2020年のリリーフ登板ペースに変化は? 成績を143試合に換算してみた

2021.1.27(水) 18:00 パ・リーグ インサイト 望月遼太
埼玉西武ライオンズ・平良海馬投手(C)パーソル パ・リーグTV
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イレギュラーだらけのシーズンで最少記録も

 2020年シーズンは開幕が延期され、日程は143試合から120試合に短縮された。試合の減少は、当然のことながら選手の個人成績に影響を及ぼす。例として、今季パ・リーグの最多勝は史上最少の11勝に終わり、55試合以上に登板した投手は1人もいなかった。

 それでも、6連戦が続く過密日程の中、リリーフ投手たちの負担は決して軽くなかったはずだ。実際のところ彼らの登板ペースは、従来のシーズンであれば何試合分に相当するのか。各チームの主要なリリーフ投手の成績を、143試合に換算してみた。

※換算方法は各種成績×1.191。小数点以下の数字は小数点第1位を四捨五入して求めた。投球回は、小数点第1位が0と1の場合は繰り上げず、2~4は1/3回、5~7は2/3回とし、8以上は1の位を繰り上げている。

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 北海道日本ハムは上記の結果だった。プロ1年目から全ての年で50試合以上に登板している宮西尚生投手は、今季も大台に到達。自らが持つパ・リーグ記録を13年連続に更新したが、143試合換算であれば60試合に登板したことになる。チーム状況に応じて中継ぎと抑えの双方をこなしながら、防御率2.05と安定感も維持。イレギュラーなシーズンでも自らの役割を全うし、例年と変わらぬ存在感と貢献度を示したと言える。

 また、勝ちパターンの一角を担ってチーム最多タイのホールド数を記録した玉井大翔投手、左のリリーフとしてフル回転した堀瑞輝投手も、143試合に換算すれば50試合登板超の計算になる。37歳のベテラン・金子弌大投手も先発とリリーフを兼任し、例年であれば40試合登板ペースというタフネスぶりを発揮した。

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 楽天で日本球界復帰1年目を迎えた牧田和久投手は、開幕からハイペースで登板、従来なら62試合に登板していた計算になる。同じく勝ちパターンの一角を担ったブセニッツ投手、千葉ロッテから移籍してきた酒居知史投手も55試合登板ペースで、それぞれがリリーフ陣を支える頼もしい存在だった。

 宋家豪投手は、過去2年間はいずれも40試合以上に登板して防御率2点台以下。今季も例年ならば45試合登板ペースだったが、やや安定感を欠く結果に。ただ、ドラフト3位ルーキーの津留崎大成投手と、長らくケガに悩まされてきた安樂智大投手がそれぞれリリーフとして存在感を発揮。開幕当初は先発だった松井裕樹投手も、シーズン途中から再びブルペンに戻って奮闘した。

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 埼玉西武のチーム内登板数上位5名は、いずれも例年ならば50試合超を投げるペースだった。6位の平井克典投手は、シーズン途中に先発転向した時期がありながら、それに迫る数字を記録。そして平良海馬投手は、リーグ最多タイとなる54試合に登板し、リーグ2位の33ホールドに加え、投球回を大きく上回る三振を奪った。まだ21歳ながら、チームには欠かせない鉄腕として、確固たる地位を築いている。

 ドラフト1位ルーキーの宮川哲投手と来日1年目のギャレット投手もフル回転し、即戦力としての期待に応えた。守護神の増田達至投手、プロ2年目でセットアッパーの座をつかんだ森脇亮介投手、貴重な左の小川龍也投手、プロ4年目でキャリアハイの成績を残した田村伊知郎投手と、既存戦力も十分な活躍を見せており、ブルペンは充実の布陣だったと言えそうだ。

