プロ11年目の松本剛、今季は何が変わった? 3つのデータから絶好調の理由に迫る

2022.4.22(金) 06:00 パ・リーグ インサイト 望月遼太
北海道日本ハムファイターズ・松本剛選手(C)パーソル パ・リーグTV
北海道日本ハムファイターズ・松本剛選手(C)パーソル パ・リーグTV

2018年以降の不振を脱し、キャリアハイのシーズンとなる勢い

 北海道日本ハムの松本剛選手が開幕から好調で、4月20日の試合終了時点で打率ランキングのトップに立っている。2017年には外野のレギュラーとして活躍したものの、そこから4年間は苦戦が続いていた松本剛選手。そんな中で、今季は完全復活を強く印象付けるのみならず、キャリアハイのシーズンを送りそうな気配を感じさせている。

 それでは、今季の松本剛選手の打撃は、昨年までと比べてどこが違うのだろうか。今回は、「セイバーメトリクスで用いられる各種指標」、「コース別打率」「球種別打率」という3つの観点から、覚醒の理由を探っていきたい。

2017年には2番打者として活躍を見せたが……

 まず初めに、松本剛選手が記録した年度別成績を見ていきたい(成績は4月20日時点)。

松本剛選手の年度別成績(C)パ・リーグ インサイト
松本剛選手の年度別成績(C)パ・リーグ インサイト

 松本剛選手はプロ入りから5年間は目立った結果を残せなかったが、6年目の2017年に台頭を見せる。交流戦で全体2位となる打率.396とすばらしい成績を残すと、そのままライトのレギュラーに定着した。打率.274に加えて21犠打を記録し、2番打者として奮闘。自身初の規定打席にも到達し、今後の飛躍に期待を抱かせた。

 しかし、翌2018年は一転して打撃不振に陥り、レギュラーの座も失うことに。その後も苦しい時期が続いたが、2021年は9月に打率.412と出色の打撃を見せ、復調の兆しを見せていた。2022年の好調は、前年終盤の手応えを持ち越したものとも言えそうだ。

三振も四球も少ない、積極的な打撃が最大の特徴に

 次に、松本剛選手が記録してきた各種の指標を紹介しよう。

松本剛選手の年度別指標(C)パ・リーグ インサイト
松本剛選手の年度別指標(C)パ・リーグ インサイト

 松本剛選手はプロ11年で通算7本塁打、通算長打率が.327と、決して長打が多いタイプではない。また、打率と出塁率の差を示す「IsoD」と四球率も、それぞれ高いとは言えない水準にある。その一方で、通算の三振率は.130と低く、容易に三振を奪われない点は強みだ。これらの数字から、松本剛選手は非常に積極的な打撃スタイルの持ち主であることがわかる。

 そんな中で、今季は17試合で既に3本の二塁打を記録。二塁打に関しては2017年に記録した17本が自己最多で、このペースならばそれを上回る可能性は高い。本塁打こそまだ出ていないものの、このまま課題の長打力不足が改善すれば、相手にとってもさらに怖い打者になりそうだ。

打撃だけでなく、今季は走塁面でもこれまでとは異なる傾向が出ている

 得点圏打率に目を向けると、2016年から2018年までは3年連続で.300を超えていたが、2020年からは2年連続で.100台と、一転して苦しんでいた。得点圏打率はどの選手もキャリアを通じて一定の数字に収束する傾向にあるとされるが、今季の得点圏打率.667という驚異的数字は、かつての勝負強さが復活していることの証明となるかもしれない。

 また、松本剛選手はシーズン2桁盗塁を記録したことは1度もなく、盗塁企図数自体も少なかった。しかし、今季は16試合で7個と、これまでに比べて積極的に盗塁を仕掛けており、成功率も.778と一定以上の水準にある。打撃のみならず、走塁面でも進化が感じられる数字と言えそうだ。

好調のシーズンは、好球必打のスタイルとコース別打率が噛み合っている

 続いて、コース別の打率を見ていきたい。まずは、レギュラーとして活躍した2017年の数字を確認しよう。

松本剛選手 2017年のコース別打率(C)パ・リーグ インサイト
松本剛選手 2017年のコース別打率(C)パ・リーグ インサイト

 2017年はど真ん中の球に対して打率.344と、積極的な打撃スタイルと噛み合った数字を残していた。また、外角高めを除くストライクゾーンの球に対しては、いずれも打率.260を上回る数字に。好球必打の姿勢が安打に結びつく確率が十分にあったからこそ、同年にブレイクを果たせたと言えそうだ。

