“最後の松坂世代”和田毅が晴れやかにあいさつ「実は僕は最後ではないので……」

パ・リーグ インサイト

2025.3.15(土) 18:23

福岡ソフトバンクホークス・和田毅投手©パーソル パ・リーグTV
福岡ソフトバンクホークス・和田毅投手©パーソル パ・リーグTV

 3月15日、昨季限りで現役を引退した和田毅投手の引退記念試合が行われた。同日の試合に先発登板、清宮幸太郎選手に4球を投じて空振り三振を奪い、最後のマウンドを終えた。

 試合後の引退セレモニーでは、巨人の杉内俊哉コーチ、松坂大輔氏、阪神の藤川球児監督、早稲田大学時代の監督・野村徹氏からのビデオメッセージを交えた振り返り映像が流れた。その後王貞治会長、小久保裕紀監督、城島健司CBO、登場曲を歌う冨永裕輔さん、娘さん、奥さん、ご両親より花束が贈られた。

 続いて和田投手があいさつ。以下、あいさつ全文。

「ついにこの時が来てしまいました。という感じにはならず、本当にようやくこの日が迎えられたなという気持ちです。引退会見をしてから4カ月が経ち、その間また復帰したくなるのかな、また投げたくなるかなとなるかと思ったんですが、ありがたいことに全くなりませんでした(笑い)。本当に自分はやり切ったんだなと。22年間野球人生を全うできたんだなと本当に思いました。

プロ野球選手になりたい、自分は小さい頃、そんな大きな夢をもって野球をやっていました。そんな夢がね、夢のまた夢だと自分では思いながら、思い込みながらやっていました。しかし、たくさんの出会いがあり、その出会いのおかげでプロ野球選手にさせてもらえました。

高校、大学の同期のみんな、今日は本当に来てくれてありがとう。彼らと出会うことが無ければ、今の自分は無いと言っても過言ではありません。彼らとの出会いが本当に素晴らしいものになりました。そして、一生付き合える友人になりました。本当にありがとう。

そして松坂世代のみんな。ようやく、ゴールすることができました。しかし、まだもう一人居るんです。久保康友くんという同級生がまだ頑張っています。実は僕は最後ではないので、僕もこれからは久保くんを一生懸命応援していきたいと思います。

そしてアマチュア時代の監督・コーチのみなさん。自分の基礎を作っていただき、ありがとうございました。自分がプロに入るまでに基礎を作っていただき、そのおかげでプロで22年間やれたと思っています。本当にありがとうございます。

王会長をはじめ、今まで携わっていただいた監督・コーチのみなさん。本当に自分を使っていただき、投げさせていただき、ありがとうございました。そして特に2019年以降、肩のけがの後は、登板間隔だったり、球数だったりとたくさん悩ませてしまい、本当に申し訳ありませんでした。おかげで、43歳まで投げることができ、ホークスの球団記録を更新というところまで投げさせていただきました。本当にありがとうございました。

そしてトレーナーのみなさん。本当にわがままばっかですみませんでした。本当に難しい針の治療だったり、ストレッチだったり、頭を悩ませてしまったと思います。それでも嫌な顔ひとつせず、自分と向き合ってやっていただきました。そして2018年の肩のけがの時は、一緒に頭を悩ませながら、真剣に治療を考えながら、やっていただきました。そのおかげで今の自分が居ます。本当にありがとうございます。

すみませんちょっと長くなります。すみません。

そして球団スタッフのみなさん。いつも選手と悩みながら、考えながら、そして一緒に戦っていただき、本当にありがとうございます。優勝した時のスタッフのみなさん、裏方のみなさんの笑顔を見ることが、自分の一番うれしい瞬間でした。本当にありがとうございます。

そして選手のみなさん。試合でうれしさだったり、悔しさだったり、楽しさだったり、色々あると思います。そんな感情というのは、試合でしか得られません。みなさんはまだお腹いっぱいになっていないはずです。まだまだこれからたくさん味わってほしいと思います。そしていつか、たくさんの野球少年、ファンに愛される、そして目標とされるような選手になってください。たくさんの思い出をありがとうございました。

