平成の高卒新人としては傑出した成績…怪物・清宮幸太郎の1年

パ・リーグ インサイト 望月遼太

2018.11.26(月) 11:00

北海道日本ハムファイターズ・清宮幸太郎選手(C)PLM
北海道日本ハムファイターズ・清宮幸太郎選手(C)PLM

 日本中から注目を集めたゴールデンルーキーのプロ1年目が終わった。北海道日本ハムの清宮幸太郎選手は一軍で53試合に出場し、32安打7本塁打18打点と、高卒新人としては非凡な数字とインパクトを残した。

予測どおりの競合指名、そして衝撃のデビュー戦

 日本ラグビー界を代表する名監督・清宮克幸氏の長男である清宮選手は、幼少期からその才能を随所で示し、早稲田実業高校時代には通算111本塁打で高校野球史上最多の本塁打記録を樹立。早いうちから2017年のドラフト1位指名が確実視され、その進路は全国的な注目を集めた。

 結果的には、福留選手(現阪神)と並んで高校生野手としては最多となる7球団競合を経て、北海道日本ハムに入団。春に体調不良で実戦から離れたため開幕一軍こそ逃したものの、5月2日に一軍デビューを飾ると、プロ初打席で今季の最優秀防御率投手である東北楽天・岸投手からフェンス直撃の二塁打を放ち、そのポテンシャルをいきなり見せ付ける。

 その後も好調を維持し、ドラフト制度導入後の高卒新人新記録となる「デビュー戦から7戦連続安打」。その7試合目、5月9日のオリックス戦では記念すべきプロ初本塁打も描いた。

 ただ、ここから容赦ない「プロの洗礼」を浴びることに。連続試合安打の記録が途絶えた5月10日のオリックス戦から4試合続けて安打が出ず、1本出てもなかなか後が続かない。5月25日と26日に計3安打を放ってようやく復調の兆しを見せたが、それでも打率は.179。厳しい現実に直面し、二軍での再調整を余儀なくされた。

 しかし二軍では本塁打を量産し、7月の再昇格の際にはわずか2試合で再び抹消されたものの、8月末の3度目の昇格以降はシーズン終了まで一軍に帯同。8月と9月に3発ずつを放ち、母校の大先輩・王貞治氏が高卒1年目に放った7本塁打に並んだ。

 チームの日本シリーズ進出を懸けた「パーソル CS パ」のメンバー入りも果たしたが、出番は第1戦の1打席のみ。最終的な成績は、53試合に出場して7本塁打18打点、打率.200。ちなみに二軍成績は45試合で17本塁打42打点、打率.244。1本差でイースタン・リーグの本塁打王こそ逃したものの、その優れた長打力の一端を示した。

平成の高卒新人の中でも優れた成績

 将来は球界を代表するスラッガーに成長すると見込まれている清宮選手だが、相対的に見た場合、高卒1年目の野手としての成績はどれほどのものだったのか。パワーヒッターとして活躍している現役の高卒選手を対象に、1年目の成績を列記していきたい。

【主な高卒スラッガーの1年目の成績】
森選手(埼玉西武)  41試合6本塁打15打点 打率.275
筒香選手(横浜DeNA)  3試合1本塁打1打点 打率.143
鈴木選手(広島)  11試合0本塁打1打点 打率.083
T-岡田選手(オリックス)  3試合0本塁打0打点 打率.167
岡本選手(巨人) 17試合1本塁打4打点 打率.214

 以上のように、森選手が例外的に好成績を収めているが、近年のプロ野球界では高卒1年目から活躍することは非常に難しいことが分かる。平成の高卒新人で2桁本塁打を放ったのは、1993年に巨人で11本のアーチをかけた松井秀喜氏が唯一だ。

 ちなみに、東京ヤクルトの山田選手や埼玉西武の中村選手、北海道日本ハムの中田選手といった球界を代表する打者でも、高卒1年目で一軍出場機会を得ることはできなかった。清宮選手が放った7本塁打は、数字の印象以上に価値あるものと言える。

 プロの壁に苦しめられながらも、随所で大器の片鱗を見せ付けた清宮選手。元号も新たになる2019年からは、まだ幼さの残るこの19歳が、新時代を象徴する輝きを放つことだろう。

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パ・リーグ インサイト 望月遼太

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