PLM、台湾で東北楽天・宋家豪、北海道日本ハム・孫易磊のオンラインファンミーティングを実施

駒田英(パ・リーグ インサイト)

2025.1.6(月) 11:00

孫易磊(左)と宋家豪(右)とは、今回のファンミーティングのためにつくられた「阿美ジング」Tシャツを着て臨んだ。中央はDAZN台湾の石屹軒アナ ©PLM
孫易磊(左)と宋家豪(右)とは、今回のファンミーティングのためにつくられた「阿美ジング」Tシャツを着て臨んだ。中央はDAZN台湾の石屹軒アナ ©PLM

 パシフィックリーグマーケティング(以下、PLM)は12月9日、台湾・台北市内で、東北楽天ゴールデンイーグルスの宋家豪(ソン・チャーホウ)投手、北海道日本ハムファイターズの孫易磊(スン・イーレイ)投手の二人をゲストに迎え、オンラインファンミーティング「パシフィック・リーグFESTA 2024 in TAIWAN」を開催した。
  
 冒頭、挨拶を行ったPLMメディアライツ事業部海外グループマネージャーの高木隆氏は、今回の企画理由について、「宋家豪、孫易磊の両投手が母国を離れ、日本で素晴らしい成績をあげています。その頑張りをより多くの台湾のファンと共有したい、同時にパシフィック・リーグのことについても、皆さんに広く知っていただきたいと思い、企画しました」と説明した。

 宋家豪と孫易磊がこの日、着用していたのは、二人に加え、所用のため、残念ながらこの日は不参加となった東北楽天の王彦程(ワン・イェンチェン)の3人の似顔絵、そして「阿美ジング」と書かれた、この日のために作成された特製Tシャツだった。「阿美ジング」は「アメイジング」と読む。これは、3人がいずれも台湾原住民族のアミ族の出身であることから、アミ族の台湾華語表記「阿美」の台湾華語読み「アーメイ」と、「アメイジング(Amazing)」をかけたものである。

 台湾でパ・リーグ中継の実況を担当するDAZN台湾の石屹軒アナが進行役をつとめたファンミーティングは、「今シーズンの回顧」、「来季への意気込み」、「パ・リーグの台湾人9選手紹介」、「ファンとのQ&A」のパートに分かれ行われた。本日は、二人が話してくれたことを中心に、ファンミーティングの内容をお届けしよう。

宋家豪:積み上げた9年のキャリア。目標は50試合登板と台湾人救援投手初の「国内FA権取得」

 宋家豪は、一軍通算300試合登板、通算300イニング投球を達成した今シーズンまでの日本プロ野球の9年間について、「さまざまな困難を乗り越え、ここまで頑張ってきたことを誇りに思います」と振り返った。そして、今季、最も満足だった点は、昨年よりも球速がアップしたうえ、捕手の構えた位置に投げられたこと、と語った。

 一方、順調な滑り出しを切りながら、中盤、不調に陥ったのは疲労感によるものだったと説明、ただ、調整方法は十分に心得ていると胸を張った。また、9月下旬、「違和感」により緊急降板を余儀なくされた試合については、これまでの野球人生で初めての経験だっただけに、今季一番印象に残る試合となったと述べ、「完全に回復しました。ボールを投げても全く問題ないです」と強調した。

 10年目のシーズンとなる来季の目標については「一軍50試合登板。怪我なく、ベストを尽くすこと」と語った。また、取得すれば外国人枠を外れる「国内FA権の取得」までは1年あまり、この点については「台湾の先輩でFAを取得した郭泰源さんと許銘傑さんの二人は、いずれも先発投手でした。僕は救援投手なので、マイルストーンになると思います」と力を込めた。

 なお、中継ぎ、救援投手としてマウンドに立つ際の心構えについては、「バックを信じ、ピンチを一緒に切り抜ける。そうしたプラス思考でいることが重要」と答えた。また、最も威圧感を感じるチームはどこかという問いには「ソフトバンク打線」と即答、「9番までしぶとい。特にビジターだとドームなのでファンの声援がすごくて……」と苦笑いした。

孫易磊:高校時代とプロ生活の違いを痛感、反省を糧に成長誓う

 昨年6月に高校を卒業、今季が日本プロ野球1年目だった孫易磊は「高校時代と、長いシーズンを戦うプロ野球ではいろんな点が違った」と素直に振り返った。そして、自分自身は疲労感を覚えていなかったものの、7月から8月にかけ、平均球速を含め、各種の数値が落ち込んだため、球団から1カ月間、ノースロー調整を指示されたと明かした。そして9月、中継ぎで復帰した際は球速も回復したという。

 今季、最も印象に残った対決は、「TV中継で見ていた」という埼玉西武・金子侑司との対決だったといい、ツーストライクと追い込んだあと興奮し、力んで直球を続けたところ、二塁打を打たれてしまった、と苦笑した。

