激戦必至の福岡ソフトバンク外野手争い。レギュラー候補となる選手は?

パ・リーグ インサイト

2023.2.8(水) 22:00

左から近藤健介選手、牧原大成選手、柳田悠岐選手(C)パーソル パ・リーグTV
左から近藤健介選手、牧原大成選手、柳田悠岐選手(C)パーソル パ・リーグTV

 2023年の福岡ソフトバンクでは、し烈なポジション争いが予想される。中でも特に激戦となりそうなのは、外野手のポジションだ。新加入の近藤健介選手をはじめとした実績十分の選手から、昨季頭角を表した選手まで、好成績を期待できる選手が目白押しとなっている。外野手争いを勝ち抜く選手は一体誰になるのか、たった3枠のレギュラー外野手を狙う選手たちの顔ぶれを見ていく。

実績面では柳田悠岐、近藤健介が抜け出す

 実績からも最もレギュラーに近いと考えられるのが、柳田悠岐選手、近藤健介選手の2人だ。

 柳田選手は2度の首位打者やトリプルスリーなどを達成している、パ・リーグが誇る大打者。しかし昨季は1試合5三振を喫するなど不振が目立ち、規定打席に到達したシーズンとしては初めて打率が3割を切った。それでも、ケガをおして出場したレギュラーシーズン終盤からクライマックスシリーズにかけて本塁打を連発。今季は打棒の健在ぶりを示せるか。

 今季からFAにより加入する近藤選手も、11年間の通算打率が3割を超える巧打者だ。昨季は規定に届かなかったが325打数98安打、打率.302という成績を収めている。

 とはいえ、両選手とも昨シーズンは故障で離脱した期間があり、外野手で143試合フル出場というよりは、指名打者枠の併用が視野に入る。柳田選手、近藤選手が有力であることに疑いはないが、それ以外の選手にもチャンスは十分だ。

中堅手専念の牧原大成、ケガからの復活を目指す上林誠知らはレギュラー奪取なるか

 実力ある選手がひしめく中で牧原大成選手が一歩リードか。昨季は120試合で打率.301と言う成績を残し、チームにとって欠かせない存在となった。飛躍のきっかけをつかんだ2018年以降、複数ポジションの守備に就いていた牧原選手だが、「脱ジョーカー」を掲げる今季は中堅手一本で勝負することを明言。新たな背番号「8」と共に、定位置確立へ向けて走り出している。

 昨シーズンにブレイクしたという点では、柳町達選手の名前も挙げたい。ルーキーイヤーから開幕一軍入りを果たすなど順調に経験を積むと、昨季は一気に107試合に出場。故障者続出に苦しむチームを救った。同時に、2022年のパ・リーグでは柳町選手と福田周平選手(オリックス)のみとなる「300打席以上で0本塁打」という珍しい記録も。レギュラー奪取には、長打力アップが鍵となりそうだ。

 柳町選手と同じく慶応義塾大学の出身で、2学年後輩にあたる正木智也選手は、昨季ルーキーながら35試合に出場した。対左投手では3割近い打率を残した一方、右投手に対しての打率が2割を切っており、相性の差が大きい。2023年は一塁手でも出場機会を伺うが、いずれにしても右投手の攻略が課題となるだろう。

 故障からの完全復活を目指すのが、上林誠知選手だ。2018年にフル出場を果たしたものの、翌年の右手骨折以降調子を取り戻すことができていない。巻き返しを期した昨年は開幕から好調を維持していたが、5月半ばに右アキレス腱を断裂。長期離脱を余儀なくされ、33試合の出場にとどまった。ケガを完治させた今季こそ、本来の実力を発揮したい。

番外編:他ポジションでの出場が有力も、外野手としての実績を持つ選手たち

 今シーズンは外野手以外のポジションへ注力する可能性が高いものの、外野手としても実績がある選手も見逃せない。

 周東佑京選手はユーティリティプレイヤーとして複数ポジションの守備が可能な選手の一人。切り札としての代走起用も魅力的だが、外野手としては走力を活かした守備範囲の広さで幾度となくチームの危機を救ってきた。昨年は2度のサヨナラ弾を含む5本塁打と打力も見せつけており、どの守備位置であってもレギュラーを狙える力がある。

 プロ16年目を迎えるベテラン・中村晃選手は、かつて5シーズンにわたって外野手として100試合以上に出場した。近年は一塁手としての出場が増え、3年連続でゴールデングラブ賞を獲得しているが、その間も毎年20試合程度外野守備に就いている。

 栗原陵矢選手も内外野をこなし、2020年に118試合出場、21年には全試合出場と着実にレベルアップを遂げてきた。開幕5試合で2本塁打5打点と絶好の滑り出しを見せた昨季は、外野守備時の故障により悔しいシーズンとなった。今年は本格的に三塁手へと転向することが明らかになっている。

 以上、今春の外野手争いで中心となってきそうな選手を取り上げた。ここに挙げた選手以外にも、春季キャンプ、オープン戦で頭角を現し、レギュラー争いに割って入る選手が登場する可能性も。どの選手が激しい競争をくぐり抜けるのか、開幕の日を楽しみに待ちたい。

文・吉村穂乃香

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