引退試合は三塁打&二塁打の2安打で有終の美、同僚の胴上げで10回宙を舞う
■福岡ソフトバンク 8-3 埼玉西武(6日・ヤフオクドーム)
福岡ソフトバンクの本多雄一内野手が6日、本拠地ヤフオクドームでの埼玉西武戦で引退試合に臨んだ。現役最後の舞台は今季のレギュラーシーズン本拠地最終戦。本多はこれまで慣れ親しんだ「1番・二塁」で先発出場すると、第4打席に三塁打、第5打席にも二塁打を放ち、有終の美を飾った。
第1打席は遊ゴロに倒れると、第2打席は四球、第3打席は空振り三振に終わったが、7回の第4打席でファンも待望の瞬間が訪れた。埼玉西武3番手の武隈から右翼線を破る当たりを放つと、プロ生活13年間を支えた快足で一気に三塁へ。プロ通算48本目の三塁打を放つと、8回にはこの日5度目の打席が。打線が繋がって打席が巡ってくると、今度は左中間への二塁打。最後の試合で2本の安打を放ち、最後の試合に自ら花を添えた。
試合後には、引退セレモニーが行われた。王貞治球団会長、同じ鹿児島実高出身で今季で引退する巨人・杉内俊哉投手、米国でリハビリ中のデニス・サファテ投手、故障のために試合に出場出来なかった内川聖一内野手、今宮健太内野手、千葉ロッテの鳥越裕介コーチからビデオメッセージがスタジアムに流れたあと、本多がマイクの前に立った。
「最初に引退試合、引退セレモニーとこの場を設けてくださった球団関係者の皆様ありがとうございます。プロの世界にはいり、王監督の下で3年、秋山監督の下で6年、工藤監督の下で4年、13年間お世話になりました。素晴らしい指導者に恵まれ、技術的にも精神的にも成長させていただきました。監督、コーチ、球団スタッフのみなさま大変お世話になりありがとうございました。また選手の方々、キツイ時も、悔しい時も、それを乗り越え、緊迫した試合の中でリーグ優勝、日本一と歓喜をともに経験できたことを、僕の財産になりました。チーム一丸となって戦うホークスはとても素晴らしいものでした。選手の皆さん、本当にありがとうございました。その日本一になるために応援してくださった応援団の皆様、ファンの皆様、いつも盛大な応援をいただきありがとうございました。今日もそうですが、走れ走れ本多コールはいつも背中を押してくれました。皆様のおかげで毎試合強い気持ちを持って試合に望むことができました。皆さん本当にありがとうございました」と、最後まで“ポンちゃん”らしく、まずはお世話になった人々、そしてチームメート、ファンへの感謝を述べた。
そして、家族への感謝の思いを伝えた。「次にここまで育ててくれたお父さん、お母さん、僕がプロ野球選手になれたのも、周りの方々のサポートはもちろん、両親のおかげだと思っています。いつも陰ながら、陰ながら見守っていただき、共感していただき、ありがとうございました」。そして「また喜怒哀楽激しくわがままな自分を近くで支えてくれた妻…」と夫人への感謝を口にすると、言葉を詰まらせた。
「子供の世話もあるのに顔色一つ変えず笑顔でいつも支えてくれてありがとう。少しはこれから子供との時間増えるかな。これからが大変ですが、一緒に共同して前に進んでいこう」と思いを口にすると、大粒の涙が瞳からこぼれ、頬を伝った。
「最後になりましたが、今日の試合をもって46番のユニホームを脱ぎます。今日で引退します。本日は誠にありがとうございました」と再び感謝の思いで、引退の挨拶を締めくくった本多。最後まで、その人柄が滲み出た引退セレモニー。場内を一周すると、最後は仲間の手で10回胴上げされた。ファンに愛され、ファンを愛した背番号46が、13年の現役生活に別れを告げ、ユニホームを脱いだ。
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