安定感が向上し、先発投手として頼もしい存在に
2021年ドラフト8位で北海道日本ハムに入団した北山亘基投手。昨季は開幕直後に先発へ転向し6勝を挙げると、今季はここまで6試合で3勝をマーク。4月20日の千葉ロッテ戦でプロ初完封勝利を飾るなど、好調なチームを支える存在となっている。投球成績を昨季と比べてみると、奪三振率が8.19から10.00に上昇。打球が発生しない形で確実にアウトを重ねることで、1イニングあたりの走者の数を示すWHIPも少なくなり、投球の安定感が向上したといえる。
軸となるストレートの投球割合に注目
今回は奪三振が増えた理由を探るべく、投球内容をさらに詳しく見ていきたい。北山投手は全投球の60%程度をストレートが占めるが、イニング別で見ると昨季は徐々に割合が低下していき、7回以降は変化球よりも少なくなっていた。一方で、今季は終盤まで割合がほとんど変わらず、試合を通じてストレート中心のピッチングを貫いている。
終盤まで球威が衰えない
ストレート勝負を続けられるようになった大きな要因は、球威が落ちにくくなったことだ。イニング別でストレートの平均球速を見てみると、昨季は7回以降に序盤と比べて平均2.5キロの球速差があったが、今季はその幅が1.2キロ程度にとどまっている。先述の完封を果たした千葉ロッテ戦では8回に150キロ、9回に153キロを計測。先発投手にとって重要な、スタミナ面の改善が数字に表れている。
直球とフォークの相乗効果で三振を奪う
続いて変化球に目を向けてみよう。球種別の投球割合を見ると、今季はフォークの割合がカーブと同程度まで増えている。カーブはカウントを問わず14%の割合で投じている一方で、フォークは2ストライクに追い込む前の割合が6%程度と低く、追い込んだ後には35%まで上昇するのが特徴だ。このようにフォークを決め球として積極的に使っている点が、昨季とは大きく異なる。
そして今季の北山投手のフォークは投球割合が増えただけでなく、質も向上している。打者がスイングした際に空振りを奪う確率は、昨季の31.4%から一気に41.5%まで上昇し、リーグ平均を上回った。さらに今季は、ストレートの奪空振り率も平均を大きく上回る水準をマークしている。球威の増した直球と、頼れる決め球。2球種を軸とした組み立てによって、昨季よりもハイペースで奪三振を積み重ねている。
その研究熱心さから 「教授」の愛称でファンに親しまれる北山投手。5月は苦しい投球を強いられる試合もあったが、ここまでの成績を見れば先発としての成長ぶりは誰もが認めるところだろう。今後も一軍のマウンドでブラッシュアップを続け、自身にとってもチームにとっても飛躍の1年とすることができるか。背番号57のピッチングに、今後も注目していきたい。
※文章、表中の数字はすべて2024年5月24日終了時点
文・データスタジアム
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