プロ野球の「FA」とは? 「フリーエージェント」の仕組みや「ポスティング」との違いを紹介!

2021.12.1(水) 15:00 パ・リーグ インサイト
FA(フリーエージェント)ってなに?(C)PLM
FA(フリーエージェント)ってなに?(C)PLM

日本野球機構(NPB)のフリーエージェント(FA)について解説します。

 2021年のプロ野球も全日程が終了し、ストーブリーグが盛り上がりを見せていますね。他球団の評価が聞いてみたい、来年も残ってほしい…… すべてのプロ野球ファンが固唾をのんで動向を見守る「FA宣言」も11月29日から解禁されました。

「プロ野球のFAってなに?」
「ポスティングシステムとの違いは?」

 オフシーズンに近づくにつれて毎日のように耳にする「FA」という言葉ですが、仕組みが難しく、「なんとなく知っている」という方が多いのではないでしょうか。

 仕組みがわかればもっとおもしろい「FA」の意味や条件について、紹介していきます!

目次

①そもそも「FA」ってなに?
②「FA宣言」ってなに?
③NPBが定めた規定とは
④故障して一軍登録を抹消された場合の措置
⑤投手の特例制度について
⑥FAに関する補償のあれこれ
⑦2度目のFAで金銭補償の金額が変わる?
⑧各球団の獲得選手数の上限
⑨宣言残留について
⑩ポスティングシステムについて
⑪フリーエージェント有資格選手一覧

①そもそも「FA」ってなに?

「FA」とはフリーエージェントのことです。

 どの球団とも選手契約を結べる権利をもつ選手のことを言います。

 また「FA権」とは、NPB(日本野球機構)が定めた規定に達した選手に与えられる権利のことです。基本的にはオフシーズンに所属球団と契約を進めますが、FA権を行使すると他球団とも交渉することができるようになります。

②「FA宣言」ってなに?

FA権を持っている選手が、日本シリーズ終了翌日から7日間以内(土・日・祭日は除く)にFA権の行使を表明することです。

 獲得を目指す球団は、前シーズンの年俸を超える金額を提示することはできません。ただし、成績などに関する特別な事情をコミッショナーに申請して、認められれば前シーズン年俸を超える金額を設定することができます。

③NPBが定めた規定とは

NPB所属球団と契約できる「国内FA」と海外を含めたすべての球団と契約できる「海外FA」でそれぞれ規定が違います。

「国内FA」
 その年のシーズン開始から終了までの間に、145日以上で一軍登録され、それが8シーズンに達すると権利を取得できます。(2007年以降に入団した大学社会人出身選手は7シーズンで取得できる)また、国内FA宣言をして移籍をした選手は、シーズン中に145日以上で一軍登録され、それが4シーズンに達すると海外FA権が取得できます。

「海外FA」
 その年のシーズン開始から終了までの間に、145日以上一軍登録され、それが9シーズンに達すると取得できます。また、海外FA宣言をして移籍をした選手は、シーズン中に145日以上で一軍登録され、それが4シーズンに達すると再び海外FAが取得できます。

※シーズンの一軍登録日数が145日を超えても、145日までしかカウントされない
※シーズン中の一軍登録日数が145日以下の場合は、それらのシーズンの一軍登録日数を合計して、145日に達した日数を1シーズンとする

 こんなに細かい規定があったとは…… これでもまだ基本情報、さらにおさえたいポイントを解説していきます。

④故障して一軍登録を抹消された場合の措置

故障者特例措置制度で一軍登録日数を加算することができる!