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 千葉ロッテは順位争いが激化した終盤を除いて、3連投以上を極力避ける方針だった。その中で、リーグトップタイの登板数を記録した益田直也投手の存在は非常に大きなものだ。あくまでも計算上だが、143試合換算での64試合という数字は、9年間のキャリアの中で4番目に多い数字。同じく143試合換算での37セーブは最多セーブに輝いた2013年(33セーブ)を上回り、まさに大車輪の働きだった。

 また、143試合換算でシーズン50試合ペースを超えたのは益田投手のみ。年間を通じて自責点4という抜群の安定感を見せた唐川侑己投手、ともに楽天から移籍してきた小野郁投手とハーマン投手、シーズン途中に巨人から加入した澤村拓一投手、幅広い起用に応えた東條大樹投手と、個性的な陣容を息切れさせることなく運用したことが、チームの好成績につながったという見方もできそうだ。

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 オリックスにおいて、2018年に30試合、2019年に40試合と年々登板機会を伸ばしていた山田修義投手は、短縮シーズンでありながらキャリアハイとなる48試合登板。例年なら57試合登板、21ホールドというペースだった。また、来日1年目のヒギンス投手も例年なら50試合に迫るペースで登板を重ね、セットアッパーを固定できずに苦しむチームの中で奮闘を見せた。

 前年の途中から抑えを任されているディクソン投手は、チームの不調もあってセーブ数こそ伸びなかったものの、143試合換算ではハイペースで登板を重ねていたことがわかる。安定感のある投球でブルペンの一角に定着した吉田凌投手、左のリリーフとして山田投手に次ぐ存在となった齋藤綱記投手という若い2投手が、それぞれ30試合以上の登板機会を得たことも、今後のチームにとっては明るい材料となりそうだ。

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 143試合換算で60試合登板を超える投手が、他球団に比べて多い4名にのぼった福岡ソフトバンク。ただ森唯斗投手、高橋礼投手、モイネロ投手、嘉弥真新也投手と、その4名全員がパフォーマンスを急激に落とすことなく、いずれも防御率2点台以下で投げ抜いている。特殊なシーズンにあっても、変わらぬ稼働率と安定感を発揮したブルペンが、リーグ優勝の原動力の一つとなったのは間違いないだろう。

 加えて、プロ2年目の泉圭輔投手も、例年なら50試合に迫るハイペースで登板。時には右のワンポイントという変則的な起用にも応えながら、好成績をマークした。2014年のドラフト1位右腕・松本裕樹投手が、リリーフとして一定の登板機会をつかみ、僅差の場面での登板を少なからず経験したことも、チームにとってはポジティブな要素と言える。

60試合以上登板の投手の数は、どのように変化した?

 2019年のパ・リーグで60試合以上に登板した投手は11名だった。そして、試合数が減少した2020年、その「60試合以上に相当するペースで投げた投手」は8名で、オリックスを除く5球団に1名以上は存在した。彼らの143試合換算での今季の成績は下記の通りだ。

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 60試合登板ペースの投手を複数抱えたのは、福岡ソフトバンクのみだった。激しい首位争いを繰り広げていたことに加え、打線の破壊力が例年に比べるとやや物足りなかったこともあり、投手陣の果たす役割が大きかったようだ。

 投手分業制が当たり前となった現代野球で、リリーフ投手は重要な役割を担い、多くの試合でマウンドに上がる。しかし今季の成績を143試合に換算すると、60試合登板ペースの投手は、前年に比べて3名減少する結果となった。

 また、リーグ最多の登板数を記録した埼玉西武・平良投手と、千葉ロッテ・益田投手も143試合換算では年間64試合ペースであり、70試合を超える投手は1人もいない。埼玉西武・平井投手が昨季81試合に登板したことを考えれば、特定の投手にかかる負担は、わずかながら減ったということが言えそうだ。

 2020年は、さまざまな面で例年とは異なるシーズンだった。ただ来季もどのようなシーズンとなるか、まだ確かなことはわからない。今季各球団の投手たちが残した数字は、各球団がどのようにして難しいシーズンを乗り切ろうとしたかを示す、重要な手がかりとなる。

文・望月遼太

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