上沢直之投手がアメリカ・メジャーリーグのタンパベイ・レイズとメジャーリーグキャンプへの招待付きマイナー契約を結んだと、1月12日にレイズの公式SNSで発表された。
上沢投手は2011年ドラフト6位で北海道日本ハムに入団。度重なるケガを乗り越えながら通算173試合に登板し、70勝62敗、防御率3.19の成績を残している。これまでの上沢投手のパ・リーグ公式戦での登板から印象的な3試合を選んだ。
2014年9月15日 同期バッテリーで成し遂げたプロ初完封勝利
プロ3年目の2014年にプロ初登板を果たし、初白星含む8勝を挙げた上沢投手。その先発ローテーションに定着したシーズンから、9月15日オリックス戦を見てみたい。
序盤のピンチをしのいだ上沢投手は、緩急を生かした投球で4回以降、4イニング連続で3者凡退。特に7回表は3番・糸井嘉男選手(現・阪神SA)から始まる中軸をわずか7球で打ち取った。8回表、100球を超えたところで四球を与えたが、ここも踏ん張り、いよいよ9回のマウンドへ。
先頭打者に6イニングぶりの安打を打たれるも、続く安達了一選手を見逃し三振。最後は糸井選手を3-6-3の併殺に仕留めてゲームセット。表情に疲労をにじませながら、9回127球を投げ抜いた上沢投手は散発3安打、与四球2、6奪三振の力投。同期の近藤健介選手(現・福岡ソフトバンク)とのバッテリーでプロ初完投・初完封勝利を飾った。
ちなみに上沢投手の対戦チーム別成績を見ると、オリックス戦はプロ通算20勝と最も勝っている。2018年から今季途中までオリックス戦は自身12連勝を記録。相手が25年ぶりの優勝を果たした2021年も、上沢投手は負けなしの4勝、防御率2.18と相性の良さは変わらなかった。
2021年 栗山英樹氏のホーム最終戦で見せた好投
続いては2021年10月26日の試合。北海道日本ハムの監督を退任することが決まっていた栗山英樹氏の札幌ドーム最終戦だ。
栗山氏は上沢投手がプロ1年目だった2012年に北海道日本ハムの監督に就任。上沢投手に開幕投手を2度任せるなど、右腕を成長させた存在といえよう。その「同期入団の指揮官」の花道を飾るべく、上沢投手が先発マウンドに上がった。
初回から3球三振を奪うなどすばらしい立ち上がりを見せると、5回を終えてわずか被安打1。相手先発の與座海人投手と投手戦を演じる。0対0のまま迎えた8回、110球目となるストレートで外崎修汰選手から空振り三振を奪い、8回途中2安打7奪三振無失点でこの日の役目を終えた。
栗山氏が自らマウンドへ赴き、上沢投手に声をかける投手交代のシーンも印象的。当時胸がいっぱいになったファンも多いのではないだろうか。
2023年5月17日 5年ぶりの完封勝利
最後は2018年以来、5年ぶりの完封勝利となった昨年5月17日埼玉西武戦を振り返る。
初回から走者を許すも、3塁は踏ませず。7回には打球が直撃するアクシデントもあったが、マウンドを譲ることなく、9回120球4安打2四球と試合を支配した。チームが前日に9人の継投で延長12回を戦っていたこともあり、ブルペンを助ける完投劇でもあった。
マイナー契約からメジャーリーグのマウンドを目指す
昨年はリーグ最多170イニングを記録し、3年連続で規定投球回に到達と「イニングイーター」ぶりが光る上沢投手。最初の関門はマイナーからメジャーへ這い上がれるか。上沢投手のアメリカでの挑戦に注目だ。
文・菊地綾子
関連リンク
・上沢直之 動画/記事/成績
・上沢直之が史上364人目となるNPB通算1000投球回を達成
・上沢直之ら3本柱が奮闘【2023投手振り返り】
・エスコンフィールドでしか作れない!オリジナルテディベアカスタム体験
・どうなる“新生”ファイターズガール ディレクターが見据える2024シーズン
記事提供: