制作者に聞いた「1回表のウラ」の“ウラ” ホークス×TNC周年記念ドラマができるまで

パ・リーグ インサイト

2023.3.2(木) 19:00

「1回表のウラ」ポスタービジュアル(C)SoftBank HAWKS(C)TNC
「1回表のウラ」ポスタービジュアル(C)SoftBank HAWKS(C)TNC

 2023年、福岡ソフトバンクホークスは球団創設85周年とドーム開業30周年を迎える。この記念すべきダブルアニバーサリーイヤーに華を添える一大企画として、球団史上初となる球団を舞台にしたTVドラマの制作が行われた。

 タッグを組んだのは、同じく2023年に開局65周年を迎えるテレビ西日本(TNC)。「1回表のウラ」と名付けられた連続ドラマ制作の背景には、一体どんなドラマがあったのだろうか。

 企画実現までの経緯、ドラマに込められた思い……ホークス、TNCそれぞれの企画仕掛け人に「1回表のウラ」の“ウラ”を聞いた。

地元TV局との強力タッグで企画実現へ「球場観戦の見方が変わるきっかけに」

 まずお話をうかがったのは、福岡ソフトバンクホークス マーケティング企画部イベント企画課の小田之敦さん。

「今シーズンのメインイベントとなる球団創設85周年・ドーム開業30周年記念事業にあたり、1年以上前からプロジェクトを立ち上げ、アイデアを持ち寄って検討会議を重ねてきました。そのなかで、コアファンだけではなくこれからホークスを好きになるファンにとっても入りやすい切り口で、球界でも新しい取り組みであるドラマ制作案が残り、実現に向けて進めていくことになりました」

 企画実現に向け、他業種でも周年事業で映像制作をしている企業のリサーチや、映画制作の実績がある他球団へのヒアリングなど試行錯誤を重ねるなか、突破口を開いてくれたのは福岡県に本社を置くTV局、TNCだった。

「TNCに相談したところ、前のめりに話を聞いてくださり具体的な提案もしてくれたため、タイアップ企画として進めることに。地元TV局との繋がりが強いホークスだからできる企画だと思いました」

 こうして始まった球団史上初となるテレビドラマ制作企画。「開幕に向けて奮闘する球団職員の物語にすることで、もっとホークスを身近に感じてもらい、野球や球場観戦の見方が変わるきっかけになってほしい」こうした思いを礎に、ドラマの内容も決定していった。

球団を支える人々の人間模様。ドラマで描く開幕戦の“ウラ”のリアリティ

主人公・関口を演じる福山翔太さん(C)SoftBank HAWKS(C)TNC
主人公・関口を演じる福山翔太さん(C)SoftBank HAWKS(C)TNC

「開幕戦の舞台裏を描くという企画に決まった時点で『1回表のウラ』というタイトルが思い浮かびました。『プレイボール!』と1回表のコールが球場に響く「ウラ側」に、球団を支える人々のさまざまな人間模様が詰まっているということが伝わればと思います」

 そう話すのは、企画・原案とキャスティング担当のプロデューサーを務めた、テレビ西日本事業局事業開発部長 瀬戸島正治さん。

 ドラマは福岡PayPayドームを舞台に、元ホークス選手の主人公が球団職員となって2023開幕戦に向けて奮闘するストーリー。主人公に次々と降りかかる難題に、突然助っ人外国人が行方不明、ハニーズ(ホークスオフィシャルパフォーマンスチーム)が内部分裂寸前など、球団が舞台だからこそ描けるエピソードも満載だ。

 瀬戸島さんは「こんなことあったらおもしろいなぁ…笑っちゃうなぁ…という想像がきっかけですが、モデルとなった人たちへのリサーチを丹念に行い、ドラマのリアリティを積み上げていきました」と話すように、現実味を残しながらも視聴者がエンタメ性を感じるおもしろさを生み出すため、脚本についてホークスとTNCはたびたび時間をかけて協議したという。

 小田さんも「実際に球団で働いている元選手の職員数名には、元選手ならではの仕事のエピソードや、職員になることを決断するまでのプロセスや葛藤などを聞き、主人公の人物像にリアリティを。また、実際の開幕セレモニー担当者にも、業務内容や企画が決まるまでのプロセスや時間軸、どういう思いでやっているかなどヒアリングを行い脚本家へ伝えました」と、できる限り現実に近づける作業を丁寧に行ったことを振り返った。

藤本監督も登場!ホークス愛溢れるキャストが熱演

撮影中の藤本監督と福山さん(C)SoftBank HAWKS(C)TNC
撮影中の藤本監督と福山さん(C)SoftBank HAWKS(C)TNC

 ドラマの物語を彩る俳優陣については「福岡で作るドラマなので、福岡在住、福岡出身の方がキャスティング起用のポイントになりました。その結果、ホークス愛が溢れるドラマになりそうです。また周年ということもあり、これまでTNCの番組やホークスのイベントに参加していただいた方にも多数ご出演していただきました」と、瀬戸島さん。

 主人公の関口(せきぐち)には、福岡出身で大のホークスファンである福山翔大さん。関口と共に開幕戦のセレモニーを任される後輩、清美(きよみ)には、福岡出身で過去2回ホークスの始球式を経験している吉本実憂さんなど、ホークスファンを公言する俳優が多く出演する。

 小田さんの思うドラマの注目ポイントも「キャストの熱演」と回答。
「藤本監督、柳田選手、今宮選手、牧原選手も出演します。実際にドームで働いている球団職員やハニーズのメンバー、元選手で広報として働いている西田哲朗さんも出演。またクライマックスシーンには、約5,000人の応募から選ばれた600人のホークスファンもエキストラとして参加しました。出演する監督・選手や球団関係者はもちろん、ホークス愛からなるものすごい熱量で演技をしてくれたキャストの皆さんの熱演にご注目ください」とアピールした。

撮影に臨む牧原選手と今宮選手(C)SoftBank HAWKS(C)TNC
撮影に臨む牧原選手と今宮選手(C)SoftBank HAWKS(C)TNC

 最後におふたりから読者へメッセージをお願いした。

小田さん
「開幕戦にかける選手や球団職員の思いを込めた物語になっています。ホークスを応援してくださっている皆さんも、そうでない方も、このドラマを見てホークスのことをもっと好きになって開幕を楽しみにしていただけたらうれしいです。そして今回の取り組みで、ホークスだけでなく、野球ファン全員の気持ちが開幕に向けて盛り上がってくれたらうれしいです。ぜひご覧ください!」

瀬戸島さん
「今回のドラマは、家族の物語でもあります。いろんな家族が描かれています、そして、野球には……『野球はツーアウトから』という言葉があります。崖っぷちに立った登場人物たちが、どう困難を克服していくかも見どころのひとつです。「ホークスへの愛」「野球への愛」が詰まったこのドラマ。そして、最後の最後にホロッと泣けるかもです」

 ドラマの最終話の1週間後に迎える待ちに待った開幕戦。球場で繰り広げられる筋書きのないドラマのプロローグとして「1回表のウラ」を視聴できる、いつもより楽しみが多い開幕前となりそうだ。

取材・文 池田紗里

ドラマのストーリー、主要キャストの紹介はこちら

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