今季は誰が? 昨年のキャンプで一軍に抜擢され、シーズンでも存在感を示した選手たち

パ・リーグ インサイト 望月遼太

2024.3.2(土) 08:00

左から東北楽天・内星龍投手、福岡ソフトバンク・大津亮介投手、オリックス・東晃平投手(写真は2023年時)【写真:球団提供】
左から東北楽天・内星龍投手、福岡ソフトバンク・大津亮介投手、オリックス・東晃平投手(写真は2023年時)【写真:球団提供】

キャンプで一軍に抜擢された若手選手が、シーズンでも活躍した例は少なくない

 球春の到来を告げる春季キャンプが各地で行われた。プロ野球の春季キャンプは基本的に、一軍と二軍にメンバーの割り振りがなされる。その際、一軍メンバーには主力選手だけではなく、飛躍が期待される若手選手が含まれることも少なくはない。

 今回は、昨年のキャンプで一軍メンバーに抜擢され、シーズン開幕後も一軍で活躍を見せた選手たちについて、パ・リーグの各球団ごとにピックアップ。キャンプにおける期待の大きさを結果に結び付けた選手たちについて、あらためて振り返っていきたい。

 なお、2023年の千葉ロッテはキャンプ開始時点で一軍・二軍の振り分けを行わなかったため、キャンプ中盤の二次キャンプにおける遠征メンバーに含まれた選手たちを、便宜上一軍メンバーとして取り扱っている。

北海道日本ハムファイターズ

 奈良間大己選手はドラフト5位と下位指名での入団ながら、1年目のキャンプで一軍メンバーに抜擢を受ける。シーズンに入ってからも内野の3ポジションをこなしながら65試合に出場し、打率.243と一定の数字を記録。内野のスーパーサブとして存在感を放ってみせた。

 細川凌平選手は2022年までの3年間における一軍出場が29試合だったが、2023年は期待を受けて一軍のキャンプにも選ばれ、開幕後も内野の全ポジションと外野を守るマルチな才能を発揮。過去3年の倍以上となる60試合に出場し、さらなる活躍に期待を持たせた。

 韋駄天の五十幡亮汰選手は将来を嘱望されながらケガに泣かされ、2年間でわずか33試合の出場にとどまっていた。だが、2023年はキャンプから一軍に帯同し、2度の離脱がありながら70試合に出場して17盗塁を記録。持ち前の脚力の一端を示し、確かな足跡を残した。

東北楽天ゴールデンイーグルス

 プロ入り後の2年間で一軍登板がなかった内星龍投手は、2023年のキャンプで一軍に抜擢。シーズン開幕後も4月下旬からブルペンに定着し、53試合に登板して防御率2.28と好成績を残した。キャンプでの抜擢をシーズンでの飛躍につなげた、典型的な好例といえよう。

 渡辺翔太投手もルーキーながらキャンプで一軍に抜擢され、6月に一軍に昇格して以降はリリーフとしてフル回転。51試合で25ホールド1セーブ、防御率2.40と勝ちパターンの一角として機能し、新人王の投票でも2位に入るなど、1年目から出色の活躍を披露した。

 小郷裕哉選手は2021年から2年連続で打率1割台と苦しみ、2022年はわずか10試合の出場に終わった。しかし、2023年はキャンプで一軍に帯同し、開幕後も一軍で躍動。自己最多の120試合に出場して打率.262、自己最多の10本塁打とキャリアハイの活躍を見せ、外野のレギュラーをつかんでみせた。

埼玉西武ライオンズ

 ドラフト4位ルーキーの青山美夏人投手は、キャンプで一軍に抜擢されて開幕一軍入りを果たす。開幕戦でクローザーとして起用されるなど高い期待をかけられ、年間を通じて一軍でプレー。39試合で防御率2.96と安定した投球を見せ、1年目からブルペンを支えた。

