ここまでは新戦力の田嶋、アルバースが結果を残す
ドラフト1位ルーキーの田嶋大樹投手や、新外国人のアルバース投手など、新戦力投手の活躍が目立っているオリックス。昨シーズンまで3年連続Bクラスに沈んでいるが、現在パ・リーグ3位とクライマックスシリーズ(CS)圏内を狙える位置につけており、20日の阪神戦に勝てば、交流戦のパ・リーグ最高勝率も決まる。
そんなオリックスのチーム状況について、5月27日に行われた阪急ブレーブス復刻イベントに登場した山田久志氏に話を聞いた。
山田氏は今シーズンのオリックスについて「ピッチャーが揃っているから、Aクラス入りのチャンスがある」と話し、クライマックスシリーズから優勝を狙えるチャンスがあると期待を込める。
「先発投手陣の勝ち星がなかなか付かないところを、新戦力の田嶋、アルバースがカバーしてくれている。金子、西、ディクソン、山岡。彼らが勝ち出せば投手陣は強力でしょう。中継ぎも揃っている。若手の山本は活きがいいし、黒木も頑張っている。リリーフは増井が安定していて、投手陣はしっかりしている。ここは得点力次第だね」
ドラフト1位ルーキーの左腕、田嶋大樹投手については、社会人のJR東日本時代から注目していたという。
「とにかく投げっぷりがいい。『プロで十分通用するボールだから、あまり考えずに自分のボールを信じて、自信を持って投げ込んでいけ』と話をしました。ボールが速くて力がある。真っ直ぐで三振を取れるピッチャーは少ないけど、左でなおかつ真っ直ぐで三振が取れる。いい選手を獲ったね」
ここまで24試合に登板し1セーブ、14ホールドを記録している最速154キロの19歳右腕、山本由伸投手に対しても「自信のあるボールをどんどん投げ込めばいい」とメッセージを送る。
「活きが良くて怖いもの知らずだね。でも今はそれでいい。大事な場面を任されて、セットアッパーで使われているから、嬉しくてどんどん投げていると思うけど、やっぱり疲れてくるから。でも、そういう時はベンチが考えてくれるから、今はそれでいいよ。目いっぱい投げ込めばいい。打たれたら考えて工夫していけばいいだけ。田嶋と一緒だね」
打のキーマンに吉田正を指名「そのままチームに影響するような選手」
その一方で、田嶋のような1年目の選手は、体調面に気を付けなくてはいけないという。
「ルーキーの選手は1年間の戦い方わからない。1年間は長いから疲れがたまるし、怪我が怖い。でも、けがを怖がっていたらプレーできないから。疲れがたまったり、注意力が散漫になった時に怪我をするから、よく食べてよく寝て、疲れをためないことが大事だね」
そう話す山田氏がチームの課題だと考えている得点力のキーマンには、昨年オフに腰を手術し、今シーズンはここまで全試合に出場している吉田正尚外野手を挙げる。
「彼の好不調がそのままチームに影響するような選手になるだろうね。この2年間はシーズンの半分くらいしか出場していないけど、今年はここにきて調子が上がってきた。こうなってきてくれたら打線に元気が出てくる。手術は怖いから、本来はしたくなかったと思う。本人とも話をしたけど、問題はなさそうですよ」
「長打力があってホームランを打てるバッターは、T-岡田もいるけど、彼は伸び悩んでいる。少し考えすぎなのかな。彼らしくない成績が続いている。そういう意味では、吉田に1年間戦ってもらわなきゃいけない。本当はDHでやれるような選手層になればいいんだけど、そういうわけにはいかない戦力だからね」
さらに、リードオフマンに吉田正と2枚看板になるいような選手が出てくれば、打線も厚みが出てくると山田氏は見ている。開幕前に福良淳一監督と話をしたという山田氏は、指揮官が期待を寄せていたのは宗佑磨外野手だったと振り返る。
「1番に起用して育てようとしていたね。故障で戦列を離れているけど、彼が育ったら面白いよ。足も速いし長打もある。ショートから外野手にコンバートされたけど、今年のキャンプでは、監督も決めかねていた。『思い切って外野で競争させたらどうだ』というアドバイスはしましたよ。監督は決断したね。正解だったんじゃないかな。楽しみな選手ですよ」
足を使えて長打力のある1番バッターが固定され、吉田正やT-岡田、外国人選手のクリーンアップが機能すれば、レギュラーシーズンで優勝を狙えるチームになると山田氏は説明する。
「田嶋、山本のような若い選手が戦力に加わってきてくれたら、チームの士気が上がる。野手にもそういう人が欲しいね。今、チームは変わりつつあると思いますよ」
1996年以来、12球団で一番優勝から遠ざかっているオリックス。今季はクライマックスシリーズに出場し、優勝争いに食い込むことができるか。
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