3打数3安打1四球でオープン戦打率は.318
■埼玉西武 7ー5 北海道日本ハム(オープン戦・16日・ベルーナドーム)
埼玉西武の愛斗外野手が、激しい外野のレギュラー争いでリードを奪った。16日、本拠地・ベルーナドームで行われた北海道日本ハムとのオープン戦に「7番・右翼」でフル出場し、初回に満塁本塁打を放ったのをはじめ、3打数3安打1四球。同日現在、オープン戦打率.318(22打数7安打)をマークしている。「1番・中堅」で同.343を誇る鈴木将平外野手とともに、辻発彦監督に「今は(レギュラー争いで)2人が抜け出している」とまで言わせている。
埼玉西武は1点を追う初回、山川の右前適時打で同点に追いつき、なおも2死満塁として迎えたのが愛斗だった。制球に苦しむ北海道日本ハム先発の姫野に対し、カウント3-1から内角高めの148キロ速球を狙いすまして一閃。打球を左翼ポール際へ運んだ。
辻監督は「(山川の同点打の後、1死満塁で)呉念庭が打ち損じ(三邪飛)、同点止まりかなというところで出た。呉念庭の失敗も、チームも救った、価値あるホームランです」と称賛。だが、満塁弾以上に評価したのが、第2打席の四球だった。
4回1死走者なしで、北海道日本ハム2番手の右腕・生田目に対し、カウント2-2から151キロの内角速球をファウルした際、バットを折られた。8球目にも151キロをファウルして粘り、結局9球目を選んで四球で出塁した。辻監督は「愛斗が一番変わったのはそこですよ。彼にはずっと、追い込まれてからの打撃について話をしてきました。四球やヒットが出れば最高だが、そうでなくても、簡単に三振するのではなく、1球でも多く投げさせろと。そういう貪欲さ、粘り強さという点で、非常に成長してきたと思います」と話す。
安打よりも四球を喜ぶ「僕は出塁率を上げないと…」
愛斗自身、昨年までと比べて最も成長できた点は「フォアボールを取れているところ」だと言う。「僕は出塁率を上げないと、試合に出られない。下位を打つことが多く、上位にはもっと怖い打者が待っているので、そこへチャンスでつなぐことを意識しています」と説明する。実際、オープン戦通算で4四球を選んでいる。1死球もあり、出塁率は.444を誇る。
プロ6年目の昨年は、自己最多の97試合に出場し、持ち前のパンチ力でプロ初本塁打を含め8本塁打を放ったが、打率は.219と確実性に課題を残した。今年は、高く上げていた左足をすり足に、後ろに残りがちだった体重を「前へ向かっていくように」修正するなど、打撃フォームを改良。右翼守備は“ゴールデングラブ級”と言われるだけに、本人も「僕には守備があるので、打てれば試合に出られると思っている」と言い切る。
埼玉西武の外野には、新外国人のオグレディがようやく来日し、売り出し中の昨年5月に左膝前十字靭帯損傷の大怪我を負った若林も、2軍で実戦復帰し調整中だ。DHと掛け持ちながら、ベテラン栗山の打棒も健在。金子、岸、高木らもひしめき、愛斗にとっては気の抜けない争いが続く。それでも、愛斗や鈴木の活躍に象徴されるように、山賊打線に世代交代の波が押し寄せていることは間違いない。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)
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