【試合戦評】オリックスがソロアーチ合戦によるシーソーゲームを制す。ルーキー・山本投手は勝ち星つかずも、期待を持たせる一軍デビュー

パ・リーグ インサイト

2017.8.21(月) 00:00

1勝1敗のタイで迎えたオリックス対千葉ロッテのカード最終戦。オリックスは昨年にドラフト4位で入団し、今季はファームで8試合に登板して、2勝0敗ながら防御率0.27の成績を残している山本投手を先発投手として送り出した。

プロ初登板初先発のマウンドで、山本投手は初回先頭打者の加藤選手を一ゴロに打ち取るも、2番のサントス選手には三遊間を破られる。続く鈴木選手には二塁手の後方へ落ちるポテンヒットを打たれ、1死1,3塁となったところでキャッチャーの若月選手と内野陣、平井投手コーチがマウンドに集まった。

この場面で山本投手は、バッターボックスに迎えたペーニャ選手に対して、この日最速となる151キロの速球を2度叩き出す。すると、最後は外角低めへきっちりと制球されたスライダーを投げ込み空振り三振を奪った。続く角中選手も捕手前に転がるゴロに打ち取り、結局、立ち上がりのピンチを無失点で切り抜ける。

初登板のルーキーを早めに援護したいオリックスは、裏の攻撃で2番・大城選手が左翼席へ先制のソロを放つ。だが、千葉ロッテも負けじと直後の2回の攻撃で、田村選手がすぐさま試合を振り出しに戻す同点アーチを放り込む。

追い付かれたオリックスは3回、1死から若月選手が中前打で出塁すると、トップバッターのT-岡田選手が四球を選んで1死1,2塁とする。すると、2死1,3塁となった後に、吉田正選手が8球目の内角高めへの速球を中前にはじき返す。

再びリードしたオリックスは、山本投手が3回を1安打に抑え、4回は2者連続奪三振と勢いに乗る。しかし、5回には先頭の三木選手に外角のスライダーをバットの先でうまく右前へ運ばれると、続く加藤選手にはしぶとく一二塁間を破られて、今度は無死1,2塁のピンチを招く。

このピンチではサントス選手を中飛に打ち取ったもの、続く鈴木選手には四球を与えて満塁としてしまう。ここで、千葉ロッテが代打に送り出したのは井口選手。絶対絶命の状況で大ベテランを迎える状況に気圧されたか、山本投手は捕手の構えたミットの位置になかなか投げ込むことができない。だが、フルカウントから投じたラストボールは三塁前に転がるゴロとなり、ホームと一塁で封殺のダブルプレー。山本投手が最後は凌ぎ切った。

ルーキーの奮闘に応えたいオリックスだったが、6回には後を継いだ岸田投手が、4月29日以来となる一軍登板の代わり端で、角中選手に右翼席一直線の弾丸ライナーを打たれる。試合は再び振り出しに戻ったが、オリックスは7回の先頭打者・中島が低めの速球をバックスクリーンまで運ぶ。最終的に、この試合4本目のソロアーチが決勝点となった。

オリックスは7回にリリーフ登板したヘルメン投手が来日初の勝利投手となり、平野投手が最終回を3人で締めてセーブをマークした。

先発の山本投手に白星はつかなかったが、5イニングスを投げて1失点と及第点の一軍デビュー。いきなりのピンチにも強気な姿勢を見せ、ファームでは33.1回でわずか1四球の制球力も、この試合で無四球と形になって光った。若手が戦力として台頭しているオリックスにとって、19歳になったばかりとは思えぬ新人投手の好投は、目の前の1勝以上に収穫のあるものになるかもしれない。

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