前半戦だけでキャリアハイを更新。リーグ2位の15本塁打を記録
今季のパ・リーグで最もインパクトのある活躍を披露している選手の1人が、北海道日本ハムの万波中正選手だろう。打撃では前半戦だけでキャリアハイを更新する15本塁打をマーク。守備では外野からのレーザービームで幾度も走者の進塁を抑止するなど、攻守両面でスケールの大きいプレーが光る。本稿ではここまで好調な打撃面での変化を深く掘り下げていく。
驚愕の一発を放つ、球界屈指のパワーヒッター
万波選手といえば長打力が売りのスラッガーというイメージが強いのではないだろうか。実際にここまでのホームランの平均飛距離は、福岡ソフトバンク・柳田悠岐選手や東北楽天・浅村栄斗選手といったリーグ屈指の強打者たちを抑えて1位に君臨している。そんな長距離砲だが、今季は打率の面でもより一層レベルアップしている。続いてはこれまでと比べて打撃アプローチがどのように変化しているのかを見ていきたい。
劇的に改善した打撃アプローチ
これまでの万波選手は当たれば飛ぶという面は示していたが、ボールを捉える確率が悪く安定して成績を残せていなかった。しかし、今季はボールゾーンの見極め精度が格段にアップし、コンタクト率も昨季から10ポイント以上上昇。結果として三振が減少、つまり打球が発生する割合自体が増えており、打撃成績のアップへとつながっている。
今季は打席内で一塁側の中継カメラ方向をじっと見てから投手と対峙するというルーティンを取り入れており、こうした取り組みも成績の向上に一役買っているのかもしれない。
状況に応じて見せるバッティングの変化
次に挙げられる変化としては、状況に応じたバッティングを見せるようになったということだ。走者がいない時には打球に角度をつけたフライが半数以上を占めるが、走者がいる状況ではゴロ打球の割合が大きく増加する。
さらに安打の方向にフォーカスすると、走者を置いた場面ではライト方向への打球が多くなっており、置かれた場面によって打撃のアプローチを変化させていることが見て取れる。フルスイングだけではなく、時にはコンパクトなスイングでの軽打も見せるという打撃スタイルはこれまでにはあまり見られなかったもので、打率を上昇させる一因となっている。規格外のパワーに加え、確実性も兼備するようになればまさに鬼に金棒。ミート力はまだまだ進化途上ではあるだけに、さらなる成長が今後も楽しみなところだ。
マイナビオールスターゲーム2023では、選手間投票で選出されて初出場。2 試合連続アーチと結果を残し、第2戦では有言実行のMVP受賞と新庄剛志監督譲りともいえるお祭り男ぶりを発揮した。北海道日本ハムには清宮幸太郎選手や野村佑希選手といった近い世代のスラッガーが揃っているが、切磋琢磨しながらお互いを高め合うという環境は万波選手にはあっているのだろう。折り返しを過ぎた2023年シーズン、「新時代の4番」の座を狙う北の大砲の更なる活躍を大いに期待したい。
※文章、表中の数字はすべて2023年前半戦終了時点
文・データスタジアム編集部
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