オリックス・山下舜平大投手（２１）が７日、ブルペンで初めて捕手を座らせて２６球の投球練習を行い、さっそく１５２キロを計測した。直球、カーブ、フォークと全球種を確認し、視察に訪れた前侍ジャパン監督で日本ハムの栗山英樹チーフ・ベースボール・オフィサー（ＣＢＯ）はその迫力に驚嘆。成長過程を知るダルビッシュ有（パドレス）や大谷翔平（ドジャース）に負けない能力の持ち主だと太鼓判を押した。

　右腕を振るたびにスゴ味が増していった。山下が、いきなり１５４キロを出した昨年より３日遅れの本格投球。「けがをしないように、ちょうどいいぐらいで入りました」。自らセーブしながらも最速１５２キロを計測。「全然納得はしてないです。まだ、もっと出ると思います」と前だけを見た。

　高卒３年目だった昨年はプロ初勝利を含む９勝を挙げた。絶対的エースの山本が抜けた中、「まずは１年間、戦える準備をすることがすべて」と先発の柱として新たなスタートを切っている。この日は日本ハム・栗山ＣＢＯが宮崎キャンプを訪問。ブルペンに足を運び、怪物の一球一球を熱心に見つめた。投球後には、最高の褒め言葉が待っていた。

　「舜平大ね。みんな見ていたとおり、モノが違うので。本当に、久々に見るところ（位置）にいますね。やっぱり翔平とかダルとか、ああいうクラスなんだと思う。どうやって（２人を）超えようとしているのか、というようにも見える。彼の感じが、素晴らしいですね」

　１９０センチ、１０５キロの体格は、メジャーで活躍する両雄に匹敵するスケール。山崎福（日本ハム）から受け継いだ新背番号は、そのあこがれの２人が日本ハム時代につけた「１１」だ。大谷のプロ入り時は監督として指導し、昨年のＷＢＣでは２人と共に世界一を達成した栗山氏からの太鼓判に「そういう選手を見てこられた方に比べていただけるのは、とてもうれしいです」と恐縮しきりだった。

　侍ジャパンとして戦う３月６、７日の強化試合（京セラＤ）ではメンバー入りが内定している。井端監督からもエース候補として、ロングスパンでの代表入りが期待される存在だ。最速１６０キロの剛速球に加え、カーブ、フォークの仕上がりも確認。１クール２度のブルペン、最多でも８０球を目安とし、厳選２球種の精度もグングンと向上させるつもりだ。「またトレーニングをして、もっともっとこだわってやっていきたいです」。２年連続開幕投手を目指し、初の規定投球回とタイトルも通過点。極太の成長曲線を描いていく。（長田　亨）

　○…栗山ＣＢＯはオリックスの「３連覇メソッド」に舌を巻いた。宮城、宇田川、山崎を預かった昨年３月のＷＢＣのお礼やあいさつを兼ね、宮崎キャンプを訪問。「３連覇をしているチームにいろんなことを学びに来ました」と日本ハム時代に同僚だった福良ＧＭや中嶋監督、吉田とも長く言葉を交わした。今季からはライバル球団となるだけに「中嶋監督の思いが１、２軍に浸透して、大事なことが一本、筋として通っている」と実感。「勝てる理由が存在している」と刺激を受けた様子だった。

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