
9月27日、みずほPayPayドームで中村晃選手の引退セレモニーが実施された。中村晃選手は、長年ともにチームを支えてきた柳田悠岐選手、今宮健太選手に挟まれる形で「6番・一塁手」として先発出場。
1回裏、2死1塁で迎えた第1打席で好機を演出する二塁打を放つと、7回裏の現役最終打席では、同期入団のオリックス・岩嵜翔投手との対戦が実現。結果は捕邪飛に終わったが、真剣勝負を終えた二人は笑顔で握手を交わし、場内は割れんばかりの拍手と歓声に包まれた。
試合後に行われたセレモニーでは、19年間のプロ生活を振り返る映像のほか、鳥越裕介氏、和田毅氏、福田秀平氏、松田宣浩氏、川崎宗則氏、杉谷拳士氏、石橋貴明氏からのビデオメッセージが放映された。その後、中村晃選手が最後のあいさつを行った。以下、あいさつ全文。
「このような素晴らしい一日を準備していただきました福岡ソフトバンクホークス球団関係者の皆さま、試合に協力してくださいましたオリックス・バファローズの球団関係者の皆さま、そして、今日一日を最高に盛り上げてくださいましたファンの皆さま、本当にありがとうございます。
埼玉で生まれ育った私が、ここ九州・福岡ソフトバンクホークスにドラフトで指名をしていただいてから19年が経とうとしています。王会長の監督最終年でありました2008年から私のプロ野球人生がスタートしました。そこから秋山(幸二)監督、工藤(公康)監督、藤本(博史)監督、そして小久保(裕紀)監督と、プロ野球界の、ホークスの偉大な先輩方のもとプレーできたこと、たくさんの素晴らしい経験ができたこと、本当に素晴らしい野球人生でした。歴代の監督さん、本当にありがとうございました。
小さい頃からここまで私に携わっていただいたすべての指導者の皆さま、時には厳しく、時には優しく、愛のある指導をたくさんしていただいたからこそ、今日という日を無事に迎えることができました。指導者の皆さま、本当にありがとうございます。
そしてチームメイト。チームメイトの皆さんにも本当に恵まれました。一軍の試合に出場することになってからは、8度のリーグ優勝、8度の日本一と、先輩、後輩、同級生、さまざまな立場のチームメイトからたくさんの刺激を受け、ともに高みを目指し優勝を目指して戦えたこと、何度も最高の景色をともに見られたこと、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。チームメイトの皆さん、本当にありがとうございます。
スタッフの皆さん。チームスタッフの皆さんがいなければ、グラウンドでこんなにも多くプレーすることはできなかったです。いつも最高のコンディションを整えてくださり、最高のパフォーマンスを出せる状況を作って送り出していただいたチームスタッフの皆さん、本当にありがとうございました。
そして家族。野球に導いてくれた父、仕事が忙しくてもいつもサポートしてくれた母、明るくて、いつもたくさん応援をしてくれた姉。3人がいなければ今、私がここに立っていることはなかったです。本当にありがとう。
私の第一のファンだと公言している妻と息子。2人には本当にパワーをもらいました。昨年、今年と息子の手術があったり、付き添い入院があったりと、家族3人が揃うことはなかなかなかったですが、いつも試合の前には3人で撮った写真を見て、力をもらって試合に臨んでいました。懸命に生きる息子とそれを支える妻のおかげで、今日という日を迎えることができました。本当にありがとう。
19年を思い返すと、長いようで本当にあっという間だったと感じています。入団してすぐの新人合同自主トレで、近くで練習をされていた長谷川(勇也)さんのバッティング練習に衝撃を受け、プロのレベルの高さに危機感を覚えたこと。2年目の終わり、オフには小久保さんにアリゾナへ自主トレに連れて行っていただきました。一流の練習、プロとはこういうものなのだと身をもってたくさんの指導をしていただきました。入団してから早い段階で一流を知り、お手本となるような先輩方に出会えたことが今の私をつくっていると思います。ありがとうございました。
豪快なホームランが打てるわけでもなく、とんでもないファインプレーがあるわけでもなく、通算の成績を見ても地味です。しかし、そんな私がこのプロ野球という世界で生き抜いてこられたのは、誰にも負けたくない、強いホークスで必ずレギュラーを獲って活躍するんだと、強い気持ちを持ち続けて日々を過ごしてこられたからこそ、ここまで生き抜いてこられたと思っています。
実は、引退会見の後も何度も自分に問い正すことがありました。『まだやれるんじゃないか。本当にここで終わっていいのか』、何度も何度も問い続けました。しかし、最終的に出る答えは変わりませんでした。この強いホークスのレギュラーとして出場していく自信は、力は、まだ私に残っているのか。自信を持って『イエス』と答えられなくなりました。その時点で、潔くユニフォームを脱ぐ。いつも何度も問い正してもその決断に至りました。
本当に寂しいですが、選手人生はここで終わりますが、また新しい人生のスタートだと思っています。これからの人生を懸命に生きていきたいと思っています。
最後になりますが、ファンの皆さま、長きにわたり中村晃という選手を応援していただき、本当にありがとうございました。ファンの皆さまの声援がなければ、ここまでくることはできませんでした。どんなに打てなくても打席に向かうときは背中を押していただき、弱気になる自分を奮い立たせていただきました。ファンの皆さま、本当にありがとうございます。
今日でプロ野球選手人生は終わりますが、またいつか皆さまの前に胸を張って会える日を楽しみに、これからも懸命に生きていきます。19年間、本当にありがとうございました」
あいさつの後は、王貞治球団会長、小久保裕紀監督、秋山幸二氏、工藤公康氏、前田三夫氏、岩嵜翔投手から花束が贈られ、中村晃選手はグラウンドを一周。チームメイトと記念撮影をし、マウンド付近で背番号と同じ「7」回、宙に舞った。