オリックス・近藤選手、楽天・オコエ選手、埼玉西武・多和田投手。再起を図る「2年目」の選手たち

パ・リーグ インサイト

2017.8.12(土) 00:00

「再起」という言葉は、ベテラン選手たちに用いられる場合が多い。しかし今回取り上げるのは、昨年ルーキーだった2年目の選手である。ある者は一瞬の輝きを見せながら故障で離脱、またある者は更なる進化を求める過程で苦しみを味わう。そんな2年目の選手たちの奮闘を紹介していきたい。

まずは今季、オリックス救援陣の一角に定着した近藤投手だ。大阪商業大学、パナソニックを経て、2015年のドラフト2位でオリックスに入団。昨季はルーキーながら見事開幕ローテーションに入り、開幕2試合目の埼玉西武戦で先発登板を果たす。しかし、右肩の違和感から3回でマウンドを降りると、その後シーズンが終わるまで一軍のマウンドに戻ることは叶わなかった。

悔しいルーキーイヤーとなってしまったが、今季、活躍の場を中継ぎに移した近藤投手は、その実力を如何なく発揮する。5月20日に初めて一軍登録されると、登録初日の埼玉西武戦に早速登板。その後は中継ぎ陣の一角として、ここまで31試合に登板して防御率3.03、1勝0敗、11ホールド、1セーブという活躍を見せている。

150キロに迫る直球を武器に登板を重ねる右腕だが、後半戦はさらなる活躍が期待できる。今季失点した5試合のうち、パ・リーグからの失点は7月27日と8月10日の埼玉西武戦のみで、ほかはいずれもセ・リーグとの交流戦でのものだからだ。パ・リーグ相手の防御率は驚異の0.78。魅力的な直球を操る近藤投手の活躍に、今後も注目していきたい。

続いて紹介するのは、楽天のオコエ選手である。関東一高時代には、外野手の手前に落ちる当たりで二塁に到達する脚力など、圧倒的な運動能力で脚光を浴びた。2015年にドラフト1位で楽天に入団し、1年目からその実力の片鱗を見せつける。開幕一軍入りを果たすと、6月18日の横浜DeNA戦ではプロ初本塁打を放った。

さらなる飛躍が見込まれた今季だが、キャンプ2日目で右手薬指を痛め、早々に一軍からの離脱を余儀なくされてしまう。チームが開幕から首位を走る中、ファームで地道に技術を磨く日々が続いたが、オコエ選手はそこでしっかりと結果を残した。昨季はファームで54試合212打数、打率.222だったが、今季は25試合101打数、打率.317をマーク。課題とされた打撃の確実性を高め、8月4日にいよいよ一軍昇格を果たした。

復帰初戦は無安打に終わったものの、翌日は第1打席で二塁打を放つと、4打席目には左前適時打を放ち、ビルドアップした新たな姿を見せつけた。6日の試合でもマルチ安打を記録し、10日の試合では完璧にケースバッティングをこなすなど、ここまで3割を超える打率とともに、チームの勝利に貢献する存在感を見せ付けている。熾烈な首位争いを繰り広げる楽天のキーマンとなれるか、注目である。

最後に埼玉西武の多和田投手を紹介したい。富士大学1年時の明治神宮野球大会準々決勝で、同大会21年ぶりのノーヒットノーランを達成した右腕は、2015年のドラフト1位で埼玉西武に入団した。大きな期待をかけられて迎えたルーキーイヤーは、前半戦こそ怪我で出遅れたものの、8月11日の北海道日本ハム戦で、その年の新人選手としては最速の完封勝利をマーク。その日以降5連勝を決めるなど、前評判に違わぬ実力を見せ付けた。多和田投手の今季の活躍は、ほぼ約束されたものと見られていた。

岸投手が楽天にFA移籍したことで、菊池投手とともに先発ローテーションの柱として期待された今季。4月4日の初登板から4試合続けて白星が付かず、さらに4月29日には右肩の違和感で登録を抹消されてしまう。しかし、6月28日に一軍に復帰すると、復帰2試合目の勝利から3試合連続で白星を重ねる。

7月22日、29日の試合では、いずれも7回を無失点、9奪三振と抜群の投球内容で勝利を手にし、8月12日の千葉ロッテ戦では、自身2度目の完封勝利。今季の成績を10試合4勝2敗、57回、防御率4.42とし、得意とする秋口に向けていよいよ状態を上げてきた。その存在は今後ますますチームに欠かせないものになっていくだろう。

選手生活を怪我も不振もなく、順風満帆に全うする選手はいない。ここで紹介したまだ若い彼らは、自身が持ち得る輝きを確かに見せ付けながら、2年目にして早くも挫折を味わってしまった選手たちである。それを乗り越え、さらなる輝きを見せようとする彼らのプレーに、今後も注目していただきたい。

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