千葉ロッテ井口監督が語る「優勝」への決意 就任5年目シーズンは「楽しみでしかない」

Full-Count 佐藤直子

2022.3.24(木) 17:07

千葉ロッテ・井口資仁監督※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)
千葉ロッテ・井口資仁監督※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

今季もお届けする月連載、指揮官が明かす胸の内

 プロ野球2022シーズンはいよいよ、25日に開幕を迎える。昨季はセ・リーグを制した東京ヤクルトがパ・リーグ覇者のオリックスを退け、20年ぶり6回目の日本一に輝いた。前年の最下位チームが日本シリーズで対峙したのは史上初の出来事だったが、今季もそれに負けないドラマチックな展開が期待される。

 3年ぶりに満員の観客を球場に迎える開幕戦。声を出さない新しい応援スタイルとなっても、選手とファンが一体になって生み出す熱気は格別だ。今季のチームスローガンに「頂点を、つかむ。」を掲げる千葉ロッテは井口資仁監督の下、26番目の選手でもあるファンとともに、1974年以来となるリーグ1位での日本一に向かって突き進む。

 2018年の就任以来、井口監督は若手の育成とチーム力の強化に尽力。2017年にリーグ最下位だったチームは昨季、141試合目まで優勝を争う底力をつけた。解説者や評論家は機動力を生かした井口野球を高く評価。今季の優勝候補に推す声が多く聞かれる中、就任5年目の指揮官は何を想い、開幕を迎えるのか。井口監督が心の内を語った。

 ◇ ◇ ◇

 ファンの皆さん、お待たせしました。2022シーズンが開幕します。2月1日に沖縄・石垣島でキャンプインしてから、若手を中心にオープン戦などを通じてレギュラーシーズンに向けて調整を続けてきました。昨季の中心戦力だった荻野貴司、佐々木千隼、唐川侑己らの調整が遅れている中、野手では若手の高部瑛斗、岡大海、平沢大河、松川虎生、投手ではルーキー廣畑敦也といったメンバーがしっかりとアピール。昨季とはまた違ったメンバーで開幕を迎えることに、チームの底上げやキャンプでの収穫を感じます。

千葉ロッテ・高部瑛斗(左)と平沢大河※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史、福谷佑介)
千葉ロッテ・高部瑛斗(左)と平沢大河※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史、福谷佑介)

オープン戦で存在感を発揮した高部、平沢に期待

 オープン戦で打率.393、出塁率.435と大活躍したのが、3年目外野手の高部です。昨年、一昨年と2軍で打率3割を超えながら1軍では結果が出ず。昨年の秋季キャンプでも1軍では何をすべきなのか、本人と話を続けてきた結果、バッティングフォームを少し変えて石垣キャンプにやってきました。少しベースに被り気味だった構えが真っ直ぐ立つようになり、バットが素直に出るようになった。強いゴロやライナーを打ち、出塁率を上げることを意識した結果がオープン戦首位打者です。シーズン中は当然、上手くいかないこともあるでしょうが、しっかり気持ちを保って1年過ごせるか。彼にはもう2軍ではやることはありません。1軍で結果を出すのみです。

 7年目を迎える平沢はこの2年間、一度も1軍でのチャンスがなく、本人はそこが一番悔しかったと思います。新型コロナウイルスに感染してキャンプ序盤は出遅れましたが、今年に懸ける強い気持ちで巻き返しました。元々選球眼のいい選手なので打線を繋ぐ役割を期待しています。守備に関しても、課題のスローイングが安定したのが一番の収穫。本人もだいぶ自信がついたようです。

 オープン戦で真っすぐが160キロを超えた佐々木朗希にも注目が集まりますが、今季はまず先発ローテの一角として1年間しっかり投げることが大事。160キロ超を投げるので他投手より疲労度が高まる中で、いかに球数を少なく長いイニングを投げられるか。そこが1年間ローテを守るポイントになるでしょう。基本的には中6日のローテ通りとなりますが、疲労が溜まっている時は無理をさせずに登板を1回飛ばすなど柔軟に対応していく予定です。

 朗希の存在は投手陣のいい刺激になっているようです。彼の強さは自分のやるべきことを理解し、しっかり練習する姿勢にある。黙々と練習に取り組み、ランニングではトップを走る姿は見本になるもので、若手投手陣を引っ張っている感じすら受けます。今季はどんな成長を見せてくれるのか、ファンの皆さんも楽しみにしているのではないでしょうか。

千葉ロッテ・松川虎生※写真提供:Full-Count(写真:福谷佑介)
千葉ロッテ・松川虎生※写真提供:Full-Count(写真:福谷佑介)

指揮官の目に留まったベテラン美馬とルーキー松川のバッテリー

 仙台で迎える楽天との開幕戦には、石川歩が先発マウンドに上がります。開幕戦は143試合のうちの1試合ではありますが、やはり特別な日。経験のあるベテランに任せるのが一番だと思い、開幕投手に指名しました。

 石川とバッテリーを組むのはルーキーの松川です。投手の良さを引き出すリードが上手く、投手の調子が悪い時に最少失点で切り抜けるための引き出しがかなり多い。オープン戦でマスクを被った試合は大量失点がなく、防御率は1点台。リードのテンポもよく、今のところブロッキングも問題なし。僕がプロ入りした時、ホークスで武田(一浩)さんや工藤(公康)さんが城島(健司)とバッテリーを組んでいたように、石川や美馬(学)と組んで勉強してもらいたいと思っています。

 松川は学習能力が高く、投手とのコミュニケーションにも長けている。その中で1つ興味深かったのは、3月21日の中日とのオープン戦で松川と組んだ美馬が、サインにほとんど首を振っていなかったことです。美馬は5回を投げて味方の失策による1失点のみ。彼が首を振らないのは珍しい。何か意図があって首を振らなかったのか、松川の配球が思い通りだったのか。これから築く関係性が楽しみです。

 今年はマリーンズ優勝を予想する声が多いと聞きました。そう言ってたいだけるのは有難いことです。2年連続で2位となり、「なんだか分からないけど千葉ロッテが手強いぞ」と感じてもらえているのでしょう。隙のない野球をやっていこうというチームカラーが浸透し、ヒットやホームランが出なくても点を取れる野球に、選手たちも魅力を感じてくれている。足を絡めながら1つ先の塁を狙う野球こそ、相手にとっては一番プレッシャーがかかるもの。今年もカラーを生かした野球を見せられたらと思います。

 開幕を控え、今はワクワクする気持ちで溢れています。チーム全体はもちろん、選手一人ひとりがどのくらい活躍してくれるのか、楽しみでしかありません。我々にとっても、ファンの皆さんにとっても目標は、チームスローガン通り「頂点を、つかむ。」こと。ファンの皆さんには球場を満員に埋め尽くし、我々と1つになって1年間一緒に戦っていただきたいと思います。頂点をつかみましょう!

(佐藤直子 / Naoko Sato)

記事提供:Full-Count

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