埼玉西武・榎田大樹、東北楽天・山下斐紹、横浜DeNA・中川大志… 2018年新天地で復活した選手

Full-Count

2018.10.11(木) 19:33

新天地の埼玉西武で活躍した榎田大樹※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)
新天地の埼玉西武で活躍した榎田大樹※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

選手層の薄いチームで出場機会を得て開花する選手も

 今シーズンも大詰めを迎え、クライマックスシリーズ(CS)を逃した球団は、すでに来季へ向けた戦力編成に取りかかり第1次戦力外通告期間も終わろうとしている。ドラフト・トレード・フリーエージェント(FA)・外国人選手の入れ替えなど、ストーブリーグの話題も増えているが、2018年シーズン、トレードや戦力外通告に伴う移籍等で新天地に移り、結果を出した選手もいる。新天地で花開いた、成績が上がった選手を見てみよう。

〇榎田大樹(埼玉西武)

 岡本洋介とのトレードで埼玉西武に移籍し、先発ローテの一角として大活躍。安定感ある投球を披露し、23試合(22先発)11勝4敗、防御率3.32と、多和田真三郎(16勝)、菊池雄星(14勝)に次ぐ3番手として存在感を見せた。

 2010年のドラフト1位で入団した阪神では、左のセットアッパーとして2011年、2012年の2シーズンで計54ホールド、3セーブ。防御率も2年連続で2点台と活躍したが、2013年に先発に転向して失敗。16試合4勝9敗に終わり、2014年には24試合7先発と先発、リリーフのどっちつかずの使われ方で成績は下降線となり、2017年にはわずか3試合の登板しかなかった。しかし、移籍した埼玉西武では強力打線の援護もあって本来の投球を取り戻した。ちなみに、阪神に移った岡本は33試合1勝0敗0セーブ、2ホールド、防御率3.89の数字を残している。

〇山下斐紹(東北楽天)

 西田哲朗とのトレードで福岡ソフトバンクから移籍。2013年からの5年間で計37試合出場にとどまっていたが、今季だけで43試合に出場。96打数19安打、打率.198ながら、7月24日の北海道日本ハム戦ではプロ初本塁打となるサヨナラ弾を放った。

 2010年ドラフト1位で千葉・習志野高から福岡ソフトバンクに入団。細川(東北楽天戦力外)、鶴岡慎也(現北海道日本ハム)、高谷、甲斐ら層の厚い捕手陣に、なかなか出場機会を得られなかった。移籍した東北楽天にも嶋という正捕手はいるが、今年12月で34歳。控え捕手の層も薄く、チャンスが回ってきた。打撃面がパワーアップすれば、来季さらに出場機会が増える可能性も大いにある。交換で福岡ソフトバンクに移った西田も、72試合に出場して.211ながら4本塁打とパンチ力が復活しつつあり、お互いにとってWinWinのトレードだったと言える。

〇小川龍也(埼玉西武)

 7月末に金銭トレードで中日から埼玉西武に移籍。中日時代の2016年には44試合に登板したが、今季は1軍登板なしのまま新天地へ。左キラーとして優勝争いを続けた埼玉西武で15試合に登板し1勝0敗、4ホールド、防御率1.59と10年ぶりのリーグ制覇に貢献した。

 2009年にドラフト2位で千葉英和高から中日に入団。2年目の2011年に1軍初登板を果たし初ホールドをマーク。その後は目立った活躍はなかったが2016年に開幕1軍を勝ち取ると44試合に登板しプロ初勝利を含む1勝1敗、9ホールド、防御率2.27の成績を残し左の中継ぎとして活躍。だが、昨年は18試合の登板に終わり、今季は開幕2軍スタートとなり1軍登板がないまま埼玉西武に移籍。左キラーとして登板機会に恵まれ移籍後にいきなりリーグ優勝を経験した。

〇中川大志(横浜DeNA)

 昨年限りで7年間在籍した東北楽天から戦力外通告を受けたが、横浜DeNAに移籍し47試合で57打数13安打、2本塁打、打率.228を記録した。長打率.404と持ち味の長打力も発揮し、特に6月は30打数8安打の.267、2本塁打5打点という成績を残している。

 2008年ドラフト2位で愛知・桜丘高から東北楽天に入団。長打力には定評があり、東北楽天時代にはサヨナラ本塁打、満塁本塁打なども記録している長距離砲ながら、1軍に定着できずに終わった。横浜DeNAは代打の層が薄く、持ち前の長打力を買われての移籍だったが、十分とは言えないまでも存在感は見せた。

〇田代将太郎(東京ヤクルト)

 埼玉西武に在籍5年間で71試合出場にとどまり、2017年オフに戦力外通告を受けて東京ヤクルトに移籍。代走・守備固めを中心に73試合に出場し、31打数10安打1本塁打、打率.323をマークした。

 2011年ドラフト5位で八戸大から埼玉西武に入団。俊足の外野手として守備力は買われていたが、打撃面に難があり、層の厚い埼玉西武の外野陣に割って入ることはできなかった。それでも2017年は自己最多の38試合に出場したものの、課題の打撃で56打数4安打、打率.071とまったく結果が出せず戦力外通告。しかし、青木・バレンティン・雄平とレギュラー外野陣が打力優先のラインアップで、守備力のあるバックアップ外野手を強化したかった東京ヤクルトの目に止まって現役続行となり、復活への足掛かりをつかんだ。

 プロの世界は厳しい。昨年、戦力外から拾われてサヨナラ本塁打を放った大松尚逸(千葉ロッテ→東京ヤクルト)、移籍後にサヨナラ打、満塁本塁打も放った鵜久森淳志(北海道日本ハム→東京ヤクルト)なども、今年すでに2度目の戦力外通告を受けている。今年復活した選手とて、来年の成績次第で現役選手の地位は安泰ではない。しかし、榎田のように環境を変えて復活する選手もいる。今オフ、そして来年も、ギリギリの場所にいる選手たちの戦いは続く。

(Full-Count編集部)

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