王柏融選手の成功次第だが…… 次に海を渡りそうな台湾人選手は?

パ・リーグ インサイト 上野友輔

2018.11.20(火) 16:00

統一ライオンズの陳傑憲選手
統一ライオンズの陳傑憲選手

 11月9日から行われた千葉ロッテとの交流試合では3試合で11打数2安打という結果だったが、Lamigoモンキーズ・王柏融選手は今オフの日本球界移籍が見込まれている。まだ仮定の話ではあるものの、もし“大王”が日本で成功した場合、「自分も日本で活躍できるかもしれない」、「自分も挑戦してみたい」と思うCPBL(台湾プロ野球)の台湾人選手が出てきても不思議ではない。CPBLを取材する記者たちに、今後、王柏融選手に続きそうな選手を挙げてもらった。

蘋果日報:王翊亘記者

 台湾人選手の守備の水準を考えると、言葉の壁を乗り越える必要がある捕手や、内野手ではなく、外野手が良いのではないかと思います。日本では東京ヤクルトのバレンティン選手くらいずば抜けて打撃力がないと、外国人選手でも一定の守備力が要求されます。また外国人枠のことなど考えても、「助っ人」としては俊足好打の選手ではなく、パワーのある選手でないと必要とされないのではないでしょうか。そうなると、統一ライオンズの蘇智傑選手、中信ブラザーズの陳子豪選手が候補になるのではないかと思います。

【蘇智傑選手(統一)】
球団史上最高額の契約で入団した将来を嘱望される24歳、甘いマスクのスラッガー。規定打席到達経験はないが、3年連続で打率3割、長打率5割超。2016年には埼玉西武の秋季キャンプに参加した。身長180センチ、体重88キロ、右投げ左打ち。

【陳子豪選手(中信)】
高校卒業後にプロ入りを果たした6年目の23歳。身長179センチながら体重89キロと恵まれた体格。左投げ左打ち。フルスイングが持ち味で、あらゆる方向に本塁打を放てる。今季は自己最多115試合に出場し、アジアウインターリーグにも参加して実力を磨く予定。

UDN:蘇志畲記者

 まず一つの道として、現在の高校生が王柏融選手の成功を見て、「CPBLへ入って実力を磨いてから日本へ」という道が新たにできると思います。

 現状で特定の選手を挙げるなら、統一ライオンズの陳傑憲選手ですかね。日本の岡山共生高校に野球留学していたので、日本の環境や文化にも適応できるかと思います。技術面でも、今年はリーグ最多安打を獲得し、昨年も王柏融選手と首位打者争いをしました。やはり王選手は他の選手たちと次元が違うので単純な比較はできないかもしれませんが、数字の面で競り合い、きちんと成績を残していることは間違いないです。

 また彼の場合、日本の高校を卒業しているので、日本のドラフトにかかることもできます。高校生の時はプロ志望届を出して指名されませんでしたが、もしかしたら、今後、日本球界入りのチャンスがあるかもしれません。

【陳傑憲選手(統一)】
岡山共生高校に野球留学し、呉念庭選手(埼玉西武)ともチームメート。台湾へ帰国後にアマチュアの台湾電力でプレーして、統一へ入団。台湾球界屈指の俊足好打の選手で、今季は165安打を放って自身初のタイトルを獲得した。打撃は埼玉西武の秋山翔吾選手、シーズン終盤は外野にコンバートされたが守備は源田壮亮選手を参考にしている。身長173センチ、体重73キロ、右投げ左打ち。

NOWnews:吳政紘記者

 投手2人、いずれもLamigoの選手です。1人目は朱俊祥投手で、彼はまだ23歳。最速150キロを超えるストレートと、スライダーが武器の右腕です。2017年に杉山賢人コーチ(現埼玉西武)に指導を受けて「大丈夫」というお墨付きをもらったようです。来年、再来年と成長が見込まれる楽しみな投手です。

 もう1人はクローザーを務めている陳禹勳投手です。29歳ですが、最速150キロ超のストレートと落差の大きなフォークが武器です。国際試合の経験も豊富で、2015年はプレミア12のメンバーとしても活躍しました。

 台湾ではどうしても投手力が課題と言われますが、ストライクゾーンが狭い中でも、打者のレベルが上がるにつれて投手力も上がりつつあります。彼らのような投手たちが日本で活躍する可能性もあるかもしれません。

【朱俊祥投手(Lamigo)】
身長175センチ、体重70キロと細身ながら、最高球速は150キロ超。登板数は昨季の40試合から今季は25試合と減ったが、被本塁打ゼロ(昨季6本)、与四球もわずか4個(昨季18個)と安定感を得た伸び盛りの23歳。右投げ左打ち。

【陳禹勳投手(Lamigo)】
プロ入り後5年で毎年45試合以上、計285試合に登板した鉄腕。今年はCPBL初の2年連続シーズン30セーブを達成した。プレミア12や日本との交流試合など、国際試合の経験も豊富。身長182センチ、体重83キロ、右投げ右打ち。

 CPBL出身の選手として日本プロ野球に挑む王選手には、「後輩」たちの道を拓けるかどうかのプレッシャーもかかる。しかし、彼が日本で活躍できれば、台湾から日本への移籍が多くなるだろう。一方で台湾球界の空洞化に対する懸念も出てくるかもしれないが、より高いレベルでの勝負を望むのはアスリートの性。さまざまなものを背負うことになる王選手の進路に、注目が集まる。

記事提供:

パ・リーグ インサイト 上野友輔

この記事をシェア

  • X
  • Facebook
  • LINE