3・4月の大型勝ち越し&負け越しは最終順位にどれだけ結び付く?

パ・リーグ インサイト 藤原彬

2017.5.6(土) 00:00

マスコットとともにお立ち台に上がる則本昂大投手、銀次選手(C)パーソル パ・リーグTV
マスコットとともにお立ち台に上がる則本昂大投手、銀次選手(C)パーソル パ・リーグTV

今年もペナントレースが開幕してから1カ月が経過し、各球団で明暗が分かれてきた。首位を行く楽天は18勝7敗と11もの貯金を作り、その間は連敗とカード負け越しが1度ずつしかない。3位のオリックスも4月4日から3年ぶりの6連勝を飾るなど、勝率.593と順調に滑り出した。昨夜の試合で2位に浮上した福岡ソフトバンクはここにきて、打線が力強さを取り戻し、本来の力を発揮しつつある。一方で、5位の北海道日本ハムは現在4連勝中と復調気配を感じさせているものの、千葉ロッテは打線が1965年以来となる4月終了時点での打率1割台と不振にあえぎ、苦戦している。

序盤戦の戦いは、ペナントの行方にどれほどの影響を及ぼすのだろうか。まずは、2000年以降にパ・リーグのペナント争いを制したチームの3・4月の成績を振り返る。
※()はシーズン最終成績

2000年 福岡ダイエー 12勝10敗(73勝60敗2分)
2001年 大阪近鉄 16勝11敗1分(78勝60敗2分)
2002年 西武 14勝9敗1分(90勝49敗1分)
2003年 福岡ダイエー 16勝11敗(82勝55敗3分)
2004年 西武 18勝12敗(74勝58敗1分)
2005年 千葉ロッテ 21勝7敗(84勝49敗3分)
2006年 北海道日本ハム 15勝14敗(82勝54敗)
2007年 北海道日本ハム 12勝16敗3分(79勝60敗5分)
2008年 埼玉西武 18勝12敗1分(76勝64敗4分)
2009年 北海道日本ハム 12勝10敗(82勝60敗2分)
2010年 福岡ソフトバンク 20勝14敗(76勝63敗5分)
2011年 福岡ソフトバンク 8勝6敗1分(88勝46敗10分)
2012年 北海道日本ハム 17勝9敗1分(74勝59敗11分)
2013年 楽天 11勝14敗(82勝59敗3分)
2014年 福岡ソフトバンク 15勝10敗1分(78勝60敗6分)
2015年 福岡ソフトバンク 13勝11敗2分(90勝49敗4分)
2016年 北海道日本ハム 13勝15敗(87勝53敗3分)

上記のように、リーグ優勝を果たした17チーム中14チームが3・4月に勝ち越している。この結果を見ると、まだ1カ月とはいえむげにはできないのが序盤の戦いだ。ただし、4月のリーグ順位を1位で終え、以降は一度も首位を譲らなかったチームは2008年の埼玉西武のみだから、この時点での成績がペナントレースの行方を占う上で決定的な要素になるということでもない。

3・4月に負け越しながらも巻き返しに成功した3チームを見ると、2007年の北海道日本ハムは交流戦を18勝5敗と大きく勝ち越し、2013年の楽天は直後の5月に16勝7敗と多くの貯金を作っている。昨年の6月19日から球団新記録となる15連勝を達成した北海道日本ハムの大逆転劇は記憶に新しいところだ。

また、今季の楽天のように3・4月から10以上の貯金、あるいは借金を作ったチームのシーズン最終成績はどのようになっているだろうか。10以上の貯金を作るロケットスタートに成功したのは2チームだけ。2005年の千葉ロッテは21勝7敗と春先から圧倒的な強さを発揮し、最終的にはクライマックスシリーズを勝ち抜きリーグ制覇を果たしたが、6月下旬からは2位に甘んじた。2014年のオリックスも19勝8敗の好スタートを切ったが、以降は勢いが陰り、10月の最終盤までリーグ優勝を争いながらも2位で終わっている。

対照的に千葉ロッテが2000年に5勝17敗、2002年には7勝17敗1分と3・4月に大きく負け越していたが、最終的な順位は5位と4位だった。戦力が整わずに苦境が続いた設立当初の楽天は、2005年に6勝23敗、2006年に7勝21敗と春先からつまずいて最下位に沈んでいる。2014年の埼玉西武も9勝19敗と出鼻をくじかれたが、最後は5位で踏みとどまった。

セ・リーグに目を向けるとどうなっているだろうか。巨人は2013年に10の貯金を作ってリーグ優勝を果たしたが、2006年には12の貯金を作ったにもかかわらず最終順位は4位だった。2008年の阪神も貯金12を記録しながら最後は2位に甘んじている。セ・リーグで出だしから2ケタの借金を背負ったことがあるのは横浜とDeNAだけで、15も負け越した2003年を筆頭に、2002年、2008年、2012年は序盤の苦戦からそのまま最下位。2014年も5位だった。

過去の傾向から、序盤での大きな勝ち越しと負け越しは、その後のチームの行方を必ずしも約束するものではないことが分かる。ただ、上位と下位を分ける分水嶺であるとは言えそうだ。潮目が変わると言われている5月下旬からの交流戦を迎えるまでに、好調が続くチームはしっかりと足場を固め、振るわないチームは態勢を整えることができるか。それが、5月の戦いのポイントになりそうだ。

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パ・リーグ インサイト 藤原彬

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