 2月1日~11月30日までにグラウンド上での故障、けがにより登録抹消された場合、前年一軍登録日数が145日以上を満たしている選手に限り、登録抹消日から二軍の公式試合に出場するまでの日数を、一軍登録日数として加算することができます。

 最大加算日数は60日であり、60日以内の抹消であれば1シーズンに何度でも適用することができます。ただし、この特例措置により一軍登録日数が145日以上になった場合の翌シーズンについて、この特例措置の適用を受けることはできません。

⑤投手の特例制度について

先発ローテーション投手の一軍登録日数を加算する制度で、2種類の特例制度があります。

 1つは、開幕時の制度で、先発ローテーション投手が、開幕日から7日以内に一軍登録されたとき、開幕日から一軍登録されたものとみなして登録日数を加算します。

 2つ目は、オールスター時の制度です。先発ローテーション投手がオールスター第1戦の7日前以降に登録抹消、オールスター最終戦後7日以内に一軍に再登録された場合は、登録抹消日から一軍再登録前日までの日数が加算されます。

⑥FAに関する補償のあれこれ

獲得球団が、獲得した選手の前球団に対して、金銭及び選手の補償をします。

 年俸における各球団それぞれのランク付け(外国人選手を除く)によって補償内容が変わります。

Aランク 上位1位~3位
Bランク 上位4位~10位
Cランク 上位11位以下

 補償内容については、選手の前所属球団が選択し、獲得球団がそれに従います。ただし、補償はAランクとBランクの選手のみで、Cランクの選手に補償は付きません。

【人的補償】
◆選手の補償

獲得球団が任意に定めた28名と外国人選手以外で、自球団から移籍した人数分を選んで獲得できます。
→選択した選手が他球団と重複した場合、同連盟(パ・リーグの選手ならパ・リーグ球団、セ・リーグの選手ならセ・リーグ球団)が優先されます。
→同連盟で重複した場合は、その年のシーズンの勝率の低い球団から優先されます。

◆選手+金銭で補償
選手補償に加え、選手のランクによって金銭補償を受けることができます
・Aランク 前年俸の50%
・Bランク 前年俸の40%

【金銭補償】
前球団が選手の補償を望まない場合は、金銭のみで補償を受けられます。
ここでもランクによって金額が変わります。
・Aランク 前年俸の80%
・Bランク 前年俸の60%

⑦2度目のFAで金銭補償の金額が変わる?

国内FA、海外FAともに2度目を行使した場合、「反復FA」とよばれ、補償内容が以下のように変わります。

◆選手+金銭の場合   
Aランク 前年俸の25%
Bランク 前年俸の20%

◆金銭補償のみの場合
Aランク 前年俸の40%
Bランク 前年俸の30%

 1度目のFA行使より半分の割合の金額補償となります。

⑧各球団の獲得選手数の上限

基本的に、各球団2名までの契約が可能です。

 ただし例外として、FA宣言をした選手数が21~30名の際は3名、31~40名の際は4名、41名以上の際は5名まで契約することができます。また、Cランクの選手は上限なく獲得できます。​​

⑨宣言残留について

FA宣言をすると、どの球団とも契約をしていない状態となり、元いた球団に戻る場合、再契約という形で契約金が発生します。選手を手放したくない球団と選手の意向が合致することで宣言残留が形となります。

 ただ、注意しなければいけないのはメリットだけではないということ。どの球団とも契約をしていない状態なので、契約をしてくれる球団がなければ自由契約と同じ扱いになります。どの球団も取ってくれないとなると、金額などの契約の条件を下げざるを得ないという状態に陥ります。FA宣言には、このようなリスクが伴うことも頭に入れておきたいですね。

 最後に「FA」と似ているようで全く違う「ポスティングシステム」についても紹介します。

⑩ポスティングシステムについて

ポスティングシステムとは、海外FA権を取得していない選手の海外移籍を可能にする制度です。

・海外FA権を持たないが、海外移籍を希望する選手に対し、日本球団が移籍を容認した場合、メジャーリーグ・コミッショナーに契約可能であることを通告する。
・メジャー側は通告から40業務日以内に、興味のある選手に金銭のみの入札をする。
・複数が興味を示し入札した場合、最も高額の入札額を提示した球団が日本球団との交渉権を得る。
・日本球団は選手の意志に関わらず一方的に拒否することができる。
・メジャーリーグ球団が選手と契約した場合、選手はメジャーリーグ球団に移籍できるが、入札金額は選手の保有権を放棄する日本球団に全額支払われる。

