球威を増したストレート。完全復活を果たした西口直人の「ここが変わった!」

パ・リーグ インサイト

2025.7.14(月) 14:15

東北楽天ゴールデンイーグルス・西口直人投手【写真:球団提供】
東北楽天ゴールデンイーグルス・西口直人投手【写真:球団提供】
西口直人投手 年度別投手成績 ©データスタジアム
西口直人投手 年度別投手成績 ©データスタジアム

 ここまで優秀な成績を収めている東北楽天ゴールデンイーグルスのブルペン陣。その中でもひときわ光る安定感を示しているのが9年目右腕・西口直人投手だ。2023年9月に受けたトミー・ジョン手術からの完全復活を期す今季は、球団新記録となる開幕から26試合連続無失点を達成。キャリアハイの成績を残した2022年を大きく上回る奪三振率をマークするなど、目覚ましい活躍を見せている。今季の西口投手はいかにして打者を抑えているのか、本稿ではその要因をデータで紐解いていく。

奪三振の7割はストレートという変化

西口直人投手 球種別奪三振内訳 ©データスタジアム
西口直人投手 球種別奪三振内訳 ©データスタジアム

 ここまでハイペースで三振を記録し続けている西口投手だが、今季最も多く三振を奪っている球種はストレートだ。2023年まではストレートで奪った三振の数は全体の約半数だったが、今季はその割合が72.5%と大幅に上昇。パーソル パ・リーグTVの公式YouTubeチャンネルでも度々取り上げられているように、西口投手が渾身の真っすぐで打者を仕留めるシーンを目にしているファンも多いだろう。

追い込んでからストレートが増加

西口直人投手 ストライクカウント別ストレート投球割合 ©データスタジアム
西口直人投手 ストライクカウント別ストレート投球割合 ©データスタジアム

 ストレートによる奪三振が増加している要因のひとつに、2ストライク以降の配球傾向の変化が挙げられる。2022・23年は追い込むとストレートの投球割合が減少し、その分フォークの割合が増える傾向にあった。しかし、今季は追い込んでからの方が真っすぐの割合が高く、約70%を占める。ここまでストレートの被打率は.172、フォークも同.067と両球種ともに優秀な数字を記録しているが、勝負球としては真っすぐを選択する場面が多くなっている。

真っすぐでより多くの空振りを奪えるように

西口直人投手 ストレートのスイング奪空振り率 ©データスタジアム
西口直人投手 ストレートのスイング奪空振り率 ©データスタジアム

 また、2023年に148.8km/hだったストレートの平均球速は、今季150.3km/hを記録。もともとストレートは奪空振り率の高い球種だったが、今季はリーグ平均を大幅に上回るスイング奪空振り率31.1%を叩き出している。より多くの空振りを奪えるようになった真っすぐを追い込んでからも積極的に使うことで、高い奪三振率をマークしているのだ。

圧巻の被長打率をマーク

2025年パ・リーグ救援投手 被長打率ランキング ©データスタジアム
2025年パ・リーグ救援投手 被長打率ランキング ©データスタジアム

 奪三振が増えたことに加え、長打をほとんど打たれていない点も今季の西口投手を語る上で欠かせない要素だ。7月8日の西武戦でネビン選手に二塁打を打たれるまで、開幕から長打を許しておらず、今季の被長打率はパ・リーグのリリーフ投手の中で唯一の1割台を誇る。また、長打になりやすい外野フライの数も減少しており、全打球に占める外野フライの割合は2023年の47.6%から今季は38.0%に抑えている。

 威力を増したストレートを武器に、ここまで完全復活を思わせる好投を続ける西口投手。手術明けということもあり、今のところ2日続けての登板こそないものの、上位進出を目指すチームにとってその存在は欠かせない。シーズンも折り返し地点に差し掛かる中、西口投手のピッチングにますます注目が集まる。

※文章、表中の数字はすべて2025年7月8日終了時点

文・データスタジアム

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