「最後の松坂世代」和田毅が生き残れる理由…村上宗隆を圧倒した“極端な”攻め

2022.6.16(木) 09:21 Full-Count
福岡ソフトバンク・和田毅※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)
福岡ソフトバンク・和田毅※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

飯田哲也氏もうなった…東京ヤクルト4番村上を封じ込んだ内角攻め

 最後の“現役松坂世代”となった福岡ソフトバンク・和田毅投手は今季も7試合1勝1敗、防御率1.51の好成績をマークしている。41歳のベテラン左腕は今月12日、本拠地PayPayドームで行われた東京ヤクルト戦に先発し、6回無失点に抑えるも打線の援護がなく、日米通算150勝目はお預け。9日に東京ヤクルト・石川雅規投手が更新したばかりの、交流戦歴代最多27勝に並べるチャンスも逃したが、本拠地のファンを魅了するには十分な内容だった。東京ヤクルト、楽天で走攻守三拍子揃った名外野手として活躍し、現役引退後には福岡ソフトバンクのコーチも務めた野球評論家・飯田哲也氏が投球を分析した。

 12日の東京ヤクルト戦で最大のポイントは、4番・村上宗隆内野手との勝負だった。村上は福岡ソフトバンクとの3連戦初戦に決勝本塁打。2戦目も反撃ののろしを上げる2ランと逆転のグランドスラムを放ち、東京ヤクルトを交流戦優勝決定に導いていた。飯田氏は「和田は山田(哲人内野手)と村上を意識し過ぎるぐらい、意識していました」と指摘する。

 初回2死から山田に対し、コースぎりぎりを狙って四球で歩かせ、村上の第1打席を迎えた。和田は初球から全7球、内角へストレートを投じ空振り三振に仕留める。3球目には高めのボール球で村上を大きくのけぞらせ、捕手の甲斐拓也とサイン交換の呼吸が合わない場面が2度あったが、己の意志を貫いた。最後の7球目は、22歳の村上が19歳も年上の和田の気迫に圧倒されたかのように、143キロに振り遅れた。

 ストレートの球速は140キロ台前半。球威では抑え込めない。飯田氏は「インコースはコントロールが甘いと長打を浴びる危険なボールです」と配球に驚いた。ましてや相手は村上だ。「正確なコントロールがあるからこそ投げ切れる」と絶賛した。和田は次の打席に向けても、内角への意識を植え付けることに成功した。

「長くプレーできるのには理由がある。生きる道を知っている」

 4回の第2打席も、先頭の山田を歩かせたところで対戦。初球から3球目まで、変化球こそ1球入れたが、再びインコースを連発した。4球目のストレートは、やや真ん中寄りに入ったものの空振りを奪い、5球目も続けた真っ直ぐで二ゴロに打ち取った。

 和田は6イニングで交代したが、以降の投手もこの日、村上を完全に抑えることができた。7回には藤井皓哉投手が空振り三振、9回は松本裕樹投手が一ゴロに仕留めた。和田が村上のバッティングを崩した形だ。

 飯田氏は福岡ソフトバンクのコーチ時代、和田の背中を見続けていた。「黙々と自分のルーティンをこなしていました。練習は嘘をつきません」。細身の体形は現在もほとんど変わらない。若手選手が和田に質問する姿は“和田塾”と呼ばれている。「和田の経験は、若手にとってお手本になると思います」と言う。

 今年は千葉ロッテの20歳、佐々木朗希投手が160キロを超すスピードボールを武器に完全試合を達成するなど話題を巻き起こしている。今や150キロ台は珍しくない。そんな中、和田は対照的なタイプとして弱肉強食のプロの世界で生き残っている。飯田氏は「球威がないならコントロールを磨く。生きる道を知っています。長くプレーできるのには理由があるのです」と目を細める。

記事提供:Full-Count

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