 チーム内の「大先輩」では誰と話したか、という問いには、宮西尚生の名を挙げ、「最初はとても話しかける度胸はなかったのですが、食事に連れて行っていただき、それからスライダーの投げ方や、粘る日本の打者にどう立ち向かったらいいかなどうかがいました」と打ち明けた。 

 現在の日本語のレベルについては、聞き取りはほぼできるようになったものの、いざ話そうとすると、単語がスムーズに出てこない状態だという。

 また、ファンから「生野菜サラダ」が苦手らしいがと指摘されると、「噛む時の『ギギギ』という音が苦手」と認め、大きめの葉っぱがあれば、それで包むようにして一口で飲み込んでいる、と明かした。

 2年目となる来季の目標について、「背番号を二桁にすること(支配下登録)か」と問われた孫易磊は、「もちろん、それが一番」としたうえで、「今年1年、プロでやっていくうえで、さまざまな欠点や、認識しなければならない点がありました。来年は、今年と同じ失敗を繰り返さないようにしたいです」と成長を誓った。育成選手という事もあり、球団も本人も、身体づくりが重要と考えており、今年既に筋肉量だけで2キロ増。このオフも、筋力アップを目指し、日々トレーニングに励んでいるそうだ。

パ球団に、新たに6人の台湾人が入団 宋家豪「まず環境に慣れ、単語だけでもいいので日本語で交流を」

 今年のドラフト会議では、埼玉西武ライオンズが4位で林冠臣(日本経済大学)、東北楽天ゴールデンイーグルスが6位で陽柏翔(BC茨城)と、「日本人扱い」でドラフト会議に参加した台湾人選手が指名されたほか、北海道日本ハムが、台湾プロ野球の統一セブンイレブン・ライオンズからポスティング申請した古林睿煬と支配下契約、さらに、オリックス・バファローズが陳睦衡、東北楽天ゴールデンイーグルスが蕭齊、福岡ソフトバンクホークスが張峻瑋と、いずれも新北市の強豪高校、穀保家商をこの夏に卒業した選手と育成契約を行った。パ・リーグ球団所属の台湾人選手はこのオフ一挙に6人増え、総勢9人に達した。

 林冠臣は、宋家豪にとっては中学(桃園市光明中)の後輩、陳睦衡、蕭齊、張峻瑋の3人は、孫易磊にとって、高校(穀保家商)の1年後輩にあたる。

 「大先輩」にあたる宋家豪は、「まず、日本プロ野球の環境に慣れること。最初は通訳さんの助けを借りつつも、簡単な単語でもいいので、とにかくチームメイトと日本語で交流すること。そして、日本は練習も自主性が高いので、決して気を抜かず、練習をしっかりこなすこと」と後輩たちへのアドバイスを行った。

 既に高校の後輩たちから電話があったと明かした孫易磊は、まさに宋先輩のアドバイスの通りだとして、「何も話さないと、困っていても相手に伝わらないし、アドバイスももらえない。とにかくチームメイトと交流することが重要」と伝えたという。また、同僚となる古林睿煬に対しては、「古林先輩は、技術的な部分は問題ないと思います。よりすぐれたパフォーマンスを発揮するためには、キャッチャー陣に自分のことをしっかり理解してもらわないといけないので、コミュニケーションを積極的に取ることが重要です」と述べた。

自身の応援タオルを手にした二人 ©PLM
自身の応援タオルを手にした二人 ©PLM

孫易磊は大先輩の「金言」に感謝、宋家豪は「仙台愛」語る

 二人はイベントとは別に、「パ・リーグインサイト」の独占インタビューにも応じてくれた。孫易磊は、今回のファンミーティングを通じ、同じ育成契約出身の大先輩、宋家豪のさまざまな「金言」を聞くことができたことについて、「日本での9年間、きっとさまざまなことがあったと思いますし、今日まで先輩がプレーされてきたことは本当に凄いと思います。自分は1年目、わからないことも多かったので、話を聞ける機会を持ててよかったです」と収穫を語った。そして、自身の来季については「焦ることなく、一歩一歩、着実に成長していきたい」と意気込みを示した。ちなみに、現在チーム内で特に仲がいいのは、内野手の星野ひのでと、同じ育成契約の左腕、加藤大和の「同期」入団の2選手だといい、ラーメンなどを一緒に食べにいったりしているという。

 一方、来季10年目、現在は家族と仙台で暮らす宋家豪には、あらためてイーグルスの地元、仙台への思い入れを聞いた。

 宋家豪は「私も、家族も、仙台の街を愛しています。皆さんとっても優しく、ファンの方々と街で会うと挨拶をしてくれます。生活リズムが少しゆっくりなところも気に入っていますね。子どもにとっても心地よく、子育てに向いている土地だと思います」と、仙台愛をたっぷり語ってくれた。 

 2025年、二人が実力を十分に発揮し、満足のいくシーズンを送ってくれることを期待したい。「パ・リーグインサイト」では今後も二人をはじめ、一躍、大所帯となった台湾出身プレーヤーの情報をお届けしていく予定だ。

文・駒田英

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記事提供:

駒田英(パ・リーグ インサイト)

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