チーム打率(.259)、安打数(1244本)、本塁打数(114本)、得点(607点)はいずれもリーグ1位の数字で、打線が快進撃の原動力となった。そのなかでも、新加入の山川穂高選手は最多本塁打と最多打点の2冠を獲得。近藤健介選手も首位打者に輝いた。リーグ制覇を果たした2024シーズン、福岡ソフトバンクの野手陣の活躍を振り返りたい。
全試合で4番に座った山川穂高
今季から福岡ソフトバンクの一員になった山川選手は、全試合で4番としてスタメンに名を連ねた。4月13日の埼玉西武戦で史上2人目の2打席連続満塁本塁打を記録するなど、5月までに12本塁打。6月は打率.182、0本塁打と低迷したが、7月に6本塁打、8月は11本塁打と夏場以降は再び調子を取り戻し、9月は月間打率.308をマーク。チームで唯一全試合出場を果たし、34本塁打、99打点で2冠に輝いた。守備では、一塁手部門で自身初の三井ゴールデン・グラブ賞を受賞している。
リーグ唯一の3割打者。パ・リーグMVPを獲得した近藤健介
同じく中軸を担った近藤選手は「投高打低」が叫ばれるなか、リーグ唯一の3割打者になった。打率.314、出塁率.439で自身初の首位打者と、最高出塁率のタイトルを獲得。パーソル パ・リーグの最優秀選手にも選出された。
特に6月は、柳田悠岐選手が戦線離脱、山川選手も不振と苦しいチーム状況のなか奮闘。2日の広島戦で2回に先制ソロを放つと、延長10回にはサヨナラ2ランを右中間へたたき込み勝利の立役者に。その月は打率.413、7本塁打、23打点で「大樹生命月間MVP賞」を獲得した。
周東佑京が2年連続盗塁王に。栗原陵矢、今宮健太は期待通りの活躍
自身初の規定打席に到達したのは周東佑京選手。4月13日の埼玉西武戦で5打数5安打の固め打ちを披露するなど、4月の月間打率.346と好スタートを切った。以降は不振に陥る時期もあったが、最終的に自己最多の123試合に出場。打率.269、2本塁打、26打点、41盗塁をマークし、2年連続の盗塁王に。スピード感あふれる守備でもチームを救い、三井ゴールデン・グラブ賞も初受賞。ベストナインにも輝き、充実したシーズンを送った。
シーズン序盤に苦しんだ栗原陵矢選手だったが、5月は月間打率.373、3本塁打、16打点でプロ10年目にして初の「大樹生命月間MVP賞」に輝く。柳田選手の離脱後は3番に座り、強力クリーンナップの一角を担った。優勝が決まるシーズン終盤にかけて再び調子を上げ、9月はリーグトップの24打点。今季2度目となる月間MVPを9月・10月度に受賞した。
内野の要としてチームを支えたのは今宮健太選手だ。133試合に出場し、打率.262、6本塁打、39打点で2年ぶりのベストナインに選出。8月4日には遊撃手として通算1532試合の出場を果たし、松井稼頭央氏を抜いてパ・リーグ最多記録を更新している。
柳田悠岐が離脱も…… 柳町達、正木智也が台頭
開幕から3番打者で出場し、好調を維持していた柳田選手。4月29日の埼玉西武戦では右中間への一発を放ち、チームを3試合連続サヨナラ勝利に導いた。3月・4月は、打率.323、30安打、22打点、出塁率.462で「大樹生命月間MVP賞」を獲得。しかし、このままの勢いが続くと思われた矢先、5月31日の試合にて負傷交代。翌日に登録抹消され、シーズン最終盤まで戦線を離脱した。
柳田選手の穴を埋めるように、中盤以降は若鷹が力を発揮した。ファームから昇格した柳町達選手は、交流戦で12球団中3位の打率.351をマーク。8月4日の北海道日本ハム戦で自身初のサヨナラ打、代打として出場した9月21日には東北楽天・則本昂大投手から逆転サヨナラ三塁打を放つなど、勝負強さを見せつけた。
大卒3年目の正木智也選手も飛躍を遂げた。福岡ソフトバンクには少ない右の強打者として存在感を放ち、対左投手打率.320を記録。8月23日の北海道日本ハム戦では、延長10回に宮西尚生投手から決勝弾を放った。80試合に出場し、打率.270、7本塁打、29打点はいずれもキャリアハイの成績。来季はさらなる活躍を期待したい。
ドラ3ルーキー・廣瀬隆太が一軍デビュー
二塁の定位置をつかみ取り、開幕を迎えた牧原大成選手。4月の月間打率.308とシーズン序盤は安打を量産していたが、4月下旬にケガで戦線を離れてしまう。三森大貴選手も5月31日にケガで登録抹消と、2度の二塁手離脱の事態に陥った。
この危機に結果で応えたのは、ドラ3ルーキーの廣瀬隆太選手だ。5月下旬に初めて一軍に昇格。6月4日の中日戦でプロ初安打をマークすると、14日の阪神戦でプロ初本塁打を放つなど爪跡を残した。牧原大選手の復帰後はファームで実戦を重ねたが、来季も存在感をアピールするだろう。
川村友斗が開幕前に支配下登録。笹川吉康も一軍の舞台へ
2021年の育成ドラフト2位で入団した川村友斗選手はオープン戦から結果を残し、開幕前に支配下契約を勝ち取った。開幕一軍でシーズンを迎え、初出場した4月6日の東北楽天戦で初安打・初打点をマーク。4月下旬から5月上旬にかけて11試合連続安打を放ち、4月は月間打率.393を記録した。
プロ4年目の笹川吉康選手も一軍デビューを果たした選手の一人だ。6月14日の阪神戦でプロ初安打をマークし、翌15日には豪快なプロ初本塁打を放った。柳田選手を彷彿とさせるフルスイングに来季も期待せずにはいられない。
実績のある選手に伸び盛りの若手が融合し、リーグ制覇を成し遂げた福岡ソフトバンク。来季はリーグ2連覇、さらには今年逃した日本一を目指し、圧倒的な強さを見せたい。
文・谷島弘紀
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