千葉ロッテ井口監督のリアルな声を届ける月イチ連載・第8回
セ・パ両リーグともに優勝を巡る熾烈な争いが展開される今季のプロ野球。残り10試合ほどとなった11日現在、パ・リーグでは首位オリックスを千葉ロッテが2.5ゲーム差で追いかけている。そして、12日からは今季最後の直接対決となる3連戦が京セラドーム大阪で始まる。
9月5日にリーグ首位に躍り出た千葉ロッテは、同28日からのオリックス3連戦で白星を飾れず、首位を明け渡した。主砲のレオネス・マーティン外野手が右足甲を骨折して離脱したり、先発投手陣の状態が上がらなかったり、救援陣が捕まったり……。流れが悪い方向へと傾きかけていたが、10月に入ってからは3勝4敗1分で食らいついている。泣いても笑っても、残り13試合。就任4年目の井口資仁監督は今、何を思って戦っているのか。その胸の内を明かしてくれた。【取材・構成 / 佐藤直子】
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さあ、ペナントレースは大詰め、ゴールはそこまで見えてきました。マリーンズは9月後半に3連敗、4連敗を喫し、2位から首位をうかがう現状です。ファンの皆さんにとっては非常にヤキモキする展開だと思いますし、そのど真ん中にいる僕らも毎日モチベーション高く試合に臨んでいます。
9月はしばらく首位でしたが、オリックス3連戦を含む4連敗で追う立場に戻りました。マーティンが怪我で離脱しているところ、先発陣も崩れてしまった。オリックスは吉田正尚選手が怪我から復帰してグッと盛り上がってきた時だったので、そういう勢いにやられてしまった感じもありました。
12日から敵地でオリックス3連戦「優勝争いはほぼ決まる」
その前週も3連敗を喫しましたが、そもそも今季は5連敗からのスタート。そこから盛り返してきた自信がチームにはあります。9月19日の北海道日本ハム戦で自打球を当てたマーティンが、右足甲骨折と診断されて離脱する不運もありました。さすがにこの時はチームの雰囲気も沈みかけていましたが、選手はそれぞれが「自分がチームを引っ張ってやる」と頑張ってくれたのは心強かったです。
ただ、マーティンが抜けると打線に厚みがなくなるのは事実です。当然レアードへのマークが厳しくなりますし、打線全体が調子を落としかけていた時期に重なったこともあり、苦戦を強いられました。その雰囲気を覆してくれたのが、10月3日の楽天戦で見せた小島(和哉)の完封勝利であり、5日の埼玉西武戦で復帰後すぐに先制打を放ったマーティンの気持ちだと思います。
これまでもお伝えしてきましたが、今年のチームは先発が5回まで試合を作ってくれれば、打線と中継ぎでなんとかできるという自信があります。追う展開でも僅差であれば「ひっくり返せる」という自信が野手にはあるし、6回以降は中継ぎリレーで益田(直也)まで繋げばいい。そこまで繋げる試合をどこまで作れるかが大切。最終的に益田でやられたら、それは仕方のないことだと思っています。
12日からは敵地でオリックス3連戦が始まります。今季最後の直接対決となるわけですが、皆さんの予想通り、優勝争いの結果はここでほぼ決まるでしょう。オリックスはここで勝てば優勝が見えてくる。ここはマリーンズも3連勝を狙って全力でいくしかありません。
前回3連敗した原因は、オリックスの中軸に気持ちよく打たせてしまったこと。課題としているホームランでやられました。3試合とも先制しながら3ランでやられました。その反省をしっかり生かし、勝利を狙います。
とはいえ、オリックス3連戦でシーズンが終わるわけではありません。その後も試合は続きます。大切なのは、残り試合で自分たちがキャンプから積み上げてきた野球をどこまで出せるか。選手が思う存分のパフォーマンスを発揮できるように、監督・コーチは状況を整えることが仕事。これまで練習してきた成果を出すのみです。
ファンの大きな期待に「最後の1試合まで白熱した優勝争いを」
よく「優勝を意識しますか?」と質問されますが、正直なところ、あまり意識はしていません。1試合1試合どう戦おうか考える、それだけです。シーズン終盤となれば、思い切ったピッチャーの起用は増えますが、それ以外は開幕直後も、シーズン中盤も、そして今も変わりません。
僕よりも選手の方が優勝を意識しているように感じることがあります。最近、ちょっとした走塁ミスも目立ちますが、そこは焦りがあるのでしょう。少し冷静になれたら上手く回ること。選手を冷静に落ち着かせるのも、監督をはじめ首脳陣の仕事です。
もちろん、ファンの皆さんの盛り上がりは十分に伝わってきています。大きな期待を受けるのは本当に幸せなこと。最後は最高の形で終われるように、最後の1試合まで白熱した優勝争いをしていきたいと思います。
さて、11日はドラフト会議が開催されます。今年も高校生には将来有望な選手、大学生・社会人には即戦力として使えそうな選手が集まっています。マリーンズの補強ポイントは全部。どのポジションも厚みが必要です。会議をして最終的な指名選手を決めたいと思います。
最近のドラフトを振り返ってみると、入団した選手の多くが1軍で頑張ってくれている。これは現場というより、球団やスカウトたちの努力の賜物です。チーム全体として同じ方向を目指せているので、的確に補強できるドラフトができているのでしょう。
今年も抽選となった場合は、僕がくじを引くことになります。「くじ運がいい」という声も聞こえてきますが、去年は最初のくじ引きは外したので油断は禁物。また交渉権を獲得できるように集中して引いてきます。
(佐藤直子 / Naoko Sato)
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