ついに150km/hに到達する領域へ フォークボールの球速TOP5

パ・リーグインサイト キビタキビオ

北海道日本ハムファイターズ・上沢直之投手(C)パーソル パ・リーグTV
北海道日本ハムファイターズ・上沢直之投手(C)パーソル パ・リーグTV

過去にみたことがない希少なランキングの登場

 プロ野球選手のフィジカル能力の高さを垣間みることができるプレータイムのランキングTOP5。過去、内野安打時の一塁ベースかけ抜けや、二塁打、三塁打時のベース到達、本塁打の滞空時間、捕手の二塁送球などを紹介してきたが、今回は「投手のフォークボールの球速」という、少し趣向の違うテーマにトライした。

 投手の球速といえば、一番取り沙汰されるのは、もっとも基本的な球種であるストレートである。当然、普段から情報量が多いため、速球派のイメージは湧きやすい。

 ところが、高速のフォークボールの持ち主は誰? と唐突に問われると、言葉に詰まるものがある。そのランキングを紹介するというのだから、まさに、「直球ではなくストンと落としてきた意表をつく企画」ではないか。

 TOP5には一体誰の名前が挙がるのか? 5月1日から交流戦終了日の6月12日までに記録されたデータから抽出した結果を5位から順番にみていこう。

パワータイプとして期待の椎野新投手(福岡ソフトバンク)が5位

 最初に登場したのは、5位に入った椎野新投手(福岡ソフトバンク)のフォークボールである。その球速は145km/h! 現在は多くの投手がこの程度の球速を頻繁に出しているが、それはストレートの話である。

 それにしても、5位で145km/hとは……。この先登場する上位の球速すべてに驚かされることが、この時点で確定してしまった。

 椎野投手は196センチ、95kgという大変恵まれた体格を武器に、長身であることをフル活用した真上から投げ下ろすようなフォームで力強い投球を披露する。いわゆる“パワータイプ”と呼べる投手だ。

 調子が良いときは球速が150km/hに達するストレートでグイグイ押し、2ストライクに追い込むとフォークの可能性が高まる。ストレートとフォークの球速差が少ないので、打者はストレートと確信してスイングしたのにバットにボールが当たらず空を切る。おそらく、そんな感じではなかろうか。

埼玉西武のエースに成長した高橋光成投手が4位に入賞

 続いて4位にランクインしてきたのは、いまやチームのエースという響きにも違和感がなくなってくるほど風格の出てきた高橋光成投手(埼玉西武)。フォークの球速は1km/h上がって146km/hになった。

 髙橋光成投手は先発ローテーションで投げる投手ということもあり、150km/h超えのストレートを持ちながらも、力押しの投球ばかりに頼らない。スライダーやカットボールなど、フォークボール以外にも持ち球を状況に応じてまんべんなく投げ分ける。

 ただし、全球すべて高精度ということではなく、バラつきもある。筆者は高校時代から何度かインタビュー取材などで髙橋光成投手と直接話を交わしたことがあるが、ここ数年は中心選手として自覚のあるコメントをするようになったものの、基本的にはのほほんとしたオーラをまとっており、それがアバウトな投球につながっているように思えてならない。

 だがそれは、必ずしも弱点というわけではない。髙橋光成投手のフォークは、球速は今回紹介した146km/hのときもあれば、130km/h台であることも多い。フォークボールは人差し指と中指でボールを挟んで、抜くように投げるのが基本だが、146km/h出たときは抜き加減が浅くてストレートに近い投球になったのかもしれない。

 そのせいか、映像をみると、相手打者のアルカンタラ選手はバットに当ててセカンドへボテボテのゴロを放っており、飛んだコースが良かったせいか内野安打になっていた。

4人が同時に記録した3位のフォークは十人十色

 3位はタイ記録として147km/h。杉山一樹投手(福岡ソフトバンク)、張奕投手、K-鈴木投手(ともにオリックス)、上沢直之投手(北海道日本ハム)の名前が並んだ。

 杉山投手については、5位のチームメイト・椎野投手とタイプ的には似ているパワータイプだが、ストレートの球速は先発でも常時150km/hを超えるなど、迫力はリーグトップクラスを誇る。基本になるストレートがそれだけ出ていれば、フォークの球速もそれに引っ張られて高速になる。課題になっている制球の粗さを克服できれば、このフォークがさらに生きるだろう。

 張奕投手は野手として育成契約でプロ入りしながら、2018年のシーズン中に投手に転向し、翌2019年に支配下登録を勝ちとった異例の選手。今シーズンは、セ・リーグで根尾昂選手が野手から投手に転向して大きな話題になっているが、その先駆者ということになる。

