29日の阪神戦で復帰予定だった千賀が右手指のマメを潰して回避
一難去って、また一難…ではない。一難去る前に、また一難がやってきてしまった。怪我人続出で苦境に立たされている王者福岡ソフトバンクが、また緊急事態に見舞われた。
楽天戦で逆転負けを食らい、23勝23敗の勝率5割で交流戦に突入することとなった27日。ショッキングな出来事はこれだけでは終わらなかった。交流戦開幕戦となる29日の阪神戦(甲子園)で先発復帰する予定だった千賀滉大が、登板を回避することになったのだ。
右前腕部の張りで出場選手登録を抹消されている千賀は、この日1軍に合流。復帰が可能か最終判断するため、この日ヤフオクドーム内のブルペンで、工藤公康監督や倉野信次投手統括コーチらが見守る中で投球練習を行ったのだが、倉野コーチによれば10球ほど投げたところで右手の指のマメが潰れたため、復帰は先送りになったという。
千賀の復帰先送りは痛い事態ではあるが、それ以上に悩ましい問題が、千賀の代役をどうするか、そしてローテをどう再編していくか、である。嫌な予感がしていた人もいたのではないだろうか。22日の西武戦で今季初先発し、2年ぶりの勝利投手になった摂津正を翌23日に登録抹消したのがマズかった。
千賀は開幕直後にも右前腕部の張りを訴えており、この時も軽症だとされながら、結局は復帰まで3週間を要した。今回はマメということで状況は幾分異なるが、それも急ピッチでの調整に起因した部分もある。
22日に今季初勝利をあげた摂津を即抹消したのが響いた
最悪の事態を想定して摂津を登録に残しておくのは手だった。千賀の復帰を当て込んだ首脳陣の“ミス"だったのではないか。千賀が投げられないとなれば、そのまま摂津を起用し、間に合えば千賀と摂津を入れ替えれば良かった。この時苦しい状況にある中継ぎ投手を補充するならばまだしも、代わって昇格したのは内野手の川瀬晃。右肘関節炎を訴えた今宮健太の症状を考えての入れ替えだったのだろうが、バックアップには高田知季や川島慶三もいた。その段階での摂津の登録抹消は解せなかった。
果たして代役となるのは誰だろう。工藤監督は「明日(28日)に決めます」と話し、本拠地を後にした。水曜日に先発予定の石川柊太投手を中5日で回すか、中継ぎにいる誰かを先発に回すか、ファームから誰かを上げてくるか。その中で可能性があるのは、今季1度先発しているルーキーの高橋礼投手が有力だろうか。
摂津の再登録は土曜に可能となる。火曜に石川、水曜に中田を、金曜にバンデンハークと全て中5日で持ってきて凌ごうにも、今度は木曜が問題になる。金曜に投げてきた東浜巨は右肩の機能不全で26日に出場選手登録を抹消されたばかり。ここでどうしても、誰か1人先発が必要となる。
ファームでは和田毅投手が実戦に復帰しているものの、まだ万全とはいえず、このタイミングでの昇格は現実的ではない。ホークスには期待の若手がいるじゃないか、となりそうだが、笠谷俊介、高橋純平、古谷優人、長谷川宙輝(育成)といったキャンプから期待された面々は、今季ファームでピリッとしない投球が続いている。
1軍の中継ぎから誰かを回すのか、ファームにいる若手を思い切って使うのか、はたまたファームにいる寺原らベテランに託すのか。工藤監督の決断はいかに。どれにしても、苦しい状況であることは間違いない。3年連続最高勝率に輝いている福岡ソフトバンク。その交流戦を前に、かなり厳しい状況に追い込まれている。
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