 同じく2023年がプロ1年目だった児玉亮涼選手は、ドラフト6位と下位入団ながらキャンプで一軍メンバー入り。そのまま開幕を一軍で迎え、ワールド・ベースボール・クラシックで負傷した源田壮亮選手の代役を務めるなど、56試合に出場して攻守に奮闘を見せた。

 プロ1年目の2022年に26試合に出場した古賀悠斗選手は、2023年はキャンプから一軍に帯同。開幕一軍入りを果たすとそのまま主戦捕手となり、チームの捕手で最多となる100試合に出場。リーグトップの盗塁阻止率.412を記録し、森友哉選手の抜けた捕手陣を懸命に支えた。

千葉ロッテマリーンズ

 友杉篤輝選手はルーキーながらキャンプからアピールに成功し、開幕一軍入りを勝ち取る。その後もシーズン最終盤まで一軍に帯同し、64試合で打率.254と一定の数字を記録。守備と走塁でも高いセンスを随所で発揮し、1年目からショートの定位置を争ってみせた。

 2022年はわずか1試合の登板で防御率27.00と苦しいシーズンを送っていた横山陸人投手は、2023年に38試合と登板機会が大幅に増加。奪三振率9.61と持ち味を発揮して10ホールドポイント・1セーブを記録するなど、一時は勝ちパターンの一角として奮闘を見せた。

 池田来翔選手はプロ1年目の2022年に11試合で打率.091とプロの壁に苦しんだが、2023年は確実性が大きく向上。開幕一軍入りはならなかったが、5月に月間打率.373と大活躍。右手薬指の骨折もあって40試合の出場にとどまったものの、確かな成長を示している。

オリックス・バファローズ

 育成選手として入団した新助っ人のセデーニョ選手は、キャンプから一軍に帯同。開幕後も二軍で圧巻の打棒を見せ、5月に支配下登録を勝ち取る。一軍昇格後はわずか57試合で9本塁打を放って一時は4番も務めるなど、長距離砲として随所で存在感を発揮してみせた。

 東晃平投手はキャンプで一軍入りを果たしたものの、開幕後は中継ぎとして結果を残せず、再調整を余儀なくされた。だが、7月末に一軍に再昇格して以降は先発として無傷の6連勝を記録し、シーズン防御率2.06という抜群の投球を披露してブレイクを果たした。

 宜保翔選手は2020年から3年連続で打率1割台と苦しみ、一軍定着のきっかけを作れずにいた。しかし、2023年はキャンプで一軍に抜擢され、シーズンでも打率.279と長足の進歩を示した。出場試合数も62試合と大きく増加し、飛躍の足がかりをつかむシーズンを送った。

福岡ソフトバンクホークス

 大津亮介投手はルーキーながらキャンプを一軍で迎え、そのまま開幕一軍の切符をつかむ。開幕後もリリーフとしてフル回転の活躍を見せ、46試合で13ホールド、防御率2.43と安定した投球を披露。即戦力の期待に応え、ブルペンに欠かせないピースとして奮闘した。

 巨大戦力を誇るチームなだけあり、キャンプの一軍メンバーも大半は実績組が中心。また、リチャード選手、正木智也選手、生海選手といった、キャンプで一軍に抜擢された若手も一軍では結果を残しきれず、「抜擢」という面では大津投手以上の存在は見当たらなかった。

 そんな中で、川瀬晃選手は2022年の時点で73試合と一定の出場機会を確保していたものの、2023年もキャンプから一軍に帯同し、自身初の100試合以上に出場。打席数も前年の106から208とほぼ倍増させ、内野のスーパーサブとしてこれまで以上に存在感を放った。

 このように2024年シーズンにおいても、キャンプで抜擢を受けた選手たちの中から、開幕後に一軍で台頭を見せる存在が現れるはずだ。ファンならずとも楽しみな各チームにおける若手選手たちの躍動に、今からぜひ注目してみてはいかがだろうか。

文・望月遼太

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パ・リーグ インサイト 望月遼太

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