森唯斗、7試合連続セーブ
9月18日 1回自責点0(ZOZOマリンスタジアム/千葉ロッテ戦)
9月19日 1回自責点0(ZOZOマリンスタジアム/千葉ロッテ戦)
9月20日 1回自責点0(札幌ド―ム/北海道日本ハム戦)
9月22日 1回自責点0(ヤフオクドーム/オリックス戦)
9月23日 1回自責点0(札幌ド―ム/北海道日本ハム戦)
9月24日 1回自責点1(札幌ド―ム/北海道日本ハム戦)
9月25日 1/3回自責点0(京セラドーム/オリックス戦)
チームの7試合連続セーブはNPB史上初。これまでは6人が記録した6試合連続。2017年のMVP男・サファテの故障により、急遽クローザーに抜擢された森だが、尻上がりに調子を上げ、終盤には絶対的な守護神になった。
○北海道日本ハム・宮西尚生、ホールド数歴代1位に
7月6日の千葉ロッテ戦で通算274ホールドとなり、巨人、山口鉄也の記録を抜く。シーズン終了時点での、NPBホールド数5傑。
1宮西尚生(日)294ホールド(2008-2018)
2山口鉄也(巨)273ホールド(2007-2017)
3浅尾拓也(中)200ホールド(2007-2018)
4マシソン(巨)166ホールド(2012-2018)
5五十嵐亮太(ヤ)159ホールド(1999-2018)
5人とも2018年の時点ではすべて現役。セットアッパーが重要視される現在のプロ野球を象徴する記録だ。山口と浅尾は今季限りで引退。福岡ソフトバンクを戦力外となった五十嵐は先ごろ、東京ヤクルト復帰が決まった。
○広島・フランスア、オリックス・山田修義、月間18試合登板
フランスア 2018年8月
18試合0勝1敗1セーブ10ホールド17回2/3 防御率0.51
山田修義 2018年8月
18試合1勝1敗0セーブ9ホールド12回2/3 防御率3.55
月間18試合登板は、1956年9月の西鉄・稲尾和久、2013年5月の千葉ロッテ・益田直也に並ぶNPB記録となった。
こうしてみると救援投手の記録が圧倒的に多いことがわかる。現代のプロ野球の趨勢を反映している。来季はどんな投手が活躍するだろうか。
(広尾晃 / Koh Hiroo)
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