11月10日・11日、都内某所で埼玉西武ライオンズ公式パフォーマンスチーム「bluelegends(ブルーレジェンズ)」の新メンバーオーディション二次審査が行われました。
メンバー入りを目指す受験者にとって“人生の分岐点”となるかもしれない特別なこの日、bluelegendsディレクターのYukiさんは「審査員にとっても戦いの日」だと話します。
今回は、長きに渡りプロ野球パフォーマー界で活躍するYukiさんに「プロ野球パフォーマー界の“現在”」についてなどさまざまなお話をお聞きしました。オーディションに挑む受験者たちの様子とともにお伝えします。
bluelegendsのオーディションはまず、WEB上の応募フォームにプロフィールとダンスやアクロバットなどのパフォーマンス動画を送付し一次審査を受験します。
一次審査に通過すると、二次審査で初めて審査員を前にしてのダンス審査。事前に配信されたダンス動画の振り付けを踊る「課題ダンス」、規定の曲で自由にパフォーマンスをする「フリースタイルダンス」ふたつのダンス審査が行われ、通過者のみ面接審査へ進みます。そして後日メールで合格者発表が行われる流れです。
「年々レベルも上がってきているので、書類・動画選考は昨年よりも厳しく審査しました」とYukiさん。今年はどんなオーディションになったのでしょうか。
Yukiさんは、プロバスケのチアリーダーを経験しスポーツ応援の魅力を知ったことをきっかけに、bluelegends発足年度となる2011シーズンのオーディションを受験し合格。2015シーズン(2013除く)までメンバーとして活動したのち、卒業後はコーチを経て、2018シーズンからダンスの振付と指導・演出・メンバーのマネジメントなどを担うディレクターを務めています。
オーディションを受験する側から審査する側となった今「毎年どのような気持ちでオーディションに臨んでいますか?」と聞くと
「受験者はこの日に賭けて挑んできてくれるので、私も準備段階から当日まで全力で臨もうという気持ちで、審査員にとっても戦いです! 緊張感もありますが、毎年『早く受験者に会いたい』というワクワクした気持ちで会場へ向かいます」と回答。
受験者の気持ち、またオーディションの厳しさを知っているからこそ、審査する側も受験者に真剣に向き合う“戦い”。新たな才能と出会える楽しみと、短い時間で判断しなければならない緊張感が入り混じります。
面接審査では、受験者と会話をするように質問するのが印象的だったYukiさん。時には受験者の特技を「今ここでできますか?」と無茶振りするも、受験者はなんなく披露し面接会場の空気が一変、審査員全員が惹きつけられているのを感じる場面もありました。
Yukiさんは「メンバーの個性を尊重して指導すること」に重きをおき「メンバーの経歴や性格、何気なくした会話からヒントを得て指導や演出に生かすことも。また厳しくも全力で指導し、楽しむときは全力で一緒に楽しむことを心がけています」と話します。
プロ野球のパフォーマンスチームは一年に一度オーディションがあり数名のメンバーが必ず入れ替わるので、チーム名は変わらずとも、毎年新たなチームとしてスタートします。面接時からすでに、来シーズンから共にbluelegendsを創っていくメンバーとして会話をすることで、Yukiさんのなかで新体制でのチーム作りが始まっているのかもしれません。
Yukiさんは今年のオーディションについて、
「bluelegendsを目指すからにはチームのことを知って好きになってもらいたいので、どんなチームなのかを理解していることがしっかり伝わる人はとても印象的でした。現役メンバーと対等、またそれ以上のダンススキルや特技を持っている方もいて、合格者を決めるまで本当に悩みました。審査員でたくさん話し合い、時間をかけて選考したので来シーズンが今から楽しみです」と、振り返ります。
今シーズン、海外遠征やアーティストのバッグダンサーを務めるなど活動の幅を大きく広げたbluelegends。プロ野球パフォーマーを取り巻く環境も大きく変化している今、長きに渡りプロ野球パフォーマー界で活躍するYukiさんは現状をこうとらえます。
「パフォーマンスチームの公式SNSアカウントを持つことも当たり前な時代になり、昔と比べて世間から認知されやすい環境で、今まで選手だけにフォーカスされていたものが、パフォーマー単独でもメディア露出が増えるなど注目度は高くなっていると感じます。
便利なツールが増えたことでファンの皆さまに情報を届けやすくなった半面、そこに頼りすぎてしまう一面もあるのかなと感じるので、SNSなどは実際に球場へ足を運んでいただくきっかけとなるような活用をして、リアルでのコミュニケーションも大切にしていきたいです。
またダンサーが職業として認められてきたのも大きな変化で、一般的にダンサー人口が増えたことによってプロ野球パフォーマーのレベルも年々上がっていると思います。球団によっては男性パフォーマーが活躍するチームもあり、世間がイメージする“チアリーダー”にカテゴライズされない多様性も大きな変化ですよね」
来シーズン、プロ野球パフォーマー界のさらなる発展を願うとともに、bluelegendsの活躍にも期待です。 ベルーナドームで観戦の際はぜひbluelegendsにも注目を!
取材・文 池田紗里
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