冒頭「テストから入って14年間ファイターズでお世話になりました」
北海道日本ハムの杉谷拳士内野手が28日、札幌市内の球団事務所で会見を開き、今季限りでの現役引退を表明した。自ら「前進会見」と名付けた、涙あり、笑いありの約45分間に及ぶ会見。一問一答は以下の通り。
(冒頭自ら)
「皆さんこんにちは。この度は何から話したらいいのか分からないですけれども、テストから入って今日まで14年間ファイターズでお世話になりました。今日新たに、引退会見という言葉は使いたくありません。前進会見ということで、これからの人生を前進していきます。今まで14年間お世話になりました。前向きな気持ちで会見したいと思います。皆さま、お手柔らかにお願いします」
――全国が注目している会見。昨夜からどう過ごしたか。
「色々とシミュレーションはしてきたつもりあったんですけど、今座ったときに色んな思いがこみ上げてきて、どう伝えていいのか、感謝の気持ちでいっぱいです」
――SNSで「人生の前進会見がある」と報告した。
「言葉の通りで、これからプロ野球選手・杉谷拳士は終わりですけど、今後に向けて、人生まだまだ出発したばかりですし、どんどん前進して、いつかは北海道のみならず、全国の野球ファンの皆さまに恩返しできるように、たくさん力を付けて、勉強して、そういった意味でも前進という言葉を選ばせてもらいました」
――前進、という言葉を選んだ理由。
「常に栗山監督からも、前に進みなさい、拳士は拳士らしくやりなさいという話もしてもらっていましたし、そういった意味でも今日は前進という言葉を使わせてもらいました」
――決意したタイミングは。
「シーズンが終わってからたくさんの方に相談して、自分の将来のことだったりファイターズの将来のこと、体のこと、総合的な判断をした上でこのような形になりました」
決断の理由は「体のこと、将来のこと、総合的に考えて」
――1番の理由は。
「1番の理由は特になくて、自分の体のこと、何より将来のことについて考えたときに、この先もっともっとたくさんのことを学ばないといけない、北海道、ファイターズに恩返ししたいという思いはありましたし、1つのことというと難しいですけど、総合的に考えて決断しました」
――選手として振り返って。
「入団テストでファイターズに入りたくて鎌ケ谷のファイターズスタジアムで一生懸命野球をやっていて、吉村さんにプロ野球選手になるというチャンスをいただいたことが何よりもうれしかったですし、何とか、恩返しがしたいという思いで14年頑張ってきました」
――光るものも見えるが、今年を振り返って。
「正直満足できる数字ではなかったですけど、そういった意味でも自分に区切りをつけるという意味で、新たに前進するキッカケになったのかなと思います」
――元気印としてファンから愛された。
「北海道で初めてグラウンドに立てたことを今でも鮮明に覚えていますし、あの時の歓声は僕の野球人生でも忘れないものになっていますし、今後はどういう形になるか分からないですけどしっかり恩返ししていきたいと思います」
――通算試合数は分かっているか。
「意識していなかったですけど、先ほど自分で振り返ってラッキーだなと思いました。777試合でした。今後の自分に向けてもの凄くラッキーな数字だなと思っていますし、前進していくうえでいい区切りだなと思っています」
――後輩に伝えたいこと。
「自主トレも一緒にやってきましたし、たくさんの後輩から連絡もらって、14年間の自分の野球は間違っていなかったんだなと思って、1人1人にありがとうと返信していますし、ただ唯一、野村佑希という男だけは、一番かわいがっていて彼には今後も才能をもの凄く持っている、ファイターズを背負っていかないといけない選手なんですけど、人間の感情をあまり持ち合わせていないのか、あまりパっとしないラインが来ていたので、今後自主トレとかオフに顔出して、しっかりお説教だけはしたいと思います」
野村佑希にはダメ出し「いち早く人間としての感情を覚えてほしい」
――どんなラインだったのか。
「幸太郎、細川、清水、本当に後輩たちからは長文で、今までお世話になりました、今後もよろしくお願いしますと、本当に涙がくるような連絡がたくさん来ていたんですけど、野村だけは直接伝えたというのもあるんですけど、自分からラインしました。『みんなからラインきているけど、恩着せがましいこと言うのもあれだけどラインないのかな』って自分からしてしまったので、彼にはいち早く人間としての感情を覚えてほしいと思います」
――印象に残っている試合は。
「もちろん優勝した時もありましたし、昨年斎藤佑樹さんの引退試合だったり、印象的なのはたくさんありますけど、でも1番は大きい怪我をしたとき、両打席で本塁打を打ったときは人生の中でも1番嬉しい日だなと思ったんですけど、うれしいことより、打席の中で有鈎骨を折ったときの骨の音を今でも覚えています。打った瞬間にポキって鳴ったので、初めてだな骨折って思いながら、次の日からどうリハビリしよう、どうやって帰ってこようと思ってしっかり帰れて優勝できましたし、凄くそのシーズンは印象に残っています」
――ファイターズはどんな存在か。
「家族のような存在ですし、まだまだこれから強くなると思っていますし、その中に自分がこれから勉強して、どんな形であれ皆さんの前でごあいさつできるような形で勉強していきたいなと思っています」
――今後は。
「今いろいろと学んでいる最中なんですけど、独立して会社の登記をいつにしたらいいのか、英語の勉強をして海外に行って、国内外問わずいろんな形でスポーツの勉強をしようと思っていたので、マーケティングだったり育成にも興味があったので。いろんなことに視野を広げて、スポーツ界に恩返ししようと思っています」
心に残る栗山前監督の言葉「常日頃『拳士は拳士らしく』と言われていた」
――恩返しのキッカケは。
「ファイターズのときにグラウンドで感じたファンの皆さんの声援だったり、常日頃栗山監督には『拳士は拳士らしく、みんなが拳士を見ているからその責任を果たしなさい』と言われていたので、その言葉も凄く心に残っています」
――どんな姿で戻ってくるのか。
「メディア関係に出ることも多くなるでしょうし、皆さんの前で顔を出す機会も増えると思いますが、将来は北海道、ファイターズ、力になりたいと思ってこれから勉強していきますので、どんな立場であいさつするか分かりませんが、また皆さんの前でしっかり報告できるように頑張っていきたいなと思います」
――グラウンドを駆け回る姿は今後は。
「いやそこはもうキッパリ、ファイターズで今までお世話になりましたし、吉村さんにもいろいろ相談させてもらって、ファイターズで引退するということは伝えました。なので、プロ野球選手杉谷拳士は引退、前進するということで。今引退するっていいました? 前進会見ですからね」
――涙が。
「ここからが人生のスタートだと思っていますし、今以上に皆さまの力をお借りして、杉谷拳士に関わってくれた方全員でファイターズ、北海道、スポーツ界を盛り上げたいと思ってるので」
――前向きなメッセージを。
「プロ野球ファンの皆さま、14年間応援していただき本当にありがとうございます。この度は前進するためにこの会見を開かせてもらったので、今以上にテレビだったり、皆さまの前に現れることは多くなると思いますけど、杉谷拳士を応援していただければと思っています」
(Full-Count編集部)
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