天才的なバッティングセンスを誇る近藤健介選手。昨季は腰の故障に悩まされるも、限られた出場機会の中で存在感を示し、福岡ソフトバンクの日本一に貢献した。3月に行われる「2026 WORLD BASEBALL CLASSIC(以下WBC)」でも、侍ジャパン打線をけん引する役割が期待される。今回は、2023年大会以降の近藤選手のデータを振り返りつつ、今大会での活躍を占っていく。
前回大会後に変化した打撃スタイル

北海道日本ハムに在籍していた22年まで、近藤選手はバットコントロールが売りの「巧打者」として語られることが多かった。しかし、WBCを終えて新天地で臨んだ23年シーズンでは、長打を狙うバッティングスタイルへと転換。26本塁打で自身初となる本塁打王に輝いた。ここで特筆したいのが、スタイルを大きく変えたにもかかわらず打撃の確実性は失っていないことだ。23年こそコンタクト率が80.9%と前年から下がったものの、24年、25年は再び向上。現在の近藤選手は、巧打と強打を両立する唯一無二のバッターとなっている。

近藤選手のもうひとつの強みは、選球眼を生かした出塁能力だ。23年のWBCでは2番打者として出塁率.500をマークし、3番・大谷翔平選手につなぐ重要な役割を果たした。長打を量産するようになった23年以降のシーズンでも、ボールゾーンスイング率は規定打席到達者の中で最も優れた数字を残し、2年連続で最高出塁率のタイトルを獲得。規定打席に到達できなかった昨季も、変わらずレベルの高さを示した。
国際大会でカギとなる速球への対応

ここで、侍ジャパン打線が相対する他国の投手について取り上げたい。優勝を争う強豪国は多数のメジャーリーガーを擁しており、彼らが投じる剛速球への対応は重要となる。23年大会でベスト8入りしたチームの速球系球種は平均球速149.2km/hと、昨季のNPBと比べて2km/h以上速かった。球威のある速球は高めのゾーンで空振りを奪いやすく、実際に高めへの投球割合やスイング奪空振り率もNPBを上回っている。
なお、上記のデータには1次ラウンド敗退となったドミニカ共和国が含まれていないが、同国は速球系の平均球速が154.4km/hと、全20チーム中トップの数値だった。もちろん今大会でも日本にとって警戒すべき相手だ。
強打者ぞろいの侍打線でもトップレベルの対応力


各チームで主軸を担う選手が集まる侍ジャパン打線の中でも、近藤選手は速球系球種に対して打率.366と傑出した数字を残している。球速150km/h以上に限っても打率.286と、今大会のメンバー中3位の好成績だった。また、高めのゾーンでの成績を見てみると、移籍1年目の23年は打率.259と苦戦したものの、翌年には.338まで改善。そして昨季は打率.400に加え、35打数で4本塁打をマークするなど、長打力に磨きがかかっている。
ここまで見てきたように年々すごみを増している近藤選手だが、なおも春季キャンプでは「高めの速い球を捉える確率を上げたい」と打撃フォームの改良を始めており、その探究心はとどまるところを知らない。日本一の打撃職人は3年ぶりの大舞台でどんな姿を見せてくれるのか、ぜひ注目したいところだ。
※文章、表中の数字はすべて2025年シーズン終了時点
文・データスタジアム
