藤井皓哉と平良海馬、先発への挑戦は吉か。数字で見る先発適正

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埼玉西武ライオンズ・平良海馬投手、福岡ソフトバンクホークス・藤井皓哉投手【球団提供】
埼玉西武ライオンズ・平良海馬投手、福岡ソフトバンクホークス・藤井皓哉投手【球団提供】

 昨季ともに50試合以上にリリーフ登板し、防御率1点台をマークした福岡ソフトバンク・藤井皓哉投手と埼玉西武・平良海馬投手。両者は今季から新たな挑戦として先発転向を選んだ。先発とリリーフでは求められる適正も異なるが、2人は開幕からローテーションに名を連ね、順調な滑り出しを見せている。本稿ではそんな彼らの投球スタイルの変化について探っていきたい(文章、表中の数字はすべて2023年6月17日終了時点)。

先発転向で新球も習得し、ピッチングに変化

(C)データスタジアム
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 昨季の藤井投手は3球種で投球を組み立てていたが、今季はそこに投球数こそ少ないがカーブとカットボールを加えた。打者が狙い球を絞り辛くなるために先発としては球種が豊富なほど優位に運べるが、右腕もオフから新球習得に取り組んで実行に移した形だ。

 続いて割合を見ていくと今季はフォークが減少し、スライダーが増加している。藤井といえば代名詞はフォークだが、先発では救援のように決め球連投というわけにもいかない。ここまでは要所をしっかりと見極め、フォークを使っていることがこの数字に表れている。昨季が圧巻の成績だっただけに、被打率は悪化したようにも見えてしまうが、今季も水準以上のピッチングを披露している。

これまでのピッチングから見る、先発としての課題は?

(C)データスタジアム
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 藤井投手はここまで5勝3敗、防御率2.35と先発として上々の滑り出しを見せているものの、一方で課題も見受けられる。それが長いイニングを投げ切れていないことだ。アクシデントで降板した6月11日の巨人戦を除く8試合のうち、6回以上を投げ切ったのはわずかに2試合。実際にストレートの平均球速は球数が増えるごとにダウンしており、スタミナ面の問題は数字からも明らかといえる。

フォークを最後まで生かす投球術がカギを握る。

(C)データスタジアム
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 さらに細かく見ていくと、ストレートの奪空振り率は対戦巡数を重ねるごとに悪化。また、ストライク率も徐々に低下していく傾向にあり、疲労がボールの精度に与える影響は少なくはないと推測される。ゲームの中盤以降は効率的にストライクを奪えておらず、現状は最大の武器であるフォークを最後まで有効に使うピッチングが出来ていない状況だ。先発投手として今後更なるステップアップをしていくためには、力配分というものも磨いていく必要はあるだろう。

剛速球だけではない。右腕の魅力は変化球にあり

(C)データスタジアム
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 昨季までリリーフとして出色の活躍を見せてきた平良投手。自ら直訴して先発への挑戦を決めた今シーズンは、ここまで4勝2敗、防御率2.05と好成績をマークしている。そんな右腕の今季の球種別投球割合を見ていくと、オフから完全習得に取り組んだツーシームとカーブを持ち球に加えたこともあり、大きな変化がみられた。剛速球に注目が集まる投手だが、今季は新球を携えたこともあってストレートの割合は3割程度と昨季より減少。これまで以上に変化球を巧みに使いながら打者を打ち取っていることがわかる。

リリーフで培われた、ピンチでのリスク管理

(C)データスタジアム
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 さらに注目したいのがピンチでのピッチングだ。先発では救援と比べると、走者を背負う回数がどうしても増加してしまう。そんな中で生きるのが、リリーフ時代の経験だろう。セットアッパーや時には抑えとして登板を重ねてきた右腕は、状況に応じて自身の力をコントロール。ピンチの状況ではより一層の力を開放し、窮地を切り抜けている。

“ギアチェンジ力”はデータからも明らか

(C)データスタジアム
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 走者状況による投球の違いを深堀りしていくと、得点圏にランナーがいる状況ではストレート、変化球ともに球速が2キロほどアップしている。さらにストレートの割合が約10ポイント増加することも踏まえると、「ピンチの場面ではリリーフ時代の平良投手が顔を出す」と形容してもよいだろう。先発として長いイニングを投げ切ることを目標にする中で、時には球速をセーブしながら、ここぞという場面では救援時のような全力投球を見せる。球界でもトップクラスの「ギアチェンジ力」は先発としての躍進に大きく結びついているはずだ。

 かつてはオリックス・山本由伸投手もリリーフから先発に転向し、エースへの階段を駆け上がった。今回取り上げた2人以外にも、ロッテ・西野勇士投手や日本ハム・鈴木健矢投手、北山亘基投手らが先発を新たな持ち場に投手陣の力となっている。リリーフでの経験を糧に先発として奮闘を続ける投手たちに、今後も注目の眼差しを向けていきたいところだ。

文・データスタジアム編集部

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