【MLB】大谷翔平は「開幕戦は考えないほうがいい」 岩村明憲氏が語った今季と来季

Full-Count

2018.11.26(月) 07:10

エンゼルス・大谷翔平※写真提供:Full-Count(写真:Getty Images)
エンゼルス・大谷翔平※写真提供:Full-Count(写真:Getty Images)

大谷の打撃は進化「日本にいた頃以上にできている」

 12日(日本時間13日)に発表されたMLBルーキー・オブ・ザ・イヤーで、ア・リーグの最優秀新人に選ばれたエンゼルスの“二刀流”大谷翔平投手。DAZNではオフの新番組「Home of Baseball」の配信を2日から開始し、第1回で大谷を特集している。投手編(2日から)、野手編(9日から)に分け、ルーキーイヤーを様々な角度から分析している。

 エンゼルスのOBで地元テレビ局の中継解説者を務めるMLB132勝のマーク・グビザ氏、日米通算2148安打、484本塁打のアンドリュー・ジョーンズ氏、エンゼルスOBで現在はオリックスのシニアアドバイザーを務める長谷川滋利氏、元レイズ(デビルレイズ)の岩村明憲氏らも登場。レイズ在籍時の2008年にはア・リーグ優勝に輝き、ワールドシリーズにも出場した岩村氏は大谷の技術的な進歩、そして今後の活躍への見通しについて語っている。

 ストライクゾーンの見極めが進み、オープン戦での不振から、思い切ったすり足打法へフォームを変えた大谷。このフォーム改造が吉と出たことで、レギュラーシーズンに入って本塁打を量産するようになった。特に、中堅から左方向への大きな当たりが描く美しい放物線は、ファンを熱狂させ、実況アナウンサーの「ビッグフライ! オオタニサン!」の絶叫は日本でも流行した。

 この逆方向へ打ってスタンドまで持っていける大谷の打撃について、岩村氏は日本ハム在籍時から見てもかなりの進化を遂げたと見ている。「しっかりとした(当たりで)、センターから逆方向に対するホームランが打てているというのは、力だけじゃなく、タイミングとポイントを合わせることができるっていう技術力が上がっていったということ。日本にいた頃以上に、それが今できているんじゃないかなと思います」。

 MLBの環境に短時間で適応してみせた大谷。岩村氏は大谷が最初からMLBでのプレーを見据えていたことも適応できた原因だと指摘する。

「恐らくずっと描いていたステージは、もともとここだったんだろうなと思います。もともとメジャーという立場でプレーすることをずっと想像しながら、今までね、例えば高校野球から、日本ハムファイターズに入っても、そういうプレーをしていたんじゃないかなって思いますね。だから、ステージが上がったと思ってもいないと思うんですよね。そういう部分が多分、もともと自分はそこにいるっていうことを想像しながら立ち居振る舞いもしているんじゃないかなと思います」

 1号本塁打の時の「サイレント・トリートメント」のように、自然にチーム全員に愛されるコミュニケーション能力の高さには、岩村氏も舌を巻く。

大谷翔平について語った岩村明憲氏※写真提供:Full-Count(写真提供:DAZN「Home of Baseball」)
大谷翔平について語った岩村明憲氏※写真提供:Full-Count(写真提供:DAZN「Home of Baseball」)

今季のエンゼルスは「1番の(出塁)確率が足りなかった」

「やっぱりそこ(MLB)を常に意識してたからこそ。英会話に関してもそうですし、スペイン語も含めて、選手とのコミュニケーション、通訳を通さずにできるコミュニーケーションがある。僕自身もそれに関してはやっていた自負もありますし、1年目からすごい楽しかったですよね。たわいもない会話は自分の口で発してあげると、やっぱりその選手は自分が何を感じているかを察してくれるので、自分がどんどんやりやすくなる」

 独立リーグの福島で監督もつとめている岩村氏。もしエンゼルスの監督だったとしたら、どんな打線を組むかとの問いに「僕は3番に置きたいなと思いますね。2番にトラウトがいたという部分もありますし。ただ、今季のエンゼルスの良くなかったことというのは、ケガ人と、1番バッターの(出塁)確率が足りなかったっていうことなんですよね」と答えている。

 トラウト、大谷、プホルスと並べば、2番から右左右のジグザグ、しかも、3人とも本塁打を打てるばかりでなく、追い込まれても野手の間にボールを落とせる技術をも持ち合わせている。だからこそ、1番打者の出塁が重要になってくるが、今季のエンゼルスは1番打者が定まらず、それが得点力を低下させており「せっかく2番、3番、4番と豪華な面々がいても、やっぱり塁に誰も出ていなければ、繋がるものも繋がらない」と指摘した。

 打者として進化を続けている大谷だが、やはり不確定要素は右肘の靭帯再建手術(トミー・ジョン手術)だという。「手術をして右肘がどういうふうに転がるかっていうのはやっぱりまだまだ未知数。もちろんバッターとしては、開幕に間に合うか間に合わないかは、もうほんとにギリギリな部分だと思うんですけども。でも、間に合う選択をしているからこそ多分、とりあえずシーズンやりきって直後にすぐ手術したと思うんですね」。

 さらに続けて「ただ、僕が思うのは、来シーズンに関してはピッチャーができないというもどかしさはあるかもしれないけど、やっぱり打者・大谷が1年間働くには、開幕戦はそんなに考えない方が良いのかな。2020年、本当の二刀流に戻ってくる時のピッチャーのことを考えると、しっかりとしたリハビリを積み、強化をして、さらにパワーアップした姿を見せて欲しい。だからこそ、無理がかからないようにして欲しいなと思いますね」と指摘。投手としての回復を最優先に、焦らずじっくりリハビリを行うことを、岩村氏は願っていた。

(Full-Count編集部)

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