2月26日、沖縄セルラースタジアム那覇にて、巨人対千葉ロッテのオープン戦が行われた。試合は直前まで降り続いた大雨の影響により、プレーボールを30分遅らせての開始となった。

千葉ロッテの先発は西野投手。西野投手は2014年から2年連続で30セーブ以上を挙げ、チームのクローザーとして定着していた。しかし、昨季は故障の影響もあってセーブ数は21に留まり、登板試合数も減少、6敗を喫した。そのため今季からは、9勝を挙げた2013年以来となる先発に再転向することが決定し、開幕ローテーションの一角としての調整を続けている。

初回、西野投手は先頭の柿澤選手をわずか2球で打ち取る。2番・重信選手には俊足を生かした安打を打たれ、3塁まで進まれるものの、4番の阿部選手から三振を奪って得点を与えない。2回裏、3回裏は危なげなく3者凡退に抑え、結果的に3イニングスで被安打1、四死球0、奪三振4、無失点。先発への配置転換に向けて、安定感のあるさすがの投球を披露した。

4回裏には、ドラフト1位の佐々木投手がオープン戦初登板を果たした。しかし、先頭の重信選手に不運な当たりで出塁を許すと、無死から盗塁を決められ、さらに3番・マギー選手を打ち取った隙に3塁まで陥れられる。1死3塁の場面、4番・阿部選手にも大飛球を打たれ、その間に3塁ランナーの重信選手が生還。佐々木投手は俊足のランナーを背負いながらクリーンアップを迎えるという難しい場面を迎えて、結局1点を失う結果となった。

ただ千葉ロッテはその後、東條投手、土肥投手、大谷投手、益田投手、有吉投手がそれぞれ1イニングずつという小刻みな投手リレーを展開。5回裏に登板した東條投手が1点を失ったものの、それ以降は得点を許さなかった。特に土肥投手と大谷投手は3人であっさりと攻撃を終わらせ、益田投手と有吉投手はランナーこそ出したが、きっちりと要所を締めた。

打者では、昨日の試合でも本塁打を放って存在感を示したパラデス選手とダフィー選手、そしてキャプテンの鈴木選手が大活躍だった。2回表、先頭の鈴木選手が二塁打を放ち、暴投とゴロの間に生還。千葉ロッテが1点の先制に成功する。

4回裏には同点に追い付かれるが、5回表、9番・柴田選手が出塁すると、2死1塁の場面で、途中出場の井上選手が巨人・吉川光投手の初球を捉える。チャンスでの起用に応える適時二塁打をフェアゾーンぎりぎり放ち、千葉ロッテが1点リードを奪った。

5回裏にまたもや追い付かれ、2対2の同点となったが、6回表、千葉ロッテが猛攻を開始する。先頭のパラデス選手が安打で出塁すると、5番・鈴木選手が一二塁間を破る当たりを放ち、その間に1塁ランナーのパラデス選手が好走塁。一気に3塁まで到達して無死1,3塁の絶好機を演出した。

そして今度は、パラデス選手と同じく新加入の6番・ダフィー選手が、吉川光投手の初球を見逃さず、バックスクリーンに飛び込む3ラン。一振りで3点を追加して、チームは勝ち越しに成功した。

千葉ロッテは、7回表にも鈴木選手の適時三塁打で1点を加える。そのまま9回まで巨人の反撃を封じ、結果的に6対2で快勝を果たした。鈴木選手はこの試合で、実に5打数4安打1打点と大暴れ。キャンプ前にコンバートを告げられたという二塁守備も危なげなくこなし、シーズン開幕に向けた調整が順調であることをアピールした。

パラデス選手とダフィー選手も、連日打棒の好調ぶりを披露し、今回の試合でもきっちりと結果を出した。2人は練習への姿勢や先の塁を狙う意識なども積極的で、プレー以外の面でもチームからの信頼を獲得している。今季はデスパイネ選手の穴を埋める活躍が求められているが、それ以上の存在感を発揮してくれる可能性にも、大いに期待したい。

2月23日の練習試合に先発した唐川投手と、2イニングスを投げた二木投手、昨日25日のオープン戦に先発した大嶺祐投手、そして今回先発した西野投手など、開幕ローテーションの一角として期待されている千葉ロッテの投手は、それぞれ与えられたチャンスで好投を披露している。鈴木選手のコンバートにより空いた正遊撃手の座をめぐり、平沢選手や中村選手なども連日アピール合戦を繰り広げており、限られた枠を懸けたチーム内ポジション争いは、伊東監督の思惑通り白熱している。

チームメイトは頼れる仲間ではあるが、そんな風に切磋琢磨できる存在を身近に感じられる環境というのは、選手のパフォーマンスの向上には効果的だろう。危機感を煽られ、目の色を変えた若手選手の姿が目立つ千葉ロッテ。今季のペナントレースでは昨季までとはまったく違う戦い方で、ファンを楽しませてくれそうな予感がする。