吉田正尚と千賀滉大がメジャー挑戦。成功の可能性をデータで紐解く

パ・リーグ インサイト

千賀滉大投手(左)、吉田正尚選手(右)(C)パーソル パ・リーグTV
千賀滉大投手(左)、吉田正尚選手(右)(C)パーソル パ・リーグTV

 26年ぶりの日本一に輝いたオリックスをバットでけん引した吉田正尚選手。今季11勝をマークし、7年連続となる2ケタ勝利を達成したソフトバンクの千賀滉大投手。日本球界を代表する2選手が2022年オフにメジャーリーグへの挑戦を表明した。本稿では2人の長所に焦点を当て、成功の可能性をデータで紐解いていく。

卓越したバットコントロールと選球眼で打線をけん引

 まずは吉田正選手について見ていきたい。

NPB 直近10年のBB/Kランキング・打撃成績(C)データスタジアム
NPB 直近10年のBB/Kランキング・打撃成績(C)データスタジアム

 最大の強みは三振をせず、四球を選べるというところにあるだろう。直近10年のBB/Kランキングを見ると、トップ3を独占。強打者は一般的に四球が多くなる一方で三振も増加する傾向にあるが、優れた選球眼を武器に近年は高水準の打率や長打率を維持しながらBB/Kでも高い数値をマークしている。

活躍のカギを握る、“スピードボール”への対応力

 次はスピードボールへの対応を見ていく。

NPB 渡米前3年間の対150キロ以上のストレート成績(C)データスタジアム
NPB 渡米前3年間の対150キロ以上のストレート成績(C)データスタジアム

 上記の表は近年メジャーリーグに挑戦した野手の渡米前3年間の、対150km/h以上のストレート成績をまとめたものだ。吉田正選手は3項目とも好成績をマークしており、速球への対応力は申し分ない。「速球に振り負けず、選球眼にすぐれ、卓越した打撃技術を誇り、三振をしない」。活躍への重要なピースを備えるスラッガーが、海を渡った先でも変わらぬバッティングを見せる可能性は大いにありそうだ。

100マイルを超える剛速球と「お化けフォーク」で打者を圧倒

 続いて千賀投手のピッチングについて見ていこう。

千賀滉大投手の年度別ストレート・フォークの成績(C)データスタジアム
千賀滉大投手の年度別ストレート・フォークの成績(C)データスタジアム

 投球の柱となるのは伸びのあるストレートと、「お化け」とも評されるフォークだ。ストレートは2019年を境に平均球速が上昇しており、今年の5月13日には自己最速となる164km/hをマーク。フォークはこれまでの活躍を支えてきたボールだが、直球の球威向上とともに近年は被打率がより一層の良化を見せている。

 そして千賀投手と同様にこの2球種を投じ、NPBで活躍していた現役メジャーリーガーがいる。その選手とは現エンゼルスの大谷翔平投手だ。18年から海を渡り、今季15勝を挙げた右腕を比較対象に活躍の可能性をさらに探っていきたい。

NPB 渡米前3年間のストレート・フォーク(スプリット)の成績(C)データスタジアム
NPB 渡米前3年間のストレート・フォーク(スプリット)の成績(C)データスタジアム

 ストレートの数字はほぼ互角で、フォークに関しては千賀投手が若干上回っているといえる。メジャーリーグではフォーク(スプリット)を投じるピッチャーが多くはないため、打者にとって軌道がイメージしづらい球種だ。大谷投手のスプリットはMLBでも通用しており、千賀投手もスピードボールと「お化けフォーク」を武器に海の向こうで活躍する可能性は非常に高いだろう。

 吉田正選手はポスティングの公示からわずか1日でレッドソックスとの契約合意が報じられ、千賀投手も複数チームが興味を示していることがすでに伝えられるなど、両者の動向はメジャーリーグでも大きな注目を集めている。日本球界を代表する2選手が世界最高峰の舞台で自身の真価を発揮し、どんな活躍を見せるのか。2023年シーズンもこの2人のプレーから目が離せない。

※文章、表中の数字はすべて2022年シーズン終了時点

文・データスタジアム編集部

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