佐々木朗希は最近なぜ打たれる? 専門家が現状を分析「ひとつの正念場を迎えている」

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2022.8.26(金) 06:50

千葉ロッテ・佐々木朗希※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)
千葉ロッテ・佐々木朗希※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

完全試合の速球は平均159.8キロ、直近19日は平均155.5キロ

 千葉ロッテの佐々木朗希投手が、26日に本拠地ZOZOマリンスタジアムで行われる楽天戦に先発する。前回登板の19日の同カード(楽天生命パーク宮城)では、打線の援護を受けて今季7勝目を挙げたものの、6回95球で自己ワーストタイの5失点。初めて1試合3本塁打を浴びた。プロの打者が佐々木朗の剛球に慣れてきた証しなのか? 現役時代に東京ヤクルト、北海道日本ハムなど4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏が分析した。

 中継の解説者として19日の前回登板を見つめた野口氏は「(3被本塁打5失点の)一番の要因は、佐々木朗の調子自体が良くなかったことでしょう。ストレートの球速も出ていなかったと思います。佐々木朗と言えば、われわれもファンも相手打者も、4月10日のオリックス戦(ZOZOマリン)で完全試合を達成した時を思い浮かべてしまう。あの時のスピードを想定して打席に入れば、遅く感じるかもしれません」と指摘した。

 完全試合を達成した時の佐々木朗は9回105球を投げ、約61.9%の65球がストレート、約32.4%の34球がフォーク、他にスライダーとカーブが3球ずつだった。ストレートは最速164キロ、平均は約159.8キロに達していた(スピードが表示されなかった3球は除外)。

 それに比べると、19日の楽天戦でのストレートは最速161キロで、平均球速は約4キロダウンの約155.5キロ。球種の割合はストレートが約64.2%の61球、フォークが約34.7%の33球、他にスライダーが1球で、大差はなかった。

「どんな投手でも毎試合絶好調というわけにはいきませんが、佐々木朗の場合、開幕から1シーズンを通して先発ローテで回るのは初めての経験で、ちょうど疲れが出やすい時期ではある。自分のコンディションをどう整えていくか、ひとつの正念場を迎えているとは言えると思います」と野口氏は見る。

26日登板の楽天戦防御率は5.48だが、ZOZOマリンでは同0.73を誇る

 楽天との相性の悪さも気になるところだ。25日現在で7勝3敗、防御率2.29をマークしているが、楽天戦に限ると4試合1勝1敗、防御率5.48と極端に悪化する。楽天打線が効果的な対策を立てているのか、単なるめぐり合わせなのかはわからないが、野口氏は「楽天の打者は佐々木朗を全く嫌がっていない、自信を持って打席に入っている印象は受けました」と言う。

 前回対戦では、初回に島内に161キロを右翼線へ先制適時三塁打されたのをはじめ、茂木に右翼席へ2ラン、浅村に逆方向の右翼席へソロ、鈴木大にも右翼席へソロを献上した。

 今季は球場によっても、成績に差が出ている。本拠地ZOZOマリンでは9試合3勝1敗、防御率0.73を誇るが、敵地では7試合4勝2敗、防御率4.69。特に楽天の本拠地・楽天生命パーク宮城では3試合1勝1敗、防御率6.75と最も苦手にしている。

 ZOZOマリンでは、中堅から本塁方向へ強風が吹くことが多く、これがネット裏のスタンドに当たり、グラウンドレベルでは投手にとってアゲンストの風になると言われている。野口氏は「投手がコツをつかむと、この風を利用して、ストレートは伸び、変化球は変化が大きくなります。佐々木朗も、本人が意識しているかどうかはわかりませんが、ZOZOマリンでは球場の特性を生かした投球ができていると思います」とうなずく。

 今回は得意のZOZOマリンで快投を披露するか。抑えても打たれても、令和の怪物はファンの目を引きつけ、議論を呼ばずにはおかない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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