 海外FA権を行使せずにメジャーリーグに移籍する選手は、こういった制度を利用していたんですね。

 ここまで、プロ野球ファンならおさえたい「FA」の仕組みを紹介してきました。とても細かくて難しい制度ですが、選手たちにとっては大事な権利ということがわかりますね。

 ただ、「FA」を取得するのは簡単なことではありません。長く一軍に登録され、勝負の世界で生き残っている選手にしか与えられない特権…… 深く細かく知ることでプロ野球の新たな一面が見えてくるかもしれません。

文・岡絃哉

⑪フリーエージェント有資格選手一覧

◆オリックス・バファローズ
【国内FA権保有選手】
比嘉幹貴投手、★後藤駿太選手、松井雅人選手
【海外FA権保有選手】
安達了一選手、能見篤史投手、T-岡田選手

◆千葉ロッテマリーンズ
【国内FA権保有選手】
石川歩投手
【海外FA権保有選手】
益田直也投手、★荻野貴司選手、唐川侑己投手、角中勝也選手、鳥谷敬選手、小窪哲也選手

◆東北楽天ゴールデンイーグルス
【国内FA権保有選手】
田中将大投手、★福山博之投手、牧田和久投手、塩見貴洋投手、島内宏明選手、岡島豪郎選手
【海外FA権保有選手】
岸孝之投手、藤田一也選手、銀次選手

◆福岡ソフトバンクホークス
【国内FA権保有選手】
千賀滉大投手、★嘉弥真新也投手、森唯斗投手
【海外FA権保有選手】
柳田悠岐選手、松田宣浩選手、今宮健太選手、中村晃選手、明石健志選手、高谷裕亮選手、長谷川勇也選手、川島慶三選手

◆北海道日本ハムファイターズ
【国内FA権保有選手】
秋吉亮投手、★大田泰示選手、★木村文紀選手、★近藤健介選手
【海外FA権保有選手】
西川遥輝選手、金子弌大投手、宮西尚生投手、杉谷拳士選手、中島卓也選手

◆埼玉西武ライオンズ
【国内FA権保有選手】
岡田雅利選手、松坂大輔投手、吉川光夫投手、金子侑司選手
【海外FA権保有選手】
内海哲也投手、栗山巧選手

◆東京ヤクルトスワローズ
【国内FA権保有選手】
石山泰稚投手、荒木貴裕選手、
【海外FA権保有選手】
★山田哲人選手、石川雅規投手、坂口智隆選手、雄平選手、嶋基宏選手、川端慎吾選手、青木宣親選手、中村悠平選手、内川聖一選手

◆阪神タイガース
【国内FA権保有選手】
★梅野隆太郎選手、岩田稔投手、俊介選手
【海外FA権保有選手】
中田賢一投手、糸井嘉男選手

◆読売ジャイアンツ
【国内FA権保有選手】
★小林誠司選手、鍵谷陽平投手
【海外FA権保有選手】
★菅野智之投手、大竹寛投手、中島宏之選手、亀井善行選手、坂本勇人選手、中田翔選手

◆広島東洋カープ
【国内FA権保有選手】
★九里亜蓮投手、★大瀬良大地投手、★堂林翔太選手、野村祐輔投手、田中広輔選手
【海外FA権保有選手】
★菊池涼介選手、長野久義選手、會澤翼選手、松山竜平選手

◆中日ドラゴンズ
【国内FA権保有選手】
★田島慎二投手、★又吉克樹投手、★祖父江大輔投手、★福田永将選手、大野雄大投手
【海外FA権保有選手】
山井大介投手、谷元圭介投手、藤井淳志選手、堂上直倫選手、平田良介選手、大島洋平選手、福留孝介選手

◆横浜DeNAベイスターズ
【国内FA権保有選手】
★山崎康晃投手、★宮崎敏郎選手
【海外FA権保有選手】
★伊藤光選手、★大和選手

※2021シーズン終了時点。★は今季取得者

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