 次に、2021年におけるコース別打率を見ていきたい。

松本剛選手 2021年のコース別打率(C)パ・リーグ インサイト
松本剛選手 2021年のコース別打率(C)パ・リーグ インサイト

 2021年はボールゾーンで打率.500以上を記録した箇所が4つ存在したが、その一方で、2017年には得意としていたど真ん中を打ち損じるケースが多かった。真ん中を除くストライクゾーンでは全て打率.250以上を記録しただけに、あとは絶好球を捉えられるようになれば、より成績の向上が見込める、という状況でもあった。

 それを踏まえたうえで、今季の数字にも目を向けたい。

松本剛選手 2022年のコース別打率(C)パ・リーグ インサイト
松本剛選手 2022年のコース別打率(C)パ・リーグ インサイト

 内角真ん中を除くストライクゾーン8コースに対して、打率.250以上を記録。そのうち5つのコースで打率.500以上と、まさに驚異的な数字を残している。先述した指標を見る限り、持ち前の積極的な打撃スタイルは今季も変わっていない。それだけに、2017年以上にゾーン内の球を安打にする確率が上がったことにより、好球必打の姿勢が大いに結果に結びつくようになったと考えられる。

球種別打率には、松本剛選手の対応力と器用さが表れている

 最後に、同じく2017年、2021年、2022年の球種別打率について見ていきたい。

2017年の球種別打率(C)パ・リーグ インサイト
2017年の球種別打率(C)パ・リーグ インサイト

 2017年はカットボールとカーブを除く6つの球種に対して打率.250以上と、一定以上の対応力を見せていた。特にシンカー・ツーシームには打率.529と抜群に強く、シュートに対しても打率.333とよく打っていた。カットボール以外の速い変化球は、いずれも得意としていたことがうかがえる。

 次に、2021年の数字も紹介しよう。

2021年の球種別打率(C)パ・リーグ インサイト
2021年の球種別打率(C)パ・リーグ インサイト

 多くの球種に対応できていた2017年に比べると、得意・不得意がやや分かれる結果に。その中でも、チェンジアップに対しては打率.429と素晴らしい数字を記録した。また、2017年に苦手としていたカーブに対しても打率.333と高打率で、緩い変化球への対応力が向上したことが示されていた。

 最後に、2022年における数字を確認したい。

2022年の球種別打率(C)パ・リーグ インサイト
2022年の球種別打率(C)パ・リーグ インサイト

 速球、フォーク、チェンジアップ、カーブ、シンカー・ツーシームの5球種に対して打率.500以上と、圧倒的な数字を記録。また、スライダーも打率.313とよく打っているだけでなく、苦手としてきたカットボールに関しても克服の兆しを見せている。唯一打てていないシュートも2017年には得意としていただけに、今後の改善の余地は十分にありそうだ。

 2017年の数字にも表れているとおり、松本剛選手はもともと多くの球種に対応できる選手だった。それに加えて、当時は苦手だったカットボールとカーブも克服しつつあり、今季はより穴が少なくなっている。今季の活躍は、そうした松本剛選手のこれまでの歩みが反映されたものでもあるだろう。

持ち味を失うことなく、ついに再ブレイクを果たしつつある

 好球必打の積極打法という持ち味を生かし、ストライクゾーンに来た球であれば、球種を問わずに強い打球をはじき返す。松本剛選手のそうした打撃スタイルが、コース、球種の双方における対応力の向上と噛み合ったことにより、今季の絶好調が生み出されているのではないだろうか。

 加えて、持ち前の脚力を盗塁や二塁打にも生かせるようになり、積極的に先の塁を狙う姿勢も増している。こうした変化は、今季でプロ11年目を迎えた松本剛選手が、選手として着実に成長を続けていることの証にもなっている。

 レギュラーを掴みかけた2017年から5年。着実に実力をつけ、いよいよ再ブレイクを果たしつつある松本剛選手。このまま打撃の状態を維持して、今度こそ不動の主力へと定着することができるか。新生ファイターズの主軸を務める好打者の積極果敢なバッティングからは、今後も目が離せそうにない。

文・望月遼太

関連リンク

谷口雄也が2023年開業の新球場を紹介!
移転前に楽しみたい球場周辺の観光スポット
【ウィークリーファーム2022 #5】二軍の注目シーンをお届け!
「パ・リーグ Exciting Moments β」新たな動画ラインナップを販売開始!

関連選手記事/PLAYER

関連チーム記事/TEAM