2回の中島卓の逆転満塁弾には「地道にやり続けることの意味を感じる」
北海道日本ハムが敵地で王者に連勝した。12日、ヤフオクドームでの福岡ソフトバンク戦。2点を先制された直後の2回に、伏兵・中島卓に逆転満塁弾が飛び出し、一挙に5得点。ここで掴んだリードを必死の、それでいて計算された継投策で守り抜き、栗山英樹監督は「ホークスに勝つチャンスはなかなか無い。勝ち切るのは凄く重要なので良かったと思います」と選手たちをねぎらった。
先発の有原が初回に2本のソロでいきなり2点を奪われた。だが、打線がすぐさま援護。石井一の適時二塁打で1点を返すと、さらに1死満塁のチャンスを作った。ここで打席に立った中島卓が右翼スタンドへ届く逆転のグランドスラム。昨季、9年目で初本塁打を放った男の驚きの1発で試合をひっくり返した。
ベンチも、ファンも、そして打った中島卓自身もビックリの1発。これが決勝打となり「コツコツ一生懸命やっていれば、何か前に進むものがある。誰よりも地道にやり続けることの意味というのをね、今日のタクのホームランを見ていて感じるので、感慨深いですね」と栗山監督も喜んだ。
「苦しみながら、なんとか丁寧に丁寧に5回まで持っていったことに意味がある」。有原は5回で117球を要する苦しい投球。10安打を浴びたが、なんとか3失点で凌いだ。その後はリリーフ陣の好救援で逃げ切ったのだが、ここに“継投の妙"があった。
6回はまず左腕の公文がマウンドへ。2死一塁までもっていくと、左の柳田を迎えたところで、右の浦野をマウンドへ送った。「前から谷元とかを柳田には突っ込んできましたし、あれだけいいバッターは右も左も全然関係ない。打率も見れば左のほうが相当打っているけど、それとは関係なくて、誰が、どの球が一番通用するのかっていう選択肢だった」。結果的に左前安打を許したが、この場面でやってはいけないのは同点被弾ないし長打。単打は許容範囲内で、右腕は次の内川を三ゴロに抑え失点を防いだ。
7回からは西村、宮西、トンキンで無失点リレー。「今日も使えないピッチャーは何人かいたので、そこをうまく、連戦でほとんどのピッチャーを使うと壊れちゃう。本当に使えない状況でやるしかないので、それは目一杯知恵を振り絞って繋ぐしかない」と指揮官。「使えないピッチャー」は明かさなかったものの、連投中だった玉井、石川直を使わず。マネジメントした上での継投だったことを匂わせた。
昨季の日本一福岡ソフトバンクに敵地で連勝した北海道日本ハム。埼玉西武に次ぐリーグ2番目の早さで20勝に到達し、鷹をかわして2位に浮上した。「今日1日を必死になって勝つだけ。若いチームだから何も計算できない。必死になって明日もやります」と語った栗山監督だが、必死さの中で、育成とマネジメントを冷静に考えている戦いぶりだった。
記事提供: