“マシンガン継投”や3連投はほぼ見られず、松井裕樹は防御率0.66
今季から石井一久監督が指揮を執る楽天が好位置で前半戦を折り返した。昨季は4位に終わり、オフに石井取締役GMが監督も兼任することを発表。驚きの人事と、その采配にも注目が集まったが、結果は41勝36敗11分。首位・オリックスと1.5ゲーム差の2位で前半戦を終えた。
個性的なキャラクターでもお馴染みの石井監督だが、奇を衒うような采配ではなく、昨季の失速した原因を考慮した堅実な運用が目立った。特にリリーフ陣に負担をかける“マシンガン継投”はせず、同じ投手の3連投もほとんど見られなった。実際に41試合で防御率0.66、23セーブの守護神・松井裕樹を筆頭に、酒居や昨季は不振に喘いだ宋家豪も安定して盤石のブルペンを築いた。
また、開幕時には3番・島内、4番・浅村の打順でスタートしたが、昨季の本塁打王の長打ペースがなかなか伸びず。その代わりに出塁率では4割を超えていた浅村と島内の打順を入れ替えたのがハマった。6月には6連勝で一時単独首位にも浮上、島内は打点ランキングで2位のマーティン(千葉ロッテ)に8打点差をつけて独走している。
印象的だったのは6連勝中の6月5日の広島戦(マツダ)。3-3の8回に4番・島内の8号ソロで勝ち越して、なおも無死満塁のチャンス。ここで8番・太田、9番・村林が連続で初球をスクイズ。意表を突かれた広島の敵失もあって3点をダメ押した。独自色を前面に押し出した采配は少なかったものの、勝負勘も披露した。
新外国人が軒並み誤算で長距離砲不在、田中将らローテ“5本柱”は及第点
一方で誤算だったのは、新外国人たちか。メジャー174登板の実績から期待されたコンリーは、新型コロナウイルスの影響で家族が来日できず、合流することなくまさかの契約解除。カスティーヨはデビュー戦の初打席で故障、ディクソンも打率.161と結果を残せていない状況だ。長距離砲が不在の中で、目立った残塁をどう減らしていくかが後半戦のカギになってくるのではないだろうか。
また、涌井、田中将、早川、岸、則本昂と豪華な顔ぶれが揃った先発陣は及第点か。規定投球回に届いているのは則本昂と涌井の2人だが、ドラフト1位の早川とベテランの岸は共に1度抹消があったもののローテーションを守っている。8年ぶりにメジャーから復帰して注目を集めた田中将も、4勝5敗ながら防御率2.86と健在ぶりを示している。後半戦も故障者なく“5本柱”が機能すれば、混戦のパ・リーグでも上位に食らいつけるはずだ。
東日本大震災からちょうど10年を迎え、2度目の優勝を目指す楽天。GMとしての顔も持つ石井監督は、7月4日に巨人とのトレードで炭谷銀仁朗を獲得し、貴重なベテラン捕手のピースも埋めた。壮行試合では侍ジャパンも撃破し、この後はエキシビションマッチに突入する。8月13日からの後半戦ではどのような戦いを見せてくれるだろうか。
(Full-Count編集部)
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