 とはいえ、投手として4年目を迎えている現在は低めへの制球が大変安定してきており、フォークは追い込んでからの決め球として威力を発揮している。

 K-鈴木投手は、元来、ストレートとスライダー、フォークで投球を構成するシンプルなスタイルだが、近頃はその中でもストレートとフォークのコンビネーションがメインになっている。

 そして、いずれも全力で投げ込む姿が目立っており、フォークの平均的な球速帯は140km/h台前半。高速フォークを武器にしているといっていい。

 ただし、ランクインしてきた147km/hは映像にあるように、ボールを抜けきれず指に引っかかって低めのボールになってしまった。球速が出ていたのも、そのためだろう。

 北海道日本ハムのエースとして誰もが認める上沢投手は、頭の上のあたりでボールをリリースするような投げ下ろすフォームが代名詞の投手。そのため、多彩な球種がありながらも比較的縦の変化球を得意としており、球速のあるフォークは追い込んだときの決め球として有効に活用されている。

いまや日本のエース山本由伸投手(オリックス)が149km/hで2位

 2位には、3位の147km/hから2km/h増しの149km/hという驚くべきフォークを引っさげて山本由伸投手(オリックス)が入ってきた。

 2021年には勝利数、防御率、勝率、奪三振数といった投手の主要部門の多くでトップを独占。今季は念願だったノーヒットノーランを達成するなど、国内では無双状態を継続中。その快投を支えている多数の要素の中のひとつに、この高速フォークも含まれている。

 冒頭でフォークの球速ランキングを「意表をつく企画」と書いたが、山本投手のフォークがとんでもなく速いことに限っては、昨年あたりもかなり話題となっていた。そのため、このランキング上位入賞に対しても「やっぱりね」と意に介さなかったファンは多かったかもしれない。

 でも、1位ではなかった……。いや、これは球速の数字によるランキングである。同じ選手が重複する可能性もあるが、1位はどうなるか?

 すでにわかっているのは、2位が149km/hだから、1位は少なくとも150km/hの大台に乗るということだ。それだけでも、大変な驚きをもって受けとめなくてはならない。

番外編 そもそも基本であるストレートの最速は?

 さて、1位をチェックする前に、定番となっている番外編でひと休みしておこう。

 ここまでは低めに落ちるフォークボールをみてきたが、それでは日本で一番速いボールは? というギャップを狙ったところ、多くのファンがご存知のように、今シーズンついにブレークした大器……。というか、ブレークとかすっ飛ばして、もはや、日本のプロ野球の野球観を大きく打ち破ってくれたといってもいい、佐々木朗希投手(千葉ロッテ)の登場と相成った。

 以降は、映像で現時点日本最速の164km/hを堪能していただければと思うが、フォークボールばかりみてからこのストレートを目にすると、あらためて佐々木朗投手のすごさを思い知らされる。

 物理現象として、投手の投げた球はたとえストレートであっても地面方向へ落下しているのだが、佐々木朗投手のストレートは上に向かって浮き上がっているようにみえる。

 目の錯覚を起こさせるほど惚れ惚れしたストレートに、多くのファンが野球界の未来を佐々木朗投手に託そうと考えるのも無理はない。

1位は150km/hに乗せてきた今旬のあの投手

 そして、フォークの1位も佐々木朗希投手であった。番外編から怒涛の勢いで話題をさらうという見事なオチに、もはや感服する以外ない。

 それにしてもフォークボールで150km/hとは、あいた口が塞がらない。近年の平均的な球速の上昇ぶりには、本当に目を奪われるものがある。ストレートといいフォークボールといい、佐々木朗投手はまさに新時代の幕開けを象徴する存在といえるだろう。

 古い話を持ち出して恐縮だが、筆者が20代の頃に胸を熱くしながらみていた1990年代のパ・リーグでは、伊良部秀輝投手(当時ロッテ)のフォークボールが140km/h出たときに大きな話題になった。その頃から30年近い年月が積み重なっているとはいえ、いまや10km/h増しである。

 そして、佐々木朗投手のすぐ後ろにも、山本投手をはじめとする今回紹介した投手たちがフォークボールで140km/h台後半を出しているのだから隔世の感がある。

 この調子で技術や体力のレベルアップがさらに進んだ場合、次の30年後は果たして何km/hのフォークボールが投げられているだろうか。

 限界への挑戦はこれからも日々続くと思われるだけに、楽しみしかない。

◇動画はこちら
フォークボールの"球速TOP5"は!?【パーソル パ・リーグTV GREAT PLAYS presented by G-SHOCK】

文・キビタキビオ

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パ・リーグインサイト キビタキビオ

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