「最後まで投げるのが醍醐味」埼玉西武・今井達也が2年ぶりの完封で示した先発投手の誇り

2021.9.13(月) 07:30 Full-Count
オリックス戦に先発した埼玉西武・今井達也※写真提供:Full-Count(写真:宮脇広久)
オリックス戦に先発した埼玉西武・今井達也※写真提供:Full-Count(写真:宮脇広久)

「本当に次はない」危機感が粘りを生み自己最多の142球

■埼玉西武 7ー0 オリックス(11日・メットライフ)

 埼玉西武の今井達也投手は11日、本拠地・メットライフドームでオリックスを3安打13奪三振完封。今季7勝目(5敗)を挙げた。完封は2019年5月5日の楽天戦(メットライフドーム)以来、自身2年ぶり2度目。1試合2桁奪三振はプロ入り後初だ。チームは7-0で大勝した。

 危機感が粘り強さを生んだ。今井は前々回登板の8月28日・北海道日本ハム戦で5回7失点KOされ、前回の今月4日・楽天戦でも3回1/3で7失点。「本当に次はない、この試合に全力を尽くす心構えで臨みました」と背水の陣を敷いていた。

 この日の試合前には、捕手の森友哉から「3回でバテてもいいから、1球1球全力できてくれ」と言われていた。実際、立ち上がりからMAX155キロを計測した速球を軸に押しまくる。4回には2番・宗、3番・杉本、4番・T-岡田を3者三振に仕留めた。

 制球難に悩まされ続けてきた今井は今季、無駄な力みを除いた“リラックス投法”を身に付けようと、暗中模索している。辻発彦監督からは「意図はわかるが、リラックスの仕方を間違えている」と苦言を呈されたこともあった。だが、この日に限っては、そんな迷いも振り切り、腕を強く振った。

「『おまえに任せた』と言ってもらえる投手になりたい」

 味方打線の援護を受け7-0の大量リードで迎えた6回には、先頭の若月、紅林に連続四球を与え“悪い癖”が顔をのぞかせた。続く福田にも一、二塁間へ痛烈なゴロを打たれたが、二塁手・外崎がスライディングキャッチで阻み併殺。続く代打・宜保を154キロ速球で見逃し三振に仕留め、無失点で切り抜けると、クールな今井には珍しく右拳を握りしめ歓喜の雄たけびを上げた。

 6回までは3四球を与えながらノーヒットノーラン。7回先頭の杉本に中前打され大記録は消えたが、自己最多の142球で最後まで投げ切ったのだった。

「9回完投する投手はだんだん減ってますが、最初から最後まで投げるのが先発投手の醍醐味だと思うので、うれしいです」とスターターとしての誇りを示す。通算2度目の完封の他に、完投を2度記録しているが、1度は5回表終了降雨コールドゲーム。1度は今年8月21日のオリックス戦(京セラドーム)で、8回2失点に抑えながら完投負けを喫したもの。正真正銘9イニングを投げ切るのは、プロ5年目で今回が2度目だ。「ピンチの時、中継ぎ投手と比較して、『おまえに任せた』と言ってもらえる投手になりたい」と改めて抱負を語った。

 栃木・作新学院高3年の夏に甲子園で優勝投手となり、ドラフト1位で入団。潜在能力の高さは球界関係者の誰もが認めるところで、「ダルビッシュ級」と評する声まである。制球難が大成を阻んできたが、今度こそ本格的な覚醒につなげたいところだ。

 チームで今季初の完封投手となり、辻発彦監督は「(高橋)光成や松本(航)も感じるものがあるだろう。この完封は先発陣全体に大きな意味をなすと思うし、なしてほしいよ」と祈るように言った。現在5位の埼玉西武だが、今井が持てる素質を開花させれば、残りのシーズンはもちろん、来季以降へも光明が差す。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

記事提供:Full-Count

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