今季18度目のマルチ安打を記録、リーグトップの打率.383
■北海道日本ハム 7ー2 巨人(交流戦・29日・札幌ドーム)
北海道日本ハム・松本剛外野手の勢いが止まらない。29日、本拠地で行われた巨人戦に「1番・中堅」で出場すると、5打数2安打1打点の活躍。今季は極端な投高打低のパ・リーグで、リーグトップの打率.383をマークしている。11年目で“首位打者”に君臨する男を、現役時代に南海、近鉄で通算2038安打を放ち名球会入りした新井宏昌氏が分析した。
松本は初回の第1打席で左腕・横川が投じた135キロの直球を弾き返し、三塁線を破る左前打で出塁。1死一、三塁となり野村の遊ゴロの間に先制のホームを踏む。さらに4回無死満塁で迎えた第3打席でも右腕・畠が投じた125キロのスライダーを捉え中前適時打。早くも今季18度目のマルチ安打をマークした。
打率もさることながら出塁率.420もリーグトップ。ここまで四球は規定到達者で最少の9個(トップは楽天・西川で39個)しかなく、打ちに打ちまくり“高打率”を残している。開幕から安打を量産する姿を新井氏は「打席の中で“好球必打”を徹底している。甘い球を積極的に打ちに行く姿勢を崩さない」と高く評価した。
「ここまで好調で状態が良いと、欲がでてくるが…」
松本は2011年のドラフト2位で入団。強打の遊撃手として期待されたが、その後に打撃を生かし外野に転向。コンスタントに1軍を経験しているが、キャリアハイは2017年の115試合に出場し打率.274、5本塁打33打点だった。西川遥輝、中田翔、大田泰示らが抜けた今シーズンは新庄監督のもと、開幕から出場機会を得て結果を残している。
右投手に対し打率.392(125打数49安打)、左投手にも打率.357(42打数15安打)と右左を苦にすることなく、得点圏打率も.500(28打数14安打)と現状は非の打ち所がない。広角に打ち分ける打撃フォームについても「後ろが大きくなく、ボールに対し最短距離で捉えコンパクトに打ちにいけている」と新井氏は分析する。
さらに、技術的な部分以外にも目を見張るものがあるという。新井氏は「ここまで好調で状態が良いと、普通は欲がでてくる。だが、松本はどの打席でも同じアベレージで打っている。欲がないのが素晴らしい。今後、好不調の波は必ずくる。その時にいかに“好球必打”の打撃を続けることができるかです」。
シーズンはまだ序盤だが、交流戦でも快音を響かせている松本剛。このまま好調をキープし、初の首位打者を手にすることはできるだろうか。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)
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