そして両親。本当に自分を22年間プロ野球で戦える体に産んでいただき、本当にありがとうございます。福岡にもね、たくさん通ったよね。まあその費用はね、バカにはなりませんでしたけど、でも2人で楽しそうにああだこうだと試合の結果をね、楽しそうに話している姿を見た時に、少しは親孝行できたかなと思いました。まだまだこれから2人仲良く、元気に過ごしてください。ありがとう。

そして娘へ。物心ついてからね、自分がずっと野球の世界に居て、寂しい思いばかりをさせてしまいました。でもそんな、寂しそうな姿を自分の前では一切見せることなくね、自分の一番の応援団として、常に応援してくれたことを本当に感謝しています。本当に優しくて、忍耐強くて、相手を思いやれる、素敵な女性になってくれました。本当にありがとう。

そしてそんな娘の成長と、自分のために時間を削ってくれた妻。かすみ(仲根かすみさん)もね引退だよね(笑い)。おめでとうございます。本当に自分のために時間を割いてくれて、自分が不安な時や、辛い時にいつも寄り添ってくれました。本当にありがとう。

これからはね、今までずっと娘や自分のために使ってきた時間をですね、家族だったり、たまには2人でね、今までできなかったことや、やりたかったことを一緒にできたらなと思います。これからもよろしくお願いします。

そして最後に、世界一のホークスファンのみなさん。自分が良い時も、悪い時も、常に大きな声援をしていただき、ありがとうございました。2019年に肩のけがからの復帰で、素晴らしい声援をいただいたときに、一生忘れられないだろうなという声援をいただきました。そして今日もまた、一生忘れられない声援をいただけました。本当にありがとうございました。

最後ではなかったです。すみません。

最後になりましたが、この引退セレモニーを開催するにあたり、たくさんの準備をしていただいた球団関係者のみなさん。そして大切な調整の中、自分の登板に付き合っていただいた、北海道日本ハムファイターズのみなさん。そしてレフトスタンドで応援していただいたファイターズファンのみなさん。本当にありがとうございました。

一度はこんな光景っていうんですかね。自分がこの真ん中に立って、こんなスポットライトを浴びるっていう光景に憧れていたので、また一つ夢が叶いました。ありがとうございました。

そしてこれが本当の最後です。プロ野球選手を目指している野球少年たち。そしてこれから野球を始めようとしている子どもたち。福岡は良いところですよ。ご飯も美味しいし、人も暖かいですし。このスタンドを見てもらえればわかると思います。福岡ソフトバンクホークスというチームは、競争が激しくて、競争に勝ち残った、選ばれたものが戦う集団です。自分も22年間、先輩の背中を見ながら、そして後輩に背中を押されるところをなんとか必死にもがきながら、22年間がんばってきました。

これからプロ野球選手を目指す野球少年、そして子どもたちがいつかホークスに入って、戦って、そして活躍する姿を、次の新しい夢としたいと思います。22年間本当にありがとうございました」

 あいさつの後は監督、コーチ、チームメイトらと握手を交わし、場内を一周。最後はチームメイトと、今試合で対戦した清宮選手、元ホークスの水谷瞬選手、吉田賢吾選手、田中正義投手らにより、マウンド上で「9」回宙に舞った。

◇和田毅投手 NPB通算成績
334試合160勝89敗 3ホールド1901奪三振、防御率3.18 勝率.643 WHIP1.14

◇和田毅投手のNPB記録
最優秀新人 2003年
最優秀選手 2010年
ベストナイン 2010年
最多勝 2010年、2016年
最高勝率 2016年
1500奪三振 2017年8月27日 千葉ロッテ戦
150勝 2022年9月30日 東北楽天戦
2000投球回 2023年5月24日 北海道日本ハム戦

文・東海林諒平

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