オリックス・吉田正選手は交流戦でのケガを乗り越え、「故障に弱い」というレッテルを過去のものとした。シーズン途中からは4番としても快打を放ち、完全にチームの中心選手として君臨。1年目オフの異国での活躍、“4番論”、打球方向の変化、そしてキャンプと来季に向けた意気込み……。名実ともにリーグを代表するスラッガーが語る現在とは?
転機は痛々しいアクシデントから
-今シーズンを終えてみて実感は?
(吉田正選手)しっかり1年間出られたとは思います。
-過去2年はケガに苦しみましたが、今シーズンには強い思いがありましたか?
(吉田正選手)規定打席到達を目標にしていたので、そこをクリアしてからは積み重ねていく感覚でした。(腰を手術して春季キャンプは二軍スタートだったが)焦らずしっかり、階段を上っていく感じで。やりたい気持ちも抑えながらやってきました。
-その思いでスタートして今季、転機になった場面は?
(吉田正選手)交流戦の最後、6月21日の阪神戦です。8回表に三塁打を打って、三塁ベースを踏んだときに右足首をひねったのですが、その翌日の福岡ソフトバンク戦に代打で出場できました。その試合はスパイクではなくイボイボのついたシューズを履いて、テーピングもがちがちに巻いて出ました。
-ケガの瞬間は、どう思いましたか?
(吉田正選手)ホームを狙って気がはやった感じですかね。必死にやっていた中で、防げるケガだったので、このオフはベースランニングの練習もしっかりしたいですね。
-やはり、全試合出場の思いは?
(吉田正選手)やれる範囲ではやろうとしていました。今思うと、あそこで出ていなかったら143試合出られなかったですね。だから阪神戦で足をひねったところがターニングポイントです。
独自の4番論 1年目の「台湾WL無双」にも淡々
-交流戦の途中、6月10日の東京ヤクルト戦から打順も4番に固定されましたね。
(吉田正選手)4番目という感じでした。3番の場合は初回に1打席目が回ってきますが、4番だと回ってこないこともある。そういう違いはありますけど、流動的な感じで見ていました。
-昨年の本塁打はすべて右方向でしたが、今季は流し打ちやセンター方向への打球が増えました。
(吉田正選手)練習でもずっとセンター方向にフライを打つ、強い打球を打つというのを意識していたので、いい放物線を描けたとは思います。僕のベストスイングはホームランだと思っているので。自分のスイングができればホームランになるのが理想。その中で(投手に)タイミングを崩されたりするので、それに対応しつつ、という感じです。
-ルーキーイヤーのオフに台湾で行われたアジア・ウインターリーグ・ベースボール(AWB)では、格の違う成績を残していましたが、どういう心境でしたか?
(吉田正選手)結果よりも内容を意識しました。「今日はこういう打席にしたい」という意識の中で、結果は後からついてきた感じです。レベルはパ・リーグの投手のほうが高いので、結果はそんなにすごいとは思いませんね。
-台湾で得たものの中で、翌シーズン、今シーズンに生きたものは?
(吉田正選手)経験にはなりました。いろいろな投手と対戦することで、対応力という部分では交流戦でも生かせたと思います。今年の交流戦で初めてMVPを取れましたが、初めて対戦するピッチャーでも、相手に合わせることなく自分のスイングを心がける。そういう考えでいれば、誰が出てきても自分のタイミングで打てると思います。
-オリックスは新監督を迎えました。記者会見では、西村監督が皆さんと面談していろいろな話をしたいとおっしゃっていましたが、西村監督と何かお話はされましたか?
(吉田正選手)体のこと。キャンプをしっかりして来年に向けてってところですね。トレーニングやリカバリーもただやるだけじゃなく、意図を持って取り組んでいます。
-今シーズンは自己ベストの成績を残し、オールスターにも選ばれましたが、来シーズンは今シーズン以上の成績をファンは期待していると思います。
(吉田正選手)やはり一番は勝つこと。勝つことでファンのみなさんも喜んでくれますし、僕らも勝てばうれしい。勝つためには何をすべきか、各ポジションによって役割も違うと思いますが。数字の目標はなく、タイトル争いができればおのずと上位に行けると思います。
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