1年目からセットアッパーとして活躍、好調Dバックスでキーマンの一人に
ダイヤモンドバックスの平野佳寿投手はメジャー1年目の今季、18試合に登板して2勝0敗8ホールド、防御率2.65と好投を続けている。4月30日(日本時間1日)のドジャース戦、5日(同6日)のアストロズ戦と2試合連続で失点を喫したが、その後は4試合連続無失点と立て直した。
12日(同13日)の本拠地ナショナルズ戦も1点ビハインドの8回に登板し、1回無安打無失点と好投している。地元紙「アリゾナ・セントラル」は先日、ナ・リーグ最高勝率を誇るダイヤモンドバックスの救援陣を称える特集記事を掲載したが、その中で、平野がチームに溶け込んでいる様子を伝えた。
平野は4月28日(同29日)のナショナルズ戦まで6試合連続無失点と好投を続け、防御率も1.46まで向上していたが、30日のドジャース戦では3点リードの場面でマンシーにソロ本塁打を被弾。
さらに、今月5日のアストロズ戦では同点の8回にマッキャンに同点の2点タイムリーを浴び、2試合連続失点を喫した。34歳のルーキー右腕にやや疲れが出始めたかと思われたが、その後は3試合連続無失点と“復調"。セットアッパーとして、開幕からブルペンを支え続けている。
地元紙「アリゾナ・セントラル」は「ダイヤモンドバックスの好調なブルペンは無名投手たちによって支えられている」と題した特集記事を掲載。2015年のロイヤルズが安定感抜群のブルペンを誇り、世界一に輝いたことに言及しつつ、当時在籍していた現ダイヤモンドバックスのダイソンが「どこもブルペン強化に力を入れている。そのトレンドのきっかけはロイヤルズだろうね」と話していることを紹介。近年のメジャーでは、確かに救援陣の存在が鍵となっている。
そして、今季のダイヤモンドバックスの強さを支えているのは「バーゲン価格的」な投手たちを集めたブルペンであると指摘。トレイ・ロブロ監督は記事の中で、アーチー・ブラッドリー、ブラッド・ボックスバーガーの2人を「特別な存在」と絶賛しつつ、「その他にも(5人)いる。彼らもまた良い働きをしてくれている」と評価。
5人とは、デラロサ、チャフィン、平野、サラス、マクファーランドのことで、同紙は「彼らはファンには馴染みがないかもしれないが、対戦相手たちは非常に警戒している」と伝えている。
米国出身左腕チャフィンは「ヒラノと話をしたよ。『ヘイ!』『ヘイ!』って感じだった」
では、平野はどのようにして力を発揮しているのか。同紙は「直球とスプリットを駆使するヒラノは、順調な滑り出しを見せている」と指摘。投球面では切れ味抜群のスプリットが大きな武器になっていることは確かだが、チームにしっかり馴染めていることも大きいようだ。
「日本出身のベテランは、直球とチェンジアップを駆使するフェルナンド・サラスのバディ(相棒)となった。周囲は彼らが何について話をしているのか、皆目見当もつかないが」と、“日常“についても伝えている。
平野とメキシコ出身のサラスの関係は特別なようで、「彼らは隣同士で座り、ジョークをかわす。ヒラノは主に日本語、サラスはスペイン語で」と紹介。平野は取材に対して「(通訳のケルビン・コンドウ氏が使うのは)スペイン語、英語、日本語、ポルトガル語……ただ(首を振りながら)日本語はイマイチですね」と冗談交じりに回答しており、記事の通り、2人は直接やり取りしているようだ。
2つの言語でいったいどのようにしてコミュニケーションを取っているのだろうか……という疑問はバカバカしいものなのかもしれない。米国出身の左腕チャフィンは「こないだヒラノと話をしたよ。『ヘイ!』『ヘイ!』って感じだったけどね。日本語を身につけようとしているところなんだ。(ダイヤモンドバックスで)7年間プレーしてきて、スペイン語はほとんど話せないんだ。日本語で『オハヨウ』の言い方は分かるよ」と話している。心が通じ、信頼関係で結ばれていれば、コミュニケーションの手段はどんな形であっても、思いは伝わるということか。
記事からは、ダイヤモンドバックスの強さを支えるブルペンの雰囲気が良好であることが伝わってくる。チームメートに恵まれたことも、平野がメジャー1年目から力を発揮できている大きな要因になっているようだ。
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