初回は無失点も3者連続フルカウント…30球を費やす苦投
■福岡ソフトバンク 9対3 埼玉西武(13日・ベルーナドーム)
埼玉西武のサブマリン・與座海人投手は13日の福岡ソフトバンク戦(ベルーナドーム)に先発したが、3回までに84球を要し4失点で降板。チームは3対9で敗れ、自身6敗目を喫した(2勝)。14日には出場選手登録を抹消された。福岡ソフトバンクには8月2日の対戦(同)で9回104球無失点完封勝利を挙げているが、なぜ対照的な結果になってしまったのだろうか。
初回の投球は無失点に抑えたが、なんとも苦しい内容だった。1死から2番・三森大貴内野手、3番・柳田悠岐外野手、4番・近藤健介外野手に、いずれもフルカウントに。三森と柳田には四球を与えたが、近藤を9球目のシンカーで空振り三振に仕留め、続く中村晃外野手も一邪飛に打ち取り一息ついたが、この回だけで投球数は30球にのぼった。
與座は試合前の時点で、今季福岡ソフトバンクに3試合1勝2敗も、防御率2.25と比較的得意としていた。完封した8月2日の対戦では、試合時間わずか2時間8分で片付けていた。しかし、松井稼頭央監督が「球数が多かったというより、相手に粘られた。相手は研究してくるわけですから」と指摘した通り、同じやり方で何度もうまくいくほどプロは甘くない。
3点リードの3回、1死二塁で三森に99キロのカーブを右翼席へ運ばれ、さらに2死2、3塁から今宮健太内野手に右中間を破る逆転2点二塁打を浴びて、この回限りでマウンドを降りた。4安打4四球を献上し、3回で84球は、9回に換算すれば252球に達するほどのペースだった。
柳田、近藤の両主砲に対しては今季無安打に封じる
松井監督は「球数が増えれば、長いイニングを投げることは難しくなりますが、與座らしくタイミングを変えながら、工夫して投げてくれたと思います」と評価した。アンダースローの與座の場合、最速でも130キロで、平均120キロ台後半のストレートにスライダー、シンカー、チェンジアップ、90キロ台のカーブを駆使し、クイックモーションも交えながら紙一重で相手打者のタイミングを外していくしかない。
球威では勝負できないだけに、注意深くストライクゾーンいっぱいを狙うことになるだけに、球数が多くなるのは仕方ないのかもしれない。とりわけ両主砲には慎重で、柳田を今季10打数無安打、近藤を9打数無安打に抑え、1本のヒットも許していない。一方で、俊足巧打タイプの三森に対戦打率5割(6打数3安打)、2本塁打。周東佑京内野手にも同.429と打ち込まれていることが課題になりそうだ。
「ただただ、チームに対して申し訳ない気持ちです」と猛省のコメントを残した與座。、強力打線とのしびれるような駆け引きは今後も